日本には山岳が多いため長いトンネルがたくさんあります。
景色が変わらず退屈に感じたり、壁に囲まれ圧迫されたように感じたりするため、早くトンネルから抜け出たいと思うことはよくあるでしょう。
しかし、追い越しをトンネル内ですることは許されているのでしょうか。
不用意にトンネル内で追い越しをすると、交通違反だけでなく重大な事故を引き起こす恐れがあります。
この記事では、トンネル内で追い越しする際の決まり事や注意点を解説します。
ぜひこの記事の内容を頭に入れて、安全運転に励んでください。
トンネルで追い越しするのは違反?
トンネルでの追い越しについて詳しく解説します。
道路交通法で原則禁止されている
トンネルでの追い越しは、道路交通法第30条で規定されている通り、基本的に禁止されています。
「車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
一 ~
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る)
三 ~
」
原付バイクが相手でも追い越ししてはいけません。
ただし、道路交通法第30条第2項で「車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る」と規定されているように、一部の「車両通行帯がある = 片側2車線以上の道路がある」トンネルでは追い越しをしても構いません。
しかし、トンネル内には危険が多く存在しているため、可能な限り追い越しはしないように心掛けましょう。
トンネルで追い越しをした際の罰則や罰金
トンネルで追い越しをすると、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
トンネルで追い越しが危険な理由
トンネル内は周囲の景色が変わらず、速度感覚がつかみにくいため、スピード超過しやすい傾向にあります。
また、水が溜まらないように傾斜がついているため、出口付近の下り坂ではなおさらスピードが出やすいといえるでしょう。
スピードが出やすい一方で、トンネルの出入口付近では目に入る光の量が急激に変化するため、ついついアクセルを緩めたりブレーキを踏んだりする人が多く、周囲の車のスピードが遅くなることがあります。
特に天気の変わりやすい山地にあるトンネルでは、入り口で晴れていても出口で大雨や強風に見舞われることがあり、ひどい場合は渋滞していることすらあります。
トンネルの中では周囲の車のスピードが目まぐるしく変化する場合があり、実際に追突事故がよく起こります。
危険が多いため、トンネル内ではできるだけ追い越しを避けましょう。
特に高速道路のトンネル内で事故が発生すると、事故車が猛スピードで何度も壁に衝突して周りの車を巻き込むことがあるため、重大化するリスクが高い傾向にあります。
追い越しができないトンネルとできるトンネルの違い
多くのトンネルでは追い越し不可ですが、一部のトンネルでは追い越しが許可されています。
追い越しができないトンネルとできるトンネルの違いを解説します。
追い越しができないトンネルとは?
片側一車線の道路しかないトンネルは絶対に追い越ししてはいけません。
センターラインが何色であっても、実線・破線に関わらず禁止されています。
対向車との追突のリスクが非常に高いといえます。
追い越しができるトンネルとは?
トンネル内に片側2車線以上の道路があり、区画線が白色の場合は、追い越し可能です。
ただし片側2車線以上の道路があっても、追い越し禁止を指示する標識や看板がある際には追い越しできません。
また、区画線が黄色の場合は、追い越しだけでなく車線変更も禁止されています。
トンネル内の照明はオレンジ色であることが多く、線の色を見極めることが難しいので、トンネルに入る前に区画線の色を確認するよう注意してください。
トンネルで追い越しをする際の注意点
やむを得ずトンネルで追い越しをする際の注意点をいくつかご紹介します。
出口付近では、急に明るくなって白色や銀色の車が消えたように感じる「蒸発現象」、入り口付近では急に暗くなることで黒色や濃色系の車が見えなくなる「溶け込み現象」がよく起こります。
また、入口付近では壁に圧迫感を感じて無意識的に幅寄せしてくる車もあります。
出入口付近には危険が多くあるため、追い越しはしないでください。
出入口を通過しても、周囲の明るさに目が慣れるまで、追い越しを控えましょう。
十分に車間距離を取っていることを、必ず確認したのちに追い越ししてください。
トンネル内は周囲の景色の変化が少なく、スピード感覚をつかみにくく、思っているよりもスピードが出がちです。
前方の車と同じスピードで走行していると、お互いの車が止まっているかのような錯覚をすることもあり、ついつい車間距離を詰めてしまう傾向にあります。
車間距離を余裕をもって空けてから追い越しをしましょう。
追い越しをする際は直線の区間でしてください。
トンネル内は暗く見通しが良くないため、カーブ付近での追い越しは事故の可能性が高まります。
追い越した後はすぐに走行車線に戻りましょう。
トンネルの圧迫感から無意識で壁から離れようと幅寄せしてくる車があるため、追い越し車線を走り続けることは危険です。
また、トンネル内に限らず、理由なく追い越し車線を走行し続けることは交通違反です。
まとめ
トンネルでの追い越しに関する決まりごとや追い越しする際の注意点を解説しました。
一部のトンネルを除いて、ほとんどのトンネル内で、追い越しすることは禁止されています。
トンネル内では、明るさが急激に変化したりスピード感覚がつかみにくかったり危険が多くあるため、無茶な追い越しは事故の可能性が高まります。
追い越し可能のトンネルであっても、普段以上に車間距離に気を配り、出入口付近を避けて直線道路上で追い越ししてください。
この記事で解説した内容を覚えておいて、トンネル内で追い越しをする際は十分に気を付けてください。