自動車関係の仕事に就いてみたい、漠然とでも考えたことが有る方は多いかもしれません。
自動車生産・販売は国の基幹産業として、多くの仕事を人々に提供しています。
今回は特に車好きに必見、自動車関係の仕事にはどのようなものがあるか、を詳しくご紹介させていただきます。
また自動車関係の仕事に就くメリット・デメリットについても触れてみたいと思います。
ちなみに、筆者は新卒で国産某ディーラーに7年程務めた経験があり、現在はまったく畑違いの職種を生業としつつ、自動車やアウトドア記事・コラム執筆を副業としています。
必ずしもメインの仕事でなくとも、自動車に係ることができる世の中になっている、と肌で感じる今日この頃です。
自動車関係の仕事を6つのタイプに分けて徹底解説
まずは自動車関係の仕事を6つのタイプに分けて、解説していきましょう。
それぞれの職種と仕事内容、その仕事に求められる資格スキル、平均的な年収などにも触れていきます。
年収や収入に関しては、会社や環境、仕事内容によって変わる為、調べる範囲で一般的といえる金額とご理解下さい。
①車の設計や開発に関する仕事
設計・開発エンジニア、カーデザイナー
自動車メーカーが新しい自動車の発売を計画する際、最初期の仕事となるでしょう。
発売を目指す車両のコンセプトに沿って、性能やデザインを決め、実際の自動車を開発、自動車産業の花形といえる職種かもしれません。
設計・開発というと、外装デザインが思い浮かびますが、基礎設計段階から係る仕事もあり、いずれにせよ非常に高度かつ専門的なスキルが求められます。
デザインに於いても、見栄えの良いエクステリア・インテリアを想像するだけでなく、安全性と実用性のバランスも求められます。
基礎設計などでは流体力学・材料力学などを大学及び大学院で学ぶ必要があります。
デザイン志望であれば、美術大学出身者がデザイン事務所や自動車メーカーに就職し、下積みを重ねるのが一般的です。
800万円~1000万円
②車の製造に関する仕事
ライン製造業、それに伴う期間工など
自動車を実際に製造する仕事です。
工場での組み立てが、一般的に考えられる職種でしょう。
仕事としては、パーツの製造、組立て、検査・検品が代表的です。
一般的には、工場でのライン作業となります。
何を作るか、組立てるかによって仕事の内容が変わりますが、エンジンの組立て、外装パーツのはめ込み、シートの取り付けなど、非常に多くの工程(仕事内容)が存在します。
非常に複雑かつ専門性が求められそうですが、必ずしも特殊なスキルがなくとも、マニュアルと工程を覚えることで、活躍できるように効率化されています。
ライン作業での組み立ては、自身が担うスポット作業を正確に行うのがポイントです。
繁忙期には、所謂「期間工」という契約社員を募集し、多くの方が製造業務に従事しています。
300~500万円
③車の販売に関する仕事
カーディーラー、中古車販売業
一般的に最も目にする機会の多い仕事かもしれません。
また自動車を購入する機会があれば、お世話になることでしょう。
カーディーラーはそのメーカーの新車販売が主ですが、下取りした車両を扱う中古車店舗も所有しています。
また中古車販売店も大小問わず、多く存在します。
自動車関係では代表的な仕事と認知されているかもしれません。
販売においては、大学や学校で専門知識の習得は基本的に必要ありません。
就職後、必要に応じて取得することになるでしょう。
査定士、保険募集に係る資格、販売に関する社内・業界内資格の取得が必要になるでしょう。
インセンティブが占める割合もある為、会社や個人の能力により変動が大きくなります。
入社したてで業績が出ない頃は300万円前後から、トップクラスの営業成績であれば1000万円プレーヤーも夢ではありません。
④車のサポートに関する仕事
整備士
自動車の整備士は、車の修理・点検・整備を担います。
またオプション品の装着やカスタマイズを担うこともあるでしょう。
故障に伴う修理など、自動車関係の中でも専門的かつ重要な職種です。
現在では、パソコン端末を使用した整備と点検、故障個所の洗い出しも行う必要があり、必ずしも「機械いじり」にとらわれない、幅広い知識と技術が求められます。
自動車整備士1級、2級が知られますが、実際にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、シャシなど細分化されています。
250~500万円前後
⑤車を運転する仕事
タクシー・バス運転手、運送業
人を乗せ、目的地に行くタクシーやバス運転手や荷物を運ぶ運送業が代表的です。
どちらも何かを目的地に乗せ運ぶという点ではおなじですが、いずれも責任が重く、一流の運転技術だけでなくルートの把握といった広範な知識も必要です。
タクシー・バスであれば運賃精算機の操作、接客テクニックも求められます。
運送業ならば荷物の積み下ろしや荷取扱いの知識も大事になるでしょう。
人を運ぶのであれば二種免許になり、バスでは大型二種免許の取得も必要です。
運送業では、使用するトラックによっては大型免許が視野に入るかもしれません。
タクシーは歩合制の給与体系も多く、300~600万円前後が多いようです。
バスは運行会社や路線、観光業など違いがありますが、360~500万円前後とされます。
⑥車の情報発信に関する仕事
情報誌ライター、webライター
自動車に係る情報発信を、情報誌・webサイトの作成や記事の執筆で行うライターです。
現在ではYoutubeなど動画による紹介も可能となっています。
出版社など企業に所属するか、フリーの記者やコラムニストに大きく分かれます。
特に国家資格などはありませんが、記事の執筆に伴う語彙力、国語力、社会常識と何より自動車に関する知識が必要です。
まったく自動車に興味がないところから執筆に至るケースもあるかもしれませんが、やはり自動車好きや知識がある人が多いのではないでしょうか。
契約形態によるものの専業であれば、250~600万円前後。
もちろん売れっ子ライターともなれば1000万円プレーヤーも可能かもしれません。
フリーの副業であれば、月数千円~数万円のお小遣い稼ぎという人も多いでしょう。
自動車関係の仕事に就くメリット・デメリット
さて自動車関係の仕事に就きたいと思うのには、いろいろな動機があるはずです。
車に乗るのが好き、メカが好き、販売業に興味がある、理由はいくらでもあります。
何より自らが望むなかで、その仕事に就くメリットやデメリットを考えたことはあるでしょうか。
必ずしもメリットやデメリットだけではないかもしれませんが、一度、検証してみるのも良いかもしれません。
自動車関係の仕事に就くメリット
国の基幹産業である、自動車製造またその販売に関する仕事のメリットを考えてみましょう。
企業の大小や産業への係り方によりますが、概ね給与水準は高めとされます。
やはり産業として仕事量も広範、一方でハードワークな場合も多いですが、常に優秀な人材が求められています。
資格が必要な仕事は特に人材不足で、ある程度の給与体系が維持されているといえるでしょう。
薄給なイメージを持たれがちなライン工場でも、自動車メーカーの製造工場においては、待遇はかなり良い部類です。
繁忙期でなくとも、寮・食事完備はざら、御祝い金や満期退職金が配られ、定期的な契約期間工だけで生計を立てる人もいるほどです。
また給与面だけでなく、最先端の技術、トレンドに触れられること、お洒落なディーラー店での接客も魅力に感じられるかもしれません。
また新車や中古車、整備サービスを社員割として利用でき、何かにつけ高額である自動車をお得にやりくりできるのも魅力です。
自動車関係の仕事に就くデメリット
メーカーで設計から係ると、そのプロジェクトの完遂までは数年かかります。
それ以外の仕事も同時に行うとはいえ、成果がでるまでにキャリアの何年かを消費します。
結果や成果が見えない中で、長く計画通りに進むのが大変なのは想像に難くありません。
また工場やメーカーによっては転勤で全国を渡り歩くこともありますし、海外赴任もないとはいえません。
何より自動車関連の生産、販売、サービスといえば、ブラックな労働実態を想像するのではないでしょうか。
実際、筆者も20年近く前の新卒~退職まで務めたディーラーは、昭和の臭いが色濃く残る職場でした。
ノルマはきつく、自爆営業当り前、上司はパワハラ気質(売上を袖に入れ、クビとなりましたが)、長大で無為な残業、休日出勤(そもそも定休がない)、煙草好きが多く火事でも起きてるが如く事務所内は真っ白、思い出すとさんざんな職場でした。
(とはいえ7年近く続けたのは、概ね同僚に恵まれたことと、それなりの成果を挙げていたことに誇りをもっていたのだと思いますが、現状に麻痺していたのかもしれません。)
今は相当に改善され、実態としての残業すらほぼないようです。
ただそれによる弊害(?)として、整備士らサービス部門はインセンティブによる給与アップが無い又は少ないので、残業代が非常に重要になるのですが、残業がない=給与が増えないという点は留意してください。
まとめ
自動車関連の職種は、非常に多岐にわたります。
その業界を目指すにしても、自身のスキルや資格、向き不向きを熟慮しましょう。
また筆者のように、自動車関連の本業と副業双方を経験する人間も稀にいますが、副業で業界に係るという手段も有りではないでしょうか。