みなさまは、車を放置したまま乗らないとどうなるかご存じでしょうか。
車を放置したまま乗らないと、バッテリーやエンジンオイルに不具合が生じ、車が故障する恐れがあります。
本記事では、車を放置したまま乗らないと起こる現象や、車にしばらく乗らないときに実施するべきこと、久々に車を動かすときの注意点を解説します。
車を放置したまま乗らないとどうなる?
目安として、1ヶ月以上エンジンをかけず放置するのは避けましょう。
車を放置したまま乗らなかったときに起こる現象を解説します。
バッテリーが上がる
車を放置したまま乗らないと起こる代表的な現象は、バッテリー上がりです。
車のバッテリーは、エンジンの回転によって充電されます。車を使わずに放置すると、自然放電によって、徐々にバッテリーの充電が減ります。スマートキーシステムやカーセキュリティーシステムなどの、エンジンをかけなくても動作する機能が多く装備されていれば、さらに早く充電は減るでしょう。
バッテリーが上がると、エンジンを始動できず車が動きません。
エンジンオイルが劣化する
車を放置したまま乗らないと、各部品に行き渡っていたエンジンオイルが必要以上にオイルパンに落ちて、部品にエンジンオイルが行き渡らなくなります。
エンジンオイルが行き渡っていない状態でエンジンを動かすと、エンジン部品の摩耗が激しく進み、異音や振動が生じます。
最悪の場合、エンジンが破損し、走行中に突然停止して事故につながるかもしれません。
タイヤが劣化する
車に乗らなくても、タイヤの空気圧が徐々に低下します。タイヤの空気圧が低下したまま放置すると、車の重みでタイヤが変形して癖がつくことがあります。
また、タイヤは使っていなくても経年劣化します。溝が十分に残っていても、タイヤが劣化すると、タイヤの柔軟性が失われ、表面にひび割れが発生します。
変形したタイヤや劣化したタイヤを使い続けると、乗り心地が悪くなるだけでなく、最悪の場合、走行中にバーストして大事故につながるかもしれません。
ガソリンが劣化する
ガソリンは時間と共に徐々に劣化します。
ガソリンに含まれる成分が酸化してギ酸や酢酸に変わり、刺激臭を放ったり、金属部の腐食を引き起こしたりします。
また、揮発性の高い成分が抜けて、ドロドロとした成分が残り、フィルターや配管に目詰まりを起こしかねません。
ガソリンは半年以内に使い切ることをおすすめします。
エアコン内部にカビが発生する
長期間車に乗らないとエアコン内部にカビが発生することがあります。
エアコン内部に残った水分や湿気が原因です。
エアコン内部にカビが繁殖すると、悪臭を放つだけでなく、鼻炎や肺炎といった健康被害を引き起こすこともあります。
車を放置する際に最低限行うべきこと
車にしばらく乗らないときに実施するべきことを解説します。
タイヤの空気圧を高めにしておく
車にしばらく乗らない場合はタイヤの空気圧を高めにしておきましょう。
タイヤが車の重みで変形してつく癖を少なくできます。
ガソリンを満タンに入れておく
しばらく車に乗らない場合はガソリンを満タンに入れておくことをおすすめします。
ガソリンを満タンに入れておけば、空気に触れる面積が少なく、ガソリンの劣化を遅らせられます。ガソリン専用の劣化防止剤を使うのもおすすめです。
また、給油キャップを十分に閉めておかないと、ガソリンが空気に触れて劣化が早まったり、ガソリンタンクの金属部に水分が付着し錆び付いたりする恐れがあります。
車を放置する前は、給油キャップが十分に閉まっているか確認しましょう。
バッテリーのマイナス端子を取り外す
車に長期間乗らないのであればバッテリーのマイナス端子を取り外しましょう。バッテリーの自然放電を減らせます。
エンジンルームを開け、バッテリーにマイナスと記載されている方の端子を、ドライバーでネジを緩めて取り外してください。作業時は、感電防止のためにゴム手袋を着用しましょう。
ただし、バッテリーのマイナス端子を一度外すと、運転前に再び取り付けても、カーナビやオーディオなどの電子機器が正常に動かなくなる可能性があります。
サイドブレーキを解除する
通常、駐車中はサイドブレーキをかけますが、しばらく車に乗らないのであればサイドブレーキを解除しましょう。
長期間サイドブレーキをかけっぱなしにすると、サイドブレーキのワイヤーが伸び切って固着する恐れがあります。
ただし、サイドブレーキをかけずに車を放置すると、何かのはずみで車が動くかもしれません。
タイヤ止めを置いて、不意に車が動くのを防ぎましょう。
車内の湿気対策を行う
特に梅雨時にしばらく車に乗らない場合は、車内の湿気対策をしましょう。
湿気対策をしないと、エアコン内部だけでなく、シートやフロアマットにもカビが生える恐れがあります。
こまめに車のドアを開けて換気する、乾燥剤を車内に置く、車用の防カビスプレーを吹きかける、フロアマットを洗って乾かす、といった対策が有効です。
可能な限り月1回は車に乗る
可能であれば、月に1回は車に乗りましょう。
月に1回車に乗れば、バッテリー上がりやタイヤの劣化を防げます。エアコンを動かせば、エアコン内部の湿気や水分を除去して、カビの繁殖も防止できます。
また、車を動かす場合は、30分以上動かしましょう。30分以下だと、エンジンが十分暖まり切らず、エンジンオイルが各部品に行き渡らないかもしれません。
定期的なメンテナンスを行う
車に乗らなくても、定期的にメンテナンスをしましょう。
特に海沿いの地域で、車を野外に保管していると、車のボディの隙間に塩分が付着し、錆が侵食する恐れがあります。月に1度程度は洗車しましょう。
タイヤの変形を防ぐために、タイヤを回すことも大切です。エンジンをかけなくても、ギアをニュートラルに入れれば、小さな力でタイヤを回して動かせます。月に1度程度は、タイヤを動かしましょう。
久々に車を動かすときの注意点
久々に車を動かすときの注意点を解説します。
タイヤの空気圧に問題がないか確認
久々に車を動かすときは、運転前にタイヤの空気圧を空気圧計でチェックして、指定空気圧に調節してから動かしましょう。
タイヤの空気圧が低いと、走行が不安定になったり、ハイドロプレーニング現象が発生しやすくなったりします。
一方で、タイヤの空気圧が高すぎると、タイヤの偏摩耗が起きたり、制動距離が長くなったりして危険です。必ず指定空気圧になるよう調節してください。
また、タイヤが劣化していないか確認することも重要です。
タイヤ表面にひび割れや亀裂がないか、目視で確認しましょう。
遠出するのであれば、安全のために、ディーラーや整備工場で事前にチェックしてもらうことをおすすめします。
バッテリーがかかるか確認
久々に車を動かす際に、バッテリーが上がっていないか確認しましょう。
バッテリーが上がっていると、エンジンを始動する役割のセルモーターが動かず、エンジンが始動しません。
エンジンをかけなくても点灯するはずのライトが点灯しない場合は、バッテリーが上がっている可能性が高いといえます。
バッテリーが上がった場合は、ロードサービスを呼んで「ジャンピングスタート」をしてもらいましょう。
ジャンピングスタートとは、ブースターケーブルを用いて、他の車からバッテリーを充電する方法です。
ブースターケーブルがあれば、自分で他の車からバッテリーを充電することも可能です。
ジャンプスターターと呼ばれる小型バッテリーがあれば、他の車がなくてもジャンピングスタートができます。
なお、自分でジャンピングスタートを試みる場合は、感電に十分気を付けてください。
ジャンピングスタートはあくまでも応急処置です。ジャンピングスタートをした後は、しばらく走行して、エンジンの回転でバッテリーを充電しましょう。
バッテリー上がりが頻発するようであれば、バッテリーの性能が落ちている可能性もあるので、ディーラーやカー用品店、整備工場で点検・交換してもらいましょう。
また、一度バッテリーのマイナス端子を取り外すと、運転する時に再び取り付けても、カーナビやオーディオ、オートウインドウなどの電子機器が動かなくなることがあります。動かすためには、初めから設定し直すしかありません。
エラーランプが点灯していないか確認
車を久々に動かしたときにはエラーランプが点灯していないか確認しましょう。
特にエンジン警告灯や充電警告灯、油圧警告灯などが点灯しているときは、部品の重大な不具合が予想されます。
ディーラーや整備工場に連絡して、指示を仰いでください。
何か問題があれば無理して乗らずに業者に相談
何か問題が見つかったら、無理して乗らずに業者に相談しましょう。
例えば、ガソリンから異臭がするようであれば、ガソリンが劣化している可能性あります。
ガソリンスタンドや廃棄物処理業者に相談して、ガソリンを処分してもらいましょう。
ガソリンタンクやエンジン周りに異常がないか、整備工場で確認してもらってから運転することをおすすめします。
ガソリンの劣化以外にも、バッテリー上がりやエラーランプの点灯などの問題が見つかったら、ロードサービス業者に依頼して、積載車やレッカーで車を整備工場に移動してください。
まとめ
車を放置したまま乗らないと起こる現象や、車にしばらく乗らないときに実施するべきこと、久々に車を動かすときの注意点を解説しました。
車を放置すると、バッテリー上がりやタイヤの劣化などの不具合が発生します。
本記事の内容を頭の片隅に置いて、車にしばらく乗らない場合は、適切に対処しましょう。1か月に1度は30分程度、車に乗ることをおすすめします。