先進安全自動車は英語でAdvanced Safety Vehicleといい、その頭文字をとってASVとも呼ばれます。
名前の通り、先端技術を利用してドライバーの安全を守る自動車です。
とはいえ、先端技術で安全を守るといえど具体的にどう守るのかは知らない方も多いかもしれません。
そこで今回は先進安全自動車の基本知識から具体的な技術、どんな未来が期待できるのかを解説します。
先端技術で自動車はどんどん安全になっていきます。
ぜひASVを手に入れて安全安心なドライブを実現してください。
先進安全自動車(ASV)とは?
先進安全自動車とは何か、以下の3つから解説します。
- 先進安全自動車(ASV)とは?
- 先進安全自動車(ASV)推進計画とは?
- 先進安全自動車(ASV)の3つの基本的な考え方
先進安全自動車(ASV)とは?
先進安全自動車(ASV:Advanced Safety Vehicle)は先端技術でドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車です。
今ではほとんどの自動車に装備されている衝突被害軽減ブレーキはASVの代表的な装備のひとつです。
ASVの性能は今度どんどん進化していくといわれています。
先進安全自動車(ASV)推進計画とは?
先進安全自動車(ASV)推進計画とは、その名の通り。車の運転がより安全になるよう推進する計画です
当時の運輸省(元国土交通省)が平成3年に「ASV推進検討会」と設置したのが始まりで、令和3年には第7期ASV推進計画が定められました。
第1期は「技術的可能性の検討」という題目でした。
その後、技術がどんどん進んでいき第7期では「自動運転の高度化に向けたASVのさらなる推進」とされました。
ASVは誰もが使用しているという前提で、さらにASVを高度化しているということです。
先進安全自動車(ASV)の3つの基本的な考え方
先進安全自動車(ASV)には以下の3つの基本的な考え方があります。
- ドライバー支援の原則:あくまでもドライバーが主体とする
- ドライバー受容性の確保:ドライバーが使いやすい
- 社会受容性の確保:他の自動車や歩行者にも優しく、社会から受け入れられる
ASVの技術はあくまでドライバーを支援するものです。
ドライバーが責任を持って運転し、かつドライバーにも周りの人にも受け入れられやすいことASV技術の前提です。
先進安全自動車(ASV)にはどんな技術があるの?
先進安全自動車(ASV)には色々な技術がありますが、例として以下の8つを紹介します。
- 衝突被害軽減ブレーキ
- 誤発進抑制制御機能
- 車線逸脱警報装置
- 後退時後方視界情報提供装置
- 車間距離制御装置
- 車両安定制御装置
- リアビークルモニタリングシステム
- 自動切替型前照灯
衝突被害軽減ブレーキ
衝突被害軽減ブレーキは追突事故の被害を軽減または回避するためのシステムです。
車体の前部に付けられたセンサーやカメラが前の車や障害物との距離を検知し、危険だと判断したら警報を鳴らし、それでも回避行動が取られなかったら自動的にブレーキを作動させます。
誤発進抑制制御機能
誤発進抑制制御機能はアクセルの踏み間違いを制御するシステムです。
障害物が近く本来ブレーキを踏むタイミングでアクセルが踏み込まれたら、警報を鳴らし数秒間アクセルを無効化します。
自動的にブレーキが作動する場合もあります。
車線逸脱警報装置
車線逸脱警報装置は走行中にふらついたりして車線をはみ出しそうになったら警告音でドライバーに知らせる装置です。
無意識の逸脱による障害物や対向車への衝突を回避する手助けをしてくれます。
後退時後方視界情報提供装置
後退時後方視界情報提供装置はバックする際に車体後部のカメラの映像をモニターに映し出す機能です。
車両後方の視界が悪い車でもバックがしやすくなります。
バックビューモニターという呼び名の方が一般的でしょう。
車間距離制御装置
車間距離制御装置は、車が自動的にアクセルとブレーキを操作し前方の車との車間距離を一定に保ってくれる装置です。
ドライバーが楽に運転できるようになる他、上り坂のときの無意識な減速を防ぐことで渋滞の緩和にもつながります。
車両安定制御装置
車両安定制御装置はカーブや急ハンドルで車が横滑りしたときに、4輪それぞれのブレーキやエンジンからの動力を自動的に制御し、車体を安定させるシステムです。
横滑り時はパニックになることが多く適切な対応が取りにくいですが、車両安定制御装置のおかげでスリップやスピンを防止できます。
リアビークルモニタリングシステム
リアビークルモニタリングシステムは、車の死角である斜め後ろに他の車がいたら警告音で知らせてくれるシステムです。
車線変更時の安全確認をアシストしてくれます。
自動切替型前照灯
自動切替型前照灯は夜間など暗い環境で走行するときにロービームとハイビームを自動的に切り替えてくれる装置です。
ハイビームは歩行者や障害物の早期発見に役立ち、事故防止につながります。
先進安全自動車(ASV)の未来に期待できることとは?
先進安全自動車(ASV)はさらに進化していき、下のようなことができる未来が期待されています。
- ドライバー異常時自動対応
- 無人自動運転
- 完全自動運転
ドライバー異常時自動対応
ドライバーが病気や居眠りなど何かしらの原因で運転できない状態に陥ったとき、自動的に車両を停止させるシステムです。
一部の大型バスでは2018年に搭載され、運転手や乗客が非常停止ボタンを押すことで車両を減速、停止させることができます。
さらに、ボタンも押せない状態の場合でも、ドライバーの姿勢や眼の状態を検知しシステムを作動させる車両もあります。
無人自動運転
無人自動運転は一定のエリア内で人の介入なしに自動で運転してくれるシステムです。
タクシーやバスなど一定のエリアや路線で走る車両に搭載できるよう開発が進められています。
完全自動運転
完全自動運転は無人自動運転をさらに進化させたもので、エリアの制限なしに自動運転を可能にするシステムです。
一般道はもちろん、豪雨や吹雪のと木、信号が停止しているときでも安全に走行または停車する、自動運転の到達点ともいえます。
まとめ
先進安全自動車(ASV)とはどんなものなのかを解説しました。
衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制制御機能など、ドライバーの安全をアシストする装置がついた車を先進安全自動車と呼びます。
将来的には無人自動運転、そして完全自動運転を目指すべく、日々進化していっています。
人の手を借りない、完全にオートで動く車が街を走る未来もそう遠くないのかもしれません。
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