みなさまは、V型エンジンの特徴をご存じでしょうか。
V字型になるようにシリンダーが左右交互に配置されているエンジンが、V型エンジンです。
V型エンジンは、搭載されている車が高性能・高級であることの証だとも言われます。
この記事では、V型エンジンの特徴や構造、メリット・デメリットを解説します。
V型エンジンが搭載されている車種も紹介します。
ぜひこの記事でV型エンジンの特徴を知り、車選びに活かしてください。
V型エンジンとは?
V型エンジンの特徴と構造、他のエンジンとの違いを解説します。
V型エンジンの特徴
V型エンジンは、その名の通り、見た目が「V字」であるのが特徴です。
近年は、高級なSUVやミニバン、高い走行性能を求められるスポーツカー、バスやトラックといった大型車の多くに採用されています。
F1やル・マン24時間レースといった自動車競技に出場するようなレーシングカーの多くにも、V型エンジンが搭載されています。
V型エンジンの構造
V型エンジンは、1本のクランクシャフトを挟んで「V字」になるよう左右交互にシリンダーが並んでいます。
左右で共通のクランクピンが用いられていることが特徴です。
ピストンの動きは、ピストン→コンロッド(コネクティング・ロッド)→クランクピン→クランクシャフトと経由して伝えられます。
V字の角度は、45°や60°、90°など様々で、角度が小さいものほどコンパクトです。
V型エンジンと他エンジンの違い
エンジンはV型以外に、直列型、W型、水平対向型、星型などの種類があります。
直列型エンジンは、シリンダーが1列に並べられています。
V型エンジンよりも全長が大きいので、広いスペースが必要です。
一方で、V型エンジンよりも部品点数が少なく構造がシンプルなので、コストを抑えられます。
乗用車に搭載されるエンジンとして最もポピュラーです。
W型エンジンは、W字になるようにシリンダーが交互に配置されています。
気筒を増やしても、V型エンジンよりコンパクトです。
街乗りには必要ないほどの高出力を持ち、製造コストが高額なので、一部の海外高級車に搭載されています。
水平対向型エンジンは、V型エンジンを左右に180度広げたような見た目をしています。
V型エンジンよりも横幅が大きいので、エンジンルームを圧迫しがちです。
しかし、対となるピストンが互いに振動を打ち消し合うので、V型エンジンよりも低振動です。
星型エンジンは、シリンダーを放射状に星の形のように配置したエンジンです。
V型エンジンよりも容易に気筒を増やせて、空冷しやすかったので、昔の飛行機に採用されていました。
空冷ではエンジンの冷却に限界があること、非常に大型であることがデメリットです。
第二次世界大戦前の一部の車に搭載されたこともあるようですが、現代の車には採用されていません。
V型エンジンのメリット・デメリット
V型エンジンのメリット・デメリットを解説します。
V型エンジンのメリット
V型エンジンは、他のエンジンよりも小さなスペースで大きなパワーを出せることがメリットです。
縦置きも横置きも可能なので、限られたスペースでも搭載できます。
コンパクトなので、6気筒だけでなく、8気筒、10気筒、12気筒と多気筒化して出力を高めることが容易です。
また、全長が短いので、ねじれるような振動が発生しにくいといえます。
シリンダーブロックやクランクシャフトも短くできるので、振動による曲げやねじりへの耐性があります。
V型エンジンのデメリット
シリンダーブロックが2つあるので、必要な部品が2倍になり、重量がかさむことがデメリットです。
構造が複雑なので、製造コストが高めであることもデメリットに挙げられます。
また、構造が複雑な分だけ、修理やメンテナンスに手間がかかります。
V型エンジンが搭載されている車
V型エンジンが搭載されている車種を3つ紹介します。
日産 GT-R
日産のGT-Rは、全モデルにV型エンジンが搭載された、人気のスポーツカーです。
GT-R専用に設計された「VR38DETT」エンジンにより、パワフルでありながら良好な燃費を実現しています。
航空機エンジンのノウハウを持つIHIと共同開発したターボチャージャーを採用し、加速性能を高めているのも特長です。
トヨタ アルファード
トヨタのアルファードは、ミニバンの中でも最大クラスのサイズの人気車種です。
2.5Lの直列4気筒ガソリンエンジン・ハイブリッドエンジンのほかに、3.5LのV型6気筒エンジンのモデルがあります。
走りの楽しさを追及する方は、3.5LのV型6気筒エンジンを選ぶといいでしょう。
インテリア・エクステリアは共に上質で高級感があります。
ステアリングサポートやブレーキサポートなどの先進安全機能も搭載されているので、大きな車の運転に自信がない方でも、安心して運転できるでしょう。
トヨタ ランドクルーザー
トヨタのランドクルーザー300系は、V型6気筒エンジンを搭載した大型SUVです。
過去の100系、200系ではV型8気筒エンジンを搭載していました。
ツインターボエンジンにより、パワフルな走りを実現しています。
ぬかるみや砂利道など、路面状況に合わせて自動的に走行モードを最適化する機能を搭載しているので、どんな道でも安心です。
オフロードで活躍するタフさを持ちながら、洗練された高級感もあります。
安全運転支援システムも充実しています。
まとめ
V型エンジンの特徴や構造、メリット・デメリット、V型エンジンを搭載した車種を解説しました。
V型エンジンはシリンダーがV字型に配置されており、コンパクトであることが特徴です。
ただし、構造が複雑である分、重量や製造・修理コストがかさむ傾向にあります。
レーシングカーだけでなく、日産のGT-Rやトヨタのランドクルーザーなどの高性能かつ高級な車種にも搭載されています。
車の購入を考えている方は、走りの楽しさを存分に味わえる、V型エンジンを搭載した車種も視野に入れてはいかがでしょうか。
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