みなさまは、W型エンジンについて詳しくご存じでしょうか。
W型エンジンは、W字のようにシリンダーが配置されたエンジンです。
基本的な構造はV型エンジンと同様ですが、V型エンジンよりも容易に気筒を増やせるのが特徴です。
高出力を誇り、ごく一部の高級な車種に搭載されています。
この記事では、W型エンジンの特徴や構造、メリット・デメリットと共に、W型エンジンを搭載した車種を解説します。
ぜひ本記事を読んでエンジンの種類に関して知識を深めてください。
W型エンジンとは?
W型エンジンの特徴、構造、V型エンジンとの違いを解説します。
W型エンジンの特徴
W型エンジンは、W字のようにシリンダーが配置されているのが特徴です。
1906年にオートバイ用として開発されたW型の3気筒エンジンが始まりです。
初期の航空機にも搭載されたことがあります。
自動車向けに、シリンダーバンクが3つあるW型エンジンの研究が進められましたが、構造が複雑すぎたため、市販されることなく1990年代終盤には廃れました。
2001年にフォルクスワーゲンが発表したエンジンが、4バンクのW型12気筒エンジンです。
V型エンジンを2つ重ねたような形をしており、3バンク型が抱えていた吸排気系の配置の問題を解消しました。
フォルクスワーゲンが特許を持っており、フォルクスワーゲンや、フォルクスワーゲン傘下のアウディ、ベントレー、ブガッティなどの自動車メーカーのみで採用されています。
W型エンジンは、街乗りには不要だといえるほど多気筒で高出力なものが多く、搭載されている車種は大半が高級車です。
W型エンジンの構造
W型エンジンは、1本のクランクシャフトに対しW字のようにシリンダーが配置されています。
シリンダーバンクが3つのエンジンもありますが、現在は4つのものが主流です。
4バンクのエンジンは、3バンクと区別するためにVV(ダブルブイ、ブイブイ)型と呼ばれることもあります。
12気筒や16気筒といった多気筒が一般的です。
W型エンジンとV型エンジンの違い
W型エンジンとV型エンジンは、基本的な構造は似ています。
1本のクランクシャフトに対して2バンクのシリンダーをV字に配置したのがV型エンジン、3バンクまたは4バンクのシリンダーをW字に配置したのがW型エンジンです。
シリンダーをW字に密集させて配置することにより、V型よりもコンパクトに多気筒化できるのがW型エンジンの特徴です。
ただし、V型エンジンよりも構造が複雑であり、製造、修理、メンテナンスの費用が高額になる傾向にあります。
W型エンジンのメリット・デメリット
W型エンジンのメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
W型エンジンのメリット
シリンダーを増やしてもコンパクトにできるのがメリットです。
自動車に搭載できるエンジンとしては、増やせる気筒数は最多クラスです。
多くの車種は、12気筒、16気筒と多気筒化されたW型エンジンを搭載し、圧倒的なパワーで滑らかに加速できます。
W型エンジンのデメリット
構造が複雑であることがデメリットです。
また、複雑な分だけ、製造や修理、メンテナンスにかかるコストが高額です。
技術の発展により直列エンジンやV型エンジンでも十分な加速を得られることから、W型エンジンほどの高出力エンジンの需要が少ないこともデメリットといえるでしょう。
現在は、フォルクスワーゲンが特許を持っていることもあり、競合他社は採用しにくいといえます。
フォルクスワーゲングループの一部の高性能かつ高級な車種にのみ搭載されています。
W型エンジンが搭載されている車
日本で手に入れられる車種は限られていますが、W型エンジンを搭載した車を紹介します。
フォルクスワーゲン パサート
フォルクスワーゲンのパサートには、2000年初頭に3年ほど、W型8気筒のエンジンを搭載した「W8」モデルがありました。
静音性が高めでありながらも、スムーズに加速できるのが魅力です。
日本の市場ではなかなか受け入れられず、2000年代中盤以降のパサートには、V型エンジンや直列エンジンが採用されています。
アウディ A8
アウディのフラッグシップ機であるA8の「D4」系には、W型12気筒のエンジンを搭載したモデルがあります。
W型エンジンによって、非常に高い加速性能を有しています。
ボディがアルミニウムで作られていることが特徴です。
パワーを必要としないときは12気筒の半分である6気筒で走行するので、燃費を抑えられます。
2018年以降の「D5」系の日本市場車には、V型エンジンが搭載されており、W型エンジンのモデルはありません。
ベントレー コンチネンタルGT
ベントレーのコンチネンタルGTには、W型12気筒の「スピード」モデルがあります。
ベントレーはイギリスの高級車メーカーであり、1998年からフォルクスワーゲングループに属しています。
コンチネンタルGTは、時速335kmにまで加速できるほど、エンジンがパワフルです。
アクセルを踏めば、力強いサウンドを出しながらも、軽快に加速していきます。
内装にスウェードがあしらわれていたり、シートにダイヤモンド型のキルティングが採用されていたり、ラグジュアリーな印象です。
クルーズコントロールやレーンアシストといった運転支援システムも搭載されています。
まとめ
W型エンジンの特徴や構造、メリット・デメリットと共に、W型エンジンを搭載した車種を解説しました。
W字のようにシリンダーが並んでいるのがW型エンジンの特徴です。
容易に多気筒化できる利点を活かし、W型エンジンを搭載した車種はパワフルな加速を売りにしたものがほとんどです。
構造が複雑な分だけ製造コストが高額であるため、アウディのA8やベントレーのコンチネンタルGTといったごく一部の高性能かつ高級な車種に採用されています。
この記事を読んでW型エンジンに興味を持った方は、W型エンジンを搭載した車種について詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
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