皆さんは高速道路などを運転中に「自動速度取締機設置区間」という看板を目にしたことはありませんか?
実はあの看板は「この先にオービスがある」という目印なんです。
それを知らずにスピードを出しすぎると車と顔の写真を撮影され、後日警察署への出頭を促す通知書が届きます。
車を運転している方のほとんどは法定速度を守り安全運転を心がけているはずですが、うっかりスピード違反をしてオービスを光らせてしまうという事も考えられます。
今回はオービスに関する基礎知識から、万が一オービスに写真を撮られてしまった場合の対応などについて詳しく解説していきます。
オービスとは?
そもそもオービスとはどういうものなのか、簡単に言ってしまうと「速度違反を検知すると自動で写真を撮影する機械」です。
車の車種やナンバー、運転者の顔を撮影し、誰がいつどこでスピード違反をしたかが判別できるシステムになっています。
少し前まではオービスは決まった場所にしかなく、設置されている場所さえ知っていればその場所だけスピードを落として通過するということが可能でした。
ですが近年では移動式オービスというものが普及し始め、いつどこで取り締まりをしているか分からなくなりました。
スピード違反で検挙されないようまずはオービスの基礎知識から見ていきましょう。
オービスが反応する基準
厳密には制限速度を1km/hでも超過するとスピード違反ということになってしまいますが、車によって実際のスピードとスピードメーターの表示は微妙に異なります。
なので一般的には制限速度から10km/h以上超過すると取り締まりの対象になるといわれていますが、ではオービスの場合はどうでしょうか。
オービスがどのくらいの速度で作動するかは公表されていませんが、一般道では30km/h以上、高速道路では40km/h以上の速度超過で作動するといわれています。
超過した速度によって違反点数や罰金は異なりますが、オービスを光らせてしまった時点で違反点数6点は確実なので免停処分と罰金が課され、罰金は刑事罰ということで前科がつきます。
万が一オービスを光らせてしまったら最低でも免停30日間と数万円の罰金は覚悟しましょう。
オービスの種類
オービスとはどのような種類があってどのような見た目をしているのでしょうか。
先ほども少し出てきたようにオービスには固定式と移動式があり、固定式の場合は道路上に大きな機械が設置されているので分かりやすいと思います。
固定式にもいくつか種類があり、現在最も多く使用されているのが「LHシステム」と呼ばれるもので、大きなカメラとフラッシュがふたつ並んで設置されているのが特徴です。
このLHシステムの他には「Hシステム」「レーダー式」などがあり、いずれも道路上に大きな機械が取り付けられているので見つけることは難しくありませんが、スピード違反をしていると見つけた時には手遅れになっている場合が多いので注意しましょう。
続いて移動式オービスについて解説していきます。
移動式オービスとは?
固定式オービスとは違い、いつどこで取り締まりを行なっているか分からないことが多いのが移動式オービスです。
移動式オービスにも種類が複数あり、いわゆる「ネズミ捕り」に使用されるのも移動式オービスのひとつです。
小型で移動が簡単なうえに、固定式のような「自動速度取締機設置区間」の看板も出ていないことが多いため、見つけることは困難です。
ネズミ捕りとの違い
ネズミ捕りも移動式オービスを利用した取り締まりのひとつですが、では他の移動式オービスとの違いはどこにあるのかというと、ネズミ捕りは速度超過した車が通過した場合、その場で停止を求められ反則切符を切られます。
その他の移動式オービスでは固定式オービスと同様に、写真を撮影され後日警察署への出頭命令が届くので、その場で切符を切られるか、後で警察署へ出頭するかの違いということになります。
移動式オービスの種類
移動式オービスは気軽に移動できるものが多く、小型のものは生活道路で使用されている場合もあります。
ワンボックスタイプの車にカメラと速度計を載せて取り締まりを行うタイプや、人の手で移動が可能なほど小型なものなどがあり、いつどこで取り締まりをしているかわかりにくいのが特徴です。
固定式オービスが設置されておらず、かつスピードが出やすい場所で使用されることが多く、小型なため移動が簡単で、設置費用を抑えられることから近年急速に普及してきています。
また最近では、いわゆる「レーダー探知機」では探知できない方式のものが多く採用されているので、事前の探知も難しくなっています。
オービスを光らせてから通知がくる期間や対応方法
ではいざオービスを光らせてしまったらどう対応すれば良いのでしょうか。
撮影されてしまった時点で免停と罰金は覚悟しておかなければなりませんが、ではいつまでに警察に行きどのような手続きをしなければならないのか、都道府県によって多少の違いはありますが大まかな流れは同じなので順を追って解説していきます。
出頭通知書が届く
スピード違反をしてから早ければ数日、遅くとも1ヶ月程度で出頭通知書が自宅に届きます。
日時や出頭場所、持参品等が記されているので指定の日時に警察署に出頭しましょう。
出頭場所はほとんどの場合が警察署になります。
警察署へ連絡
旅行先や出張先などでスピード違反をしてしまい、自宅から遠く離れた警察署への出頭命令が来た場合は、出頭する警察署を変更してもらうことが可能です。
その場合は出頭通知書が来た警察署へ連絡し、最寄りの警察署への変更をお願いしましょう。
出頭通知が最寄りの警察署の場合でも日時の都合が悪ければ変更してもらうことも可能です。
警察署へ出頭
警察署へ出頭すると、事実関係の確認や調書の作成が行われ、オービスで撮影された写真の本人確認や車の確認などが行われます。
出頭通知が来るのははっきりと運転手の顔が写っている場合がほとんどなので、ここで容疑を否認したり嘘をつくと最悪の場合は偽証罪に問われる場合もあるので注意しましょう。
出廷通知書が届く
警察署へ出頭してから数日後には、裁判所への出廷通知書が届きます。
出頭通知と同様に、出廷日時、場所、持参品等が記載されています。
出廷通知書には現金を持参するよう記載されている場合もあり、その場で罰金を支払うことができるように10万円程度を用意して出廷するということもあるようです。
簡易裁判所へ出廷
指定の日時に裁判所へ出廷し、警察から調書の内容に誤りがないかを確認された後、問題がなければ同意書にサインと捺印をして、しばらく待つと判決が下るのでその後罰金を支払い裁判は終了です。
罰金はその場で支払うか後日振り込みによる支払いをするかのどちらかになり、裁判所によって支払い方法は異なります。
呼出通知書が届く
裁判が終わると数日から数週間で行政処分のための警察署への呼び出しがあり、免許停止の期間が決定されます。
警察署に行く日から免許停止となるため、車で行くことはできません。電車、バス、タクシーなどの交通機関を利用しましょう。
呼び出しの日時に行くことができない場合は変更も可能です。
免停手続き
警察署に行くと免許停止の期間が決定されます。
スピード違反では超加した速度によって違反点数が決定され、点数に応じた期間の免停処分となります。
オービスで検挙された場合は30km/h以上の速度超過になるので最低でも違反点数6点、30日間の免停処分になります。
免停期間は30日から最大で180日ですが、処分の期間は過去3年間の交通違反の点数によっても変化します。
過去3年以内に交通違反をしている方は免停期間が思っていたより長くなる事もあるので注意しましょう。
免停手続きは代理人に委任することも可能です。
免停講習受講
免許停止の処分が決定された後、希望者は「免許停止処分者講習」を受けます。
この講習は任意なので受けるか受けないかは自由に選択することが可能で、受ける場合は違反点数に応じた時間の講習を受け、料金を支払う必要があります。
違反点数や免停の日数に応じて数万円程度の料金が必要になりますが、この講習を受けると免停期間が30日あったものが1日になる場合もあります。
このように免停期間が大幅に短縮される場合もあるので、日常生活や仕事で車が必要な方は受講することをおすすめします。
免許証返還
免停期間が終わると警察署に免許証を取りに行きます。
この時は特別な手続きなどはなく、免停処分が決まった時にもらった書類と印鑑を持っていけばすぐに免許証が返還されます。
免停手続きと同じく代理人に委任して代わりに取りに行ってもらうことも可能です。
オービスを回避する対策
ここまでオービスやスピード違反の処分について詳しく解説してきましたが、では車を運転中にオービスを回避するためにはどうすれば良いのでしょうか。
もちろん最も重要なのが普段からスピードを出しすぎないよう注意することです。
ですが信号が少ない郊外の道路や深夜の人通りが少ない時間、渋滞のない高速道路など知らず知らずのうちにスピードを出しすぎてしまう場面もあり、油断していると検挙されてしまうかもしれません。
ではスピード違反やオービスを回避するためにはどこに注意すればいいのか、対策方法について考えてみましょう。
設置場所の把握
実はオービスの設置場所はインターネットで調べれば出てきます。
設置情報が出てくるのは固定式オービスのみですが、旅行や出張前などあらかじめ通るルートのどこにオービスがあるかを調べておけば、設置場所付近に近づく前にスピードを落とすなどの対策が可能です。
ですが移動式オービスはいつどこに現れるか分からないので、スピードが出やすい場所や、よくネズミ捕りを行なっている場所などは注意しましょう。
レーダー探知機を設置
車に取り付ける便利な道具のひとつにレーダー探知機があります。
これはオービスが発するレーダーを探知して事前に運転者に知らせてくれるものですが、最近ではレーダーを発しないオービスも増えてきており、頼りすぎるのは危険です。
ないよりはあったほうがマシ、くらいに考えておきましょう。
オービス検知アプリを利用
最近ではレーダー探知機の代わりにスマホのアプリでオービスを探知できるものがあります。
アプリでは固定式オービスの情報はもちろん、移動式オービスやネズミ捕りの情報まで見られるものが開発されています。
スマホをカーナビの代わりに利用する方が増えてきているように、レーダー探知機もスマホアプリに移り変わってきています。
どんどん道具は便利になっていきますが探知機やアプリを使っているから大丈夫と考えるのではなく、常に制限速度を守る運転を心がけていればスピード違反は避けられるはずです。
今回紹介したものはあくまでもうっかりスピードを出しすぎたときに気づかせてくれる補助的なものとして考えておきましょう。
法定速度を守り、安全なカーライフを送ろう
オービスを光らせてしまうと最低でも30日の免停になってしまいます。
講習を受講すると期間を短縮することはできますが、それでも最短1日の免停と数万円の罰金、講習受講料金が必要です。
日常生活で車がないと困る方も多いでしょうし、車が必須の仕事に就いている方は最悪の場合職を失いかねません。
今回の記事はオービスについて詳しく解説してきましたが、皆さんはスピード違反で検挙されないよう普段から制限速度を守り、自分も他車も安全に走行できるよう努めましょう。
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