みなさまはオールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの違いを詳しくご存じですか。
通年使用できるオールシーズンタイヤは便利ですが、スタッドレスタイヤほどの氷上性能はありません。
スタッドレスタイヤは雪道や凍結路で高い制動性能を発揮しますが、夏の暑い日や雨天時の走行には不向きです。
本記事では、オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの違い、それぞれのメリット・デメリット、それぞれがおすすめな人を解説します。
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの違いとは?
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤのそれぞれの特徴、サマータイヤ(ノーマルタイヤ)との違いを解説します。
オールシーズンタイヤの特徴
オールシーズンタイヤは、夏でも冬でも、季節に関係なく十分な走行性能を持つタイヤです。
サマータイヤとスタッドレスタイヤの中間の性質を持ちます。
乾燥した路面ではサマータイヤに近いグリップ性能を、雪道ではスタッドレスタイヤに近いグリップ性能を発揮します。
タイヤ交換の必要がないので、突然の降雪にも対応可能です。
後述するように「スノーフレークマーク」が刻印されたオールシーズンタイヤであれば、冬用タイヤ規制中も走行できます。
スタッドレスタイヤの特徴
スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路に適したタイヤです。
低温でも硬くなりにくいゴムを採用し、滑りやすい雪道や凍結路でも十分に路面をグリップできます。
滑らないように溝の深さや細かさにも工夫が施されています。
タイヤに金属製の鋲(スタッド)が埋め込まれた「スパイクタイヤ」に代わり、スタッドレスタイヤが普及しました。
スパイクタイヤは、舗装路にダメージを与えること、削られた舗装路から発生する粉塵が人に有害であることなどから、環境大臣に指定された地域では国内での使用が禁止されています。
ただ、スウェーデンやフィンランドといった北欧の一部の国では、現在でも使われています。
サマータイヤ(ノーマルタイヤ)との違い
サマータイヤは、乾燥した路面では優れた走行性能を発揮します。
一方で、雪道や凍結路では滑りやすいことが欠点です。
冬の低温環境ではゴムのしなやかさが失われ、グリップ力が低下するためです。
冬用タイヤ規制が敷かれた道路は、サマータイヤでは走行が禁止されています。
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤのメリット・デメリット
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤのメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
オールシーズンタイヤのメリット・デメリット
オールシーズンタイヤは通年の走行に向いています。
季節に応じて交換する必要がないので手間がかかりません。急な降雪にも対応できます。
「スノーフレークマーク」が刻印されたオールシーズンタイヤであれば、冬用タイヤ規制が敷かれた道路も走行できます。スノーフレークマークは、ASTM(米国試験材料協会)規格において、寒冷地で性能が発揮できると認められた証です。
ただし、雪道や凍結路でのオールシーズンタイヤの制動性能は、スタッドレスタイヤほど高くありません。
特に凍結路面での制動力は、スタッドレスタイヤに大きく劣ります。
時速40kmで圧雪路と氷上を走行してブレーキをかけた際の制動距離を測る試験をJAFが実施しました。
圧雪路では、スタッドレスタイヤが約17m、オールシーズンタイヤが約23m、ノーマルタイヤが約30mでした。
オールシーズンタイヤは、スタッドレスタイヤほどではないにしろ、ノーマルタイヤよりも雪道を安全に走行できることがわかります。
しかし氷上では、スタッドレスタイヤの制動距離の平均が約80mであったのに対し、ノーマルタイヤとオールシーズンタイヤは20mも長い約100mでした。
スタッドレスタイヤのメリット・デメリット
スタッドレスタイヤは雪道や凍結路でも滑りにくいことがメリットです。
オールシーズンタイヤよりも高い氷上性能があります。
スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路では制動力が高いにもかかわらず濡れた路面では滑りやすいことがデメリットです。
スタッドレスタイヤの細かい溝による排水性能や柔らかいゴムによる吸水性能は、少し溶けた雪や氷の上では発揮されます。
しかし、雨に濡れた路面の水を排除したり吸い上げるほどの性能はありません。
さらに、濡れた路面では「ハイドロプレーニング現象」が起こる可能性があります。
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に薄い水膜が発生し、摩擦力が著しく低下する現象です。
ハイドロプレーニング現象が発生すると、ブレーキやハンドルが効かず車を制御できません。
乾燥した路面ではオールシーズンタイヤよりも摩耗しやすいこともスタッドレスタイヤのデメリットです。
低温でも硬くならないよう、柔らかいゴムでできているためです。
路面の温度が高い夏場では、ゴムがさらに柔らかくなり摩耗が進みます。
摩耗が進みやすいだけでなく、タイヤの接地面が熱によって変形し剥離が生じる「ヒートセパレーション現象」により、タイヤがバーストする恐れもあります。
冬場以外はスタッドレスタイヤの使用は避けましょう。
また、タイヤの種類にかかわらず、チェーン規制がかかった道路ではチェーンを装着しなければなりません。
特に急な勾配がある峠道に積雪や凍結があった場合、スタッドレスタイヤでもスリップする危険性が高いためです。
スタッドレスタイヤとはいえ雪道や凍結路でスリップすることはあるので、油断は禁物です。
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤ、どっちがいい?
オールシーズンタイヤがおすすめな人と、スタッドレスタイヤがおすすめな人の特徴をそれぞれ解説します。
オールシーズンタイヤがおすすめな人の特徴
オールシーズンタイヤは、年に数回しか積雪がない地域に住んでいる人や、雪の多い地域に車で訪れることが少ない人におすすめします。
オールシーズンタイヤは一年中交換せずに使用できるので、急な積雪にも対応できますが、スタッドレスタイヤほどの氷上性能はありません。
豪雪地域では、面倒でもスタッドレスタイヤに交換して走行しないと危険です。
スタッドレスタイヤがおすすめな人の特徴
スタッドレスタイヤは、積雪や路面の凍結が多い寒冷地に住んでいる人や、レジャーや帰省で雪の多い地域に訪れる人におすすめします。
積雪や路面の凍結が多い地域では、スタッドレスタイヤよりも制動力が低いオールシーズンタイヤでの走行は危険です。
スタッドレスタイヤを履き、さらにチェーンを積んでおきましょう。
まとめ
オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの違い、それぞれのメリット・デメリット、それぞれおすすめな人を解説しました。
オールシーズンタイヤは、季節に関係なく十分な走行性能を持ち、スノーフレークマークが刻印されていれば、冬用タイヤ規制中の道路でも走行が許可されます。
ただし、凍結路での制動力はスタッドレスタイヤと比べて低いので、過信してはいけません。雪道や凍結路を走行する機会が少ない人におすすめします。
スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路では高い制動力を発揮しますが、夏場に使うとヒートセパレーション現象により、タイヤがバーストする恐れがあります。手間がかかりますが、季節に応じて交換して使いましょう。
ぜひ本記事を参考に、オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの違いを十分に把握して、適切に使い分けましょう。
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