今やほとんどの新車に搭載されている自動ブレーキシステム。ドライバーや歩行者の安全のために大きく貢献しています。そんな自動ブレーキが、2021年11月よりフルモデルチェンジされる国産車を対象に義務化されることをご存知でしょうか?
義務化されるといえど安心してください。現在乗っている自動ブレーキ非搭載車は今までと同じように公道を走行できます。
この記事では、今回は自動ブレーキ義務化の概要を詳しく解説していきます。自動車を取り巻く流れを知って、今後のカーライフの参考にしてください。
自動ブレーキの知識を深めよう
そもそも自動ブレーキがどんなものなのか、その機能と歴史をみていきましょう。
自動ブレーキは衝突の衝撃を軽減するもの
自動ブレーキは正式名称を「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)」とする機能です。カメラやレーダーを使って、前方の自動車や障害物との距離を検出し、危険な距離まで迫ったら警告音でドライバーに知らせてくれます。
それでもドライバーのブレーキ操作がなかった場合、自動車が自動的にブレーキをかけて減速して衝撃を緩和させてくれます。衝突を100%回避するものではなく、減速して衝撃を軽減するものなのです。
自動ブレーキの進化の歴史
国産車で最初に自動ブレーキを搭載した自動車は、2003年2月に販売された「トヨタ・ハリアー」です。システムが衝突の危険があると判断したら、ドライバーがブレーキを踏み込むときにフルブレーキがかかる仕組みです。
オートでブレーキがかかる仕組みは同じ2003年の6月に販売された「ホンダ・インスパイア」が最初でした。しかし、まだオートで減速するだけで、完全なストップというわけではありません。
完全に停止する自動ブレーキは2010年の「スバル・レガシィ」にアイサイトという名前で搭載されたシステムが最初です。
現在までに自動ブレーキはどんどん性能が高まっていっていますが、状況によって100%動作するわけではないことに注意が必要です。
各メーカーの自動ブレーキ搭載車の一例
各メーカで自動ブレーキの名称が異なるため分かりにくいですが、現在販売されている自動車には広く自動ブレーキが搭載されています。
例えば以下のような自動車です。
- トヨタ:プリウス・ヤリスなど
- 日産:リーフ・ノートなど
- ホンダ:フィット・シビックなど
- スズキ:スイフト・ワゴンRなど
- マツダ:マツダ3・CX-5など
- 三菱:アウトランダー・デリカなど
- ダイハツ:タント・タフトなど
各メーカーで性能が若干異なるものの、ここでは挙げきれないほどの自動ブレーキ搭載車が多く販売されています。
自動ブレーキ義務化について、覚えておきたいこと
2019年2月、日本を含む世界40カ国が自動ブレーキの新車搭載に合意しました。いつから義務になるのか、またなぜ義務になるのかを解説していきます。
2021年11月からフルモデルチェンジする新車が対象
国産車の自動ブレーキ義務化の対象は、軽自動車・普通車とともに2021年11月にフルモデルチェンジする新車からです。既存の車種の場合は2025年12月以降の自動車が対象になります。
高齢化社会が義務化のひとつの原因
自動ブレーキの義務化に至った理由のひとつとして、高齢化社会が挙げられます。ブレーキとアクセルの踏み間違いでおきる事故を未然に防ぐのが目的です。
また、多忙な現代人の居眠り運転が起因する事故も防止できます。自動ブレーキは現代に欠かせないシステムだといえるでしょう。
自動ブレーキ義務化へのよくある3つの疑問点
自動ブレーキが義務化される将来は確実に訪れます。そこでよくある疑問を3点、解決していきましょう。
自動ブレーキのない車はもう乗れない?
自動ブレーキが搭載されていない自動車は、今までと同じように走行可能です。自動ブレーキ義務化の対象はこれから販売される新車のみなので、車の買い替え等は一切必要ありません。
自動ブレーキのない車への後付けはできる?
自動ブレーキの後付けはできません。しかし、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止する「ペダル踏み間違い加速抑制装置」は後付け可能で、自動ブレーキの代わりとなりえます。
このシステムは車の前方と後方にセンサーを取り付けて急加速を検知し、ブザーやランプでの警告に加え、加速をクリープ程度のゆっくりとしたものにしてくれます。
自動ブレーキ搭載により、車体金額は増える?
自動ブレーキ搭載によって車体金額は増える可能性が高いです。しかし、国が打ち出している「サポカー補助金」や各自治体が独自に設定している補助を利用すれば、安く手に入れることも可能です。
自治体によって補助金制度の金額や利用条件が違うため、お住いの地域のホームページなどをチェックしてみてください。
自動ブレーキ義務化の流れは世界的なもの
自動ブレーキ義務化について、詳細やよくある疑問について解説しました。
対象は主に自動車を製造販売するメーカーで、私たち消費者がすべきことは特にありません。自動車の買い替えが必要ないのも安心ですね。
もし自動ブレーキ搭載車が欲しくなったら、補助金をうまく利用してお得に手に入れることもできます。完全互換ではありませんがペダル踏み間違い加速抑制装置は後付け可能です。
制度をうまく利用して安全なカーライフを実現してください。
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