みなさまは、発炎筒の正しい使い方をご存じでしょうか。
発炎筒は、高速道路や踏切で、急なトラブルに見舞われて車を動かせなくなったときに、危険を周囲の人に知らせる目的で使用します。
正しい使い方を知っていないと、緊急時にいざ使おうと思っても、うまく扱えないかもしれません。
この記事では、発炎筒の使い方や注意点について解説します。
いざという非常時に備えて、ぜひこの記事の内容を頭の片隅に置いておいてください。
発炎筒の使い方とは?
発炎筒を使うべき場面、使用手順や設置方法を解説します。
発炎筒を使用しなければいけない場面
道路上で、後続車がいるにもかかわらず突然の故障や事故などで車を動かせなくなった非常時に、発炎筒を使用します。
特に高速道路や見通しの悪いカーブでは、発炎筒を使うと共に三角表示板を設置しないと、後続車に追突される恐れがあります。
また、踏切上で突然車が動かなくなったときも、踏切の非常ボタンを押した後、発炎筒を使用して電車に危険を知らせましょう。
発炎筒の使用手順
一般的な発炎筒の使用手順は以下の通りです。
- 1. 発炎筒(助手席の足元左側にあるケースが多い)を取り出す
- 2. 発炎筒のキャップを外して、中から本体を取り出す
- 3. 本体の底に、外したキャップをはめる
- 4. 本体に取り付けられている小さなキャップを外す
- 5. 小さなキャップに取り付けられている「すり薬」に、本体をマッチのようにこすりつけて点火する
- 6. 手に持ったり道路に置いたりして、周囲の人に危険を知らせる
発炎筒の設置位置
点火した発炎筒は、停めた車の50m程度後方に設置しましょう。
夜間や悪天候で見通しが悪い場合は、さらに後ろに設置することをおすすめします。
あまりにも交通量が多く設置が困難な場合は、車の近くに設置してかまいません。
発炎筒の使い方で注意すること
発炎筒の取り扱いで注意すべきことをいくつか解説します。
発炎筒には使用期限がある
発炎筒には使用期限があり、JIS規格では4年と定められています。
4年以上経過した発炎筒は、主に吸湿による劣化が原因で、点火しなかったり、点火してもすぐに消えたりする可能性があります。
使用期限切れの発炎筒の処分はディーラーやカー用品店に依頼してください。
また、発炎筒は1度しか使えません。
使用済みの発炎筒は、十分に水につけて、火や熱がないことを確認してから燃えるゴミに出しましょう。
ガソリンやオイルが漏れている場合は使用しない
発炎筒は、急な故障や事故といった緊急時に使うものですが、ガソリンやオイルの漏れが見つかった場合、車のそばで使ってはいけません。
ガソリンやオイルに引火して、被害が大きくなる恐れがあります。
車から十分に離れて使いましょう。
トンネル等の煙がこもる場所は使用できない
トンネルのように煙がこもる場所では、発炎筒に点火してはいけません。
発炎筒を使うと炎だけでなく煙が出るので、トンネルのように煙がこもる場所で使うと視界が悪くなり、さらなる事故につながる恐れがあります。
トンネル内ではハザードランプを付けて停車しましょう。
点火は必ず車外で行う
発炎筒は必ず車外で点火しましょう。
車内で点火すると、車内に煙が充満して窒息の危険があります。
火の向きを考えて扱う
発炎筒からは勢いよく炎が出るので、火の向きによっては火傷や火災の原因になります。
火の向きを考えて扱ってください。
発炎筒についてよくある質問
発炎筒について、よくある質問に回答しながら解説します。
LEDタイプの発炎筒の特徴は?
実際に炎が出る発炎筒以外に、LEDタイプの非常信号灯もあります。
LEDタイプならば、繰り返し何度でも使えるのがメリットです。
煙が出ないので、トンネルのように換気が悪い場所でも使用できます。
点灯時間が長いことも、火薬式の発炎筒より優れているポイントです。
LEDタイプの非常信号灯に使用期限はありませんが、電池切れには注意しましょう。
また、明るい日中では、発炎筒よりも目立ちにくい点がデメリットです。
発炎筒は使用せず三角表示板だけでもいい?
発炎筒を車内に装備することは義務付けられていますが、緊急時の使用が義務付けられているわけではありません。
一方で、三角表示板は装備を義務付けられてはいませんが、高速道路上でやむを得ず停車する場合は設置が義務付けられています。
発炎筒をうまく扱えず点火できなくても罰則はありませんが、自分の身を守るためにも可能ならば使用しましょう。
発炎筒を装備していないとどうなる?
発炎筒は、車内に装備することが義務付けられています。
道路運送車両法の保安基準第43条の2で、基準に適合した非常信号用具を必ず備えるように定められています。
非常信号用具とは、発炎筒または非常信号灯のことを指します。
発炎筒の装備が義務付けられていますが、装備していなくても直接の罰則はありません。
ただし、国土交通省の街頭検査で指摘され、整備命令書が発行される可能性があります。
参考:国土交通省
15日以内に整備命令書に従わないと、道路運送車両法の54条に抵触し、同法108条が適用されれば、懲役6ヵ月もしくは30万円以下の罰金、109条が適用されれば50万円の罰金に科せられます。
また、発炎筒を装備していない場合、車検に通りません。
緊急時に自分の身を守るためにも、必ず発炎筒を装備しましょう。
発炎筒と発煙筒の違いは?
紛らわしい名称ですが、発「炎」筒と発「煙」筒は別物です。
どちらも緊急時に危険を周囲の人に知らせるために使うものですが、発炎筒はその明かりで、発煙筒はその煙で危険を知らせます。
発煙筒の煙は非常に多いので、道路で使うと視界が遮られ、危険が高まります。
発煙筒は山中や海上で遭難したときに使うことを想定しているので、道路上で使ってはいけません。
道路上では必ず発炎筒を使いましょう。
まとめ
発炎筒の使い方や注意点について解説しました。
突然の故障や事故で車を動かせなくなったときに、危険を周囲の人に知らせるために使うのが発炎筒です。
トンネル内では使えないこと、使用期限があることなどの注意点を把握していないと、二次的な事故が発生する恐れがあります。
この記事の内容を頭に入れておき、いざという緊急時に、発炎筒を適切に扱ってください。
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