自動車で走行中、対向車からライトを点滅されたことはないでしょうか?
ベテランの方々であれば、その意味をくみ取ることができるのではないかと思います。
逆に免許を取り立ての方にとっては何を意図しているのかわかりません。
それもそのはずで、教習所では教えてもらえない、昔から慣習として受け継がれてきた一種のコミュニケーション方法なのです。
ライトを1回又は数回光らせるだけですが、様々な意味があります。
代表的な意味合いについて覚えておくと、道路での意思疎通がスムースに進むことでしょう。
パッシングの基礎知識
そもそもパッシングとはどういった行為なのか、どのようなタイミングで使われるものなの理解していきましょう。
声を届けることができない相手にもコミュニケーションをとることができる手段ですので、是非頭に入れておきましょう。
車のパッシングってなに?
パッシングはヘッドライトを1回又は複数回点滅させることです。相手に見えるように行うことで、何かしらの合図を送ることになります。相手に注意を送ったり、感謝の気持ちを伝えたりします。
パッシングのやり方
ヘッドライトレバーを手前に引き、ヘッドライトを点滅させます。
点滅させる回数はその時の状況によります。多くは1回~3回明滅させるイメージです。
パッシングはどんなときに行われる?
パッシングには色々なメッセージがありますが、具体的なタイミングやシチュエーションについて考えていきましょう。
対向車からのパッシングの意味
多くはどちらかが道を譲るか譲ってもらって右折する際です。
道を譲ってもらって右折する際に、あなたが「先に曲がります。」の意味でパッシングします。又はあなたが「道を譲るよ。」とサインを送ることもあります。
そこで相手が「ありがとう。」の意味でパッシングをしてくるでしょう。
お互いの意思を示すことで道路上での運行が安全に、スムースに進むのです。
あまりお目にかかることはないかもしれませんが、走行中に対向車がパッシングしてくることもあります。
例えば、この先に警察がスピード違反の取り締まりをしているよ!とか、一方通行の道路を逆走しているよ!ハイビームになっていて眩しいよ!など気づいてほしいことがある可能性があります。
案外その時はなぜパッシングを受けたかわからないものです。
瞬時に意味がわからずとも、自身に理由があったり、ネズミ取りを見かけたりして合点がいくかもしれません。
後続車からのパッシングの意味
高速道路を例にあげると、追い越し車線を走行中に後続車がパッシングしてくることがあります。
自分のほうが速いから道を譲ってほしい。追い越し車線から走行車線に移ってもらえるか?という意味合いになるでしょう。
歩行者へのサイン
横断歩道など渡ろうとしている歩行者に、車両の停止を知らせます。
つまり車を止めるので、先に渡ってほしいというサインになります。
自車が停止しても対向車や後ろからバイク等が飛び出してくる可能性もありますので、譲られる歩行者もキチンと周囲を判断する必要があるでしょう。
その他
走行中に急な割り込みや停車、信号が青なのに進まないなど、抗議や注意を促す際にも使用します。
割り込みを受けた際にパッシングをすると明確な抗議の意思を伝えることになります。場合によってはトラブルの原因となりますので、パッシングをするにせよ冷静な判断が必要となります。
パッシングの注意点
注意点としてはメッセージを間違えて受け取ることです。
意味を間違えると事故につながる可能性もあります。
右折の際、「先に曲がるよ。」というサインを「道を譲るよ。」に勘違いしていた場合、追突事故になってしまうのです。
地域によって意味やルールが異なる
慣習として地域により意味合いが異なる場合があります。
対向車とのやり取りの際、関東と関西で違いがあるのです。
関東では「あなたが先に曲がって下さい。」という譲りのサインになります。関西では「私が先に曲がります。」というサインになります。
ただし明確化されているわけではないですし、その場の状況や言ってしまえばノリで決まるものでもあります。関西だから!と決めつけることはせずに状況を判断することが重要です。
意味を間違えるとトラブルにつながる
先の項ように意味やルールを間違えるとトラブルにつながる可能性があります。
対向車がネズミ取りをやっていると忠告の意味でパッシングをしたのに、意味もなく煽られたと感じてしまうかもしれません。
相手がどういう意図を持っているかの判断も重要ですが、自身がパッシングする際もキチンと相手に伝わるかの判断が必要になります。
しつこくするとあおり運転に
後続車がパッシングをしてきた際には、「道を譲ってほしい」という意図があるでしょう。
しかし高速道路で後続車がパッシングしてくるのだからあおり運転をされていると感じてしまうかもしれません。
そのつもりがなくても相手を怒らせてかえってあおり運転をされるなど、トラブルになる可能性も否定できません。
パッシングをするにせよ、相手が意図通りに動いてくれないからと言ってしつこくするのは得策ではないでしょう。
パッシングの代わりにクラクションは大丈夫?
クラクションは指示がでている場合に鳴らすことになっています。
道路標識がなければ、危険防止の為に警音する以外は基本的には使いません。
道路上において、クラクションで合図を送る場面に出くわすことはよくあります。
しかし法令違反となりますので、止めておきましょう。
ドライバー同士のアイコンタクトを大切に
ここまで読んでいただくと、パッシングは慣習上のルールはあれ、厳密に定められているわけではないということがわかっていただけたと思います。
自身の意図が伝らなったり、間違えて意味を受け取ってしまったり、光の明滅だけでは意思の疎通は完璧ではありません。
必ず相手を見て、アイコンタクトをする、お礼に手を挙げる、簡単な会釈をするなどのプラスアルファのアクションを起こすとよいでしょう。
まとめ
パッシングは自動車運転を行う上で、大変便利なものです。
しかし使い方には十分な注意も必要となります。相手の意図をくみ取り、アイコンタクトや身振りも交えることでより事故やトラブルを回避していきましょう。
参考記事
・元整備士が教える!ヘッドライトのLED交換の工賃は?取り付け方法も解説!