昨今ニュースで悪質なあおり運転、飲酒運転やそれに伴う事故を目にします。
大変悲しいと共に、加害者に対する憤りを覚える方も多いのではないでしょうか。
多くの方は、そのような運転はしないよう努力されていることと思います。
今回は危険運転の種類を事例や罰則も交えてご紹介していきます。
危険運転とは?
まず危険運転とは、どういった運転のことを指すのでしょうか。
この項では危険運転の基本的な知識について、ご説明いたします。
危険運転とは?
そもそも危険運転とはどういった状態の運転を指すのでしょうか。
例えばアルコールや薬物を摂取し正常な運転ができない、制御不可能な高速度を出す、高速道路での強引な割り込み、高速度で赤信号を無視し、人を負傷させたり死亡させるといった危険運転致死傷罪にあたることを言います。
こういった危険運転により人を負傷させた場合15年以下、死亡の場合は1年以上20年以下の懲役に科せられます。
自動車は正しく使えば便利な乗り物ですが、一歩間違えれば凶器になります。
「自分は大丈夫だと思っていた。」
「つい、カッとしてしまった。」
「次からは気を付けます。」
では済まされない重大な罪になることを覚えて頂ければと思います。
危険運転致死傷罪とは?
それでは危険運転致死傷罪について、より詳細に見ていきましょう。
危険運転致死傷罪は、一定の危険な状態で自動車を走行・運転し、人を死傷させる罪です。
2001年の刑法改正により、刑法第208条の2に新設された規定であり、その後、2013年に公布された自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)(平成25年11月27日法律第86号)に独立して規定されることになりました。
実際、法廷においては不適用になることも多く、被害者・遺族を落胆させるケースも多くあります。
適用条件に明確性がなく、曖昧であり法律自体に問題があるという意見も聞かれます。
構成要件の詳細については、後ほどご紹介いたします。
危険運転致死傷罪ができた経緯
成立したきっかけの一つとして、1999年に起きた東名高速飲酒運転事故があります。
これは東名高速道路で飲酒運転のトラックが女児2名を死亡させたもので、その後2001年に制定されています。
危険運転は主に6種類に分けられる
危険運転の類型は主に6種類に分けられます。
法律の分類については先に述べましたので、構成する要件についてもう少し分かりやすく解説していきましょう。
1.酩酊危険運転
アルコール(飲酒)又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2.高速度危険運転
その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3.技能欠如危険運転
その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4.通行妨害目的危険運転
人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
5.信号無視危険運転
赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
6.通行禁止道路危険運転
通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
平成二十五年法律第八十六号
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 第二条 (危険運転致死傷)より
身近な危険運転の事例と罰則
ここまで読み進めていただくと、改めて危険性がイメージできたと思います。
あおり運転や飲酒運転、暴走運転といった身近な運転の実際の事例、罰則についてもう少し詳しく掘り下げてみましょう。
あおり運転の事例と罰則
あおり運転となる事例としては、まず車間距離を詰めるイメージが浮かぶでしょう。
しかしこれだけではありません。
危険回避目的ではなく急ブレーキを踏み、後続車に嫌がらせをすることもそうです。
また対向車線へのはみ出しも該当します。前後車両に不安感を与えるうえ、対向車にも危険を及ぼします。
他にも急な進路変更や危険な追い越し、執拗なパッシング、執拗なクラクション、蛇行運転、幅寄せなど多岐にわたります。
機嫌が悪いときや無自覚に行っていたり、ちょっとした仕返しで意地悪をしたりしていないでしょうか?
絶対に行わないよう、自制しましょう。
こういった妨害運転における罰則は次のようになります。
交通の危険の恐れがある妨害運転に対する罰則
3年以下の懲役または50万円以下の罰金 違反点数25点 欠格期間2年の運転免許取消(前歴・累積点数がある場合、最大5年)
著しい交通の危険がある妨害運転に対する罰則
5年以下の懲役または100万円以下の罰金 違反点数35点 欠格期間3年の運転免許取消(前歴・累積点数がある場合、最大10年)
さらに自動車の通行を妨害する目的で、前方に停止したり、著しく接近する運転などで人を負傷させた場合に15年以下の懲役、死亡させた場合に1年以上の有期懲役に処されることもあります。
飲酒運転の事例と罰則
飲酒運転といえば「酒気帯び運転」、「酒酔い運転」が思い浮かびます。
酒気帯びは呼気アルコール濃度0,15mg以上、酒酔いはアルコールの影響で正常に運転できない恐れがある状態とされます。
ちなみに酒気帯び運転の罰則は、アルコール濃度0,15mg以上0,25mg未満で13点 免許の停止(前歴ありは取消し)となります。
0,25mg以上で25点、免許の取り消し(欠格期間2年)です。
刑事罰は0,15mg以上は全て、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
酒酔い運転の処分は、35点、免許の取り消し(欠格期間3年)となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
さて飲酒運転が原因で死傷事故を起こすと危険運転致死傷罪に当たります。
その場合の罰則はどうなるでしょうか。
飲酒運転による危険運転致死傷罪
相手を負傷させた場合、15年以下の懲役となります。
相手を死亡させた場合、1年以上の有期懲役(最大20年)となり、懲役刑のみの刑事罰となります。
暴走運転の事例と罰則
例えば暴走族などによる蛇行運転や危険な幅寄せ、進路妨害、過剰なクラクション、スピード違反といった迷惑な暴走行為についてはどうでしょうか。
当然こういった行為により死傷事故を起こせば、危険運転致死傷に当たります。
罰則として15年以下、死亡の場合は1年以上20年以下の懲役に科せられます。
免許は取り消し処分(欠格期間5年)となります。
余裕のある安全運転を心がけよう
罰則に当てはまるような行為をすると、とても重い代償を支払わねばなりません。
まずは危険運転をしないということが基本です。
運転をしていて、もしイラッとしても平常心を保つようにしましょう。
あおり運転などしても何も良いことはない。
これは当たり前のことですが、誰しもが心に留め置くことが重要です。
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