車のエンジンをかけようとしたが、バッテリー上がりで始動しない。そんな非常時に役立つのがジャンプスターターです。
ジャンプスターターは、車のバッテリーを急速に充電して始動できる強力なモバイルバッテリーです。これがあればバッテリーが切れてもJAFやロードサービスを呼ぶことなくエンジンを始動させられます。
本記事では、ジャンプスターターとは何か、どんな時にどう使うか、選び方について紹介します。電気関係は難しそうなイメージがあることは否めませんが、ジャンプスターターは簡単に使えて非常時に大活躍します。
この内容を覚えておいて、万が一の事態に備えましょう。
ジャンプスターターとは?
ジャンプスターターとは充電が切れたバッテリーを急速充電する、強力なモバイルバッテリーのことです。車のバッテリー以外にも、スマホ、カメラなどの電子機器も充電できるものもあります。
ジャンプスターターが役に立つ場面
ジャンプスターターが役立つ場面はバッテリー上がりでエンジンがかからなくなったときです。バッテリーを充電してエンジンを始動させられるので、立ち往生することがなくなります。
他にも、スマホの充電が切れたとき、キャンプでライトをつけたいときなど、電子機器に電気を供給したいあらゆる場面で役立ちます。
ジャンプスターターがない場合のバッテリー上がりの直し方
ジャンプスターターがない場合、バッテリー上がりは以下の方法で直します。
- JAFやロードサービスを呼ぶ
- スターターケーブルを使い他の車から電気をもらう
- バッテリーを新しいものにする
バッテリー上がりを含むさまざまなトラブルの際、JAFやロードサービスに連絡すると助けに来てくれます。ただ、連絡してから到着するまでの間は、待機することしかできません。
ブースターケーブルを使えば、他の車のバッテリーから電気をもらってエンジンをかけられます。
ブースターケーブルとは、バッテリーのマイナス端子をつなぐ黒のケーブル、プラス端子をつなぐ赤のケーブルが2本で1セットになったケーブルのこと。ジャンピングスタートと呼ばれるこの始動方法の難点は、自宅駐車場や人気のない場所など、周りに車がないときには使えないことです。
バッテリーを新しいものにすればエンジンはかかりますが、そもそも買いに行く足の車が動きません。また、お店の営業時間外であれば足があっても購入できません。
充電済みのジャンプスターターがあれば、すぐにバッテリーを最低限充電してエンジンをかけられますし、場所や時間帯にも影響されません。そのため、ジャンプスターターを一台持っておくと、いざというときにとても安心です。
ジャンプスターター保管時の注意点
ジャンプスターターは大容量の充電池です。誤った取り扱いをすると事故につながるので、以下の適切な保管を心がけてください。
- 直射日光・高温を避ける
- 定期的にバッテリー残量を確認する
- 子ども・ペットが触れないところに保管する
ジャンプスターターを車に載せっぱなしだと非常に危険です。JAFによると、真夏の車内は50℃を越え、ダッシュボードであれば80℃近くまで上昇します。この高温がジャンプスターターの発火を引き起こすので、家の中の直射日光が当たらない涼しい場所に保管することに留意してください。
また、ジャンプスターターは使っていなくても定期的に残量を確認し、充電することをおすすめします。残量がない状態で放置していると、蓄えられる電力量が減る上に緊急時にも使えません。一般的には、バッテリー残量が半分を切ったら充電するとよいといわれています。
最後に、ジャンプスターターは不適切な取扱いをすると危険なため、子どもやペットが触れない場所に保管するようにしてください。
ジャンプスターターの使い方
ジャンプスターターは以下の手順で使います。
まずはジャンプスターターの充電残量を確認します。大半のジャンプスターターは、本体のボタンを押すと残量が表示されるかと思うので、50%以上は充電がある状態で使用して下さい。
もし充電が不足していたら、家のコンセントで充電してください。
続いて、ブースターケーブルをジャンプスターターに接続します。奥まで確実に差し込むことがポイントです。
自動車のバッテリーにブースターケーブルを接続します。赤をバッテリーのプラス端子に接続し、次に黒をマイナス端子につなげます。
プラス、マイナスの順番に接続する理由はショートを防ぐためです。車はマイナスに帯電しているため、マイナス→プラスの順番に接続すると、プラスが車体に触れたとき回路が完成し電気が流れ、ショートを起こします。
プラス→マイナスの順につければ、プラスを付けたときマイナス側は外れているので、ショートを起こしません。
ジャンプスターターを付けたら、すぐにエンジンを始動させます。いつも通りスタートスイッチを押したりキーを回せば問題ありません。
エンジンが付いたらブースターケーブルを外します。付けたときと逆で、マイナス→プラスの順にケーブルを外してください。この理由も、接続時と同様にショートを防ぐためです。
ジャンプスターターの7つの選び方
ジャンプスターターを選ぶ基準を7つ紹介します。
選び方1.バッテリーの種類
ジャンプスターターに使われる蓄電池は数種類ありますが、よく使われる以下2つを紹介します。
- リチウムイオン電池
- リチウムポリマー電池
両者の蓄電の仕組みはよく似ていて、両方ともリチウムを使っています。正確にいうとリチウムイオン電池の一種がリチウムポリマー電池です。
リチウムイオン電池は蓄電に液体が使われる一方、リチウムポリマー電池はポリマーと呼ばれるゲルが使われます。
両者ともコンパクトかつ安価ですが、リチウムポリマーのほうがよりその傾向があります。
他にも、リチウムマンガンや鉛電池がありますが、乗用車向けのジャンプスターターは大半がリチウムイオン、またはリチウムポリマーでしょう。
選び方2.バッテリーの電圧
バッテリーの電圧も要注意ポイントです。
乗用車であれば12V、トラックやバスであれば24Vを使います。適した電圧のジャンプスタータを使わないと故障の原因になるので、購入する前にジャンプスターターの電圧をチェックしてください。乗用車用であれば12Vで問題ありません。
選び方3.電流の大きさ
電流の大きさはジャンプスターター選びで最重要ポイントのひとつです。
バッテリーにはCCAと呼ばれる「最低この値以上の電流を流さないとエンジンが始動しません」という値があります。たとえばCCA 300Aのバッテリーには最低でも300Aの電流が流れるジャンプスターターが必要です。ただ、余裕をもってより電流が大きいものを選ぶのが安心でしょう。
CCA値はバッテリーに記載されていることもありますが、公開していないメーカーも少なくありません。普通サイズの乗用車であれば、ピーク電流が800Aくらいの小型のジャンプスタータでも問題ないでしょう。
選び方4.容量の大きさ
容量が大きければそれだけ多くの電気を貯められます。
バッテリーが完全に空っぽになってしまったら、セルだけでなくライトやメータ類も点灯しません。その場合はある程度多くの電気をバッテリーに送り込む必要があるので、大きな容量のジャンプスターターが必要です。小さなものでも何度も充電すれば大丈夫ですが、手間と時間がかかります。
選び方5.保護機能や防水機能の有無
ジャンプスターターには以下の多重保護機能がついているものがあります。
- 逆電流保護
- 短絡保護
- 過熱保護
- 過充電保護
- 過放電保護
- 逆接続保護
- 過電流保護
- 逆極性保護
ジャンプスターターは大きな電力を用います。プラスとマイナスを逆に接続したり、何かしらの理由でショートしたりしたときに、使用者の安全やジャンプスターター自体を守る保護機能があるものの購入をおすすめします。
また、雨の中で使う可能性もあるため防水機能があるとさらに安心です。
選び方6.車以外への活用の有無
ジャンプスターターは車のバッテリー充電以外に、たとえば以下の機能を持つものがあります。
- USB端子
- MicroUSB
- LEDライト
USB端子やMicroUSB端子を使って、スマートフォンやカメラなどを充電できるものもあります。モバイルバッテリーのように使用できて、非常に便利です。
LEDライトが付いていると、暗い中での作業時や周囲に緊急事態を知らせる際に役立ってくれるでしょう。
選び方7.価格
よいものを選ぶと、どうしても値段が上がります。予算と相談しながら、必要な機能がついているジャンプスターターを選んでください。
以下におすすめのジャンプスターターを3つ紹介します。なお、すべて2024年3月時点の価格です。
ひとつめは、兵庫県に本社を構えるエーモンのジャンプスターターです。
充分な容量を持ち、保護やLEDライト、モバイルバッテリーなどほしい機能が漏れなくついています。価格は9,800円と安くはありませんが、日本の有名メーカーというのも安心できるポイントです。
ふたつめはBIUBLEのジャンプスターターです。おそらく中国のメーカーかと思われます。
保護機能、モバイルバッテリー、LEDライトが装備されています。中国のメーカーなので不安に感じる方もいるかもしれませんが、PSE認証という電気用品安全法の基準を満たした製品のみ認可される認証を取得しています。
Sサイズ(12800mAh)で4,799円というお手頃価格もうれしい点でしょう。
最後に紹介するのはBUTUREのジャンプスターターです。
他と同じく保護機能、モバイルバッテリー、LEDライトが付いていて、さらにエアコンプレッサーまで装備しています。長期間放置していてバッテリーが切れた車は、タイヤの空気も少ないことが多いので、そのときにコンプレッサー機能が活躍してくれるでしょう。
値段は7,999円。コンプレッサー付きでこの価格はお手頃かもしれません。
まとめ
ジャンプスターターの使い方や選び方を紹介しました。
車がバッテリー上がりしたとき、ジャンプスターターを持っているとJAFやロードサービスを呼ぶことなくエンジンを始動できます。
いざというときのために1台持っておくと安心でしょう。モバイルバッテリーとしても使えるので、緊急時だけでなく普段からも役立ってくれます。
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