MENU

寒冷地仕様車とは?普通車との違いやメリット・デメリットについて

このページは広告PRを含んでいます。

北海道や東北地域では一般的な寒冷地仕様車ですが、皆さんは寒冷地仕様車についてどのぐらいご存知でしょうか。そんなもの見たこともないし聞いたこともない、という方も多いかもしれませんね。

暖かい地域では不要に思えるかもしれませんが、実は寒冷地以外でも役に立つ機能があるんです。

今回は寒冷地仕様車の特徴やメリット・デメリット、普通車との違いなどについて解説していきます。

寒冷地仕様の車は何故存在する?

そもそも寒冷地仕様車とは何のために、どのような場所で使うのでしょうか。

日本は南北に長く、北海道と沖縄では気温に大きな差があります。エンジンオイルやバッテリーは気温による性能の変化が大きいので、温暖な地域と寒冷な地域では性能の異なるものを使用する必要があります。

基本的に日本の車は温暖な地域で使用されることを前提に作られているので、北海道や東北地方のような寒い地域でも問題なく走れるように各メーカーからオプションとして寒冷地仕様車が販売されています。
ちなみに輸入車は初めから寒冷地に対応している車が多いです。

まずは普通仕様車と寒冷地仕様車の違いについて注目していきましょう。

寒冷地仕様車と普通仕様車の違い

「寒冷地」とはマイナス10℃以下になる地域のことで、寒冷地仕様車はマイナス10℃以下に対応した車ということになります。

寒冷地仕様車と普通仕様車の違いは主に、エンジン関係・電気関係・凍結や雪対策があり、寒冷地仕様車は極寒の環境でも耐えられるように様々な工夫が施されています。

それぞれの違いを知っておくことで、寒い地域への旅行やウィンタースポーツなどに出かける際に予期せぬトラブルを回避できるかもしれないので、基本的な知識を身につけておきましょう。

エンジン関係

寒冷地仕様車と普通仕様車ではエンジン自体に違いはありません。違いがあるのはエンジンオイルや冷却水などの油脂類です。

エンジンオイルは気温が低くなると粘り気が強くなり、始動時に抵抗が大きくなることでエンジンのかかりが悪くなります。なので温暖な地域で使うものよりサラサラしたオイルを使うことで始動性を良くすると同時に、オイルが温まっていない間のエンジンの潤滑性を良くする目的があります。

そしてエンジンオイルよりも重要なのが冷却水です。冷却水は濃度によって凍結温度が変わるので、普通仕様車と同じ濃度の冷却水を寒冷地で使用すると凍りついてしまう可能性が高くなります。

冷却水が凍ってしまうとホースやパイプが裂けてしまったり、凍ったことに気づかないまま始動してしまうとエンジンを破損することも考えられます。
冷却水の濃度は50%〜60%程度が最も凍りにくい配分とされています。
普通仕様車の場合は30%くらいに調節されていることが多く、製品によって違いはありますが30%の濃度でもマイナス15℃くらいまでは凍ることはありません。
マイナス10℃以下が想定される寒い地域の旅行やウインタースポーツに出かける前に、現在使用している冷却水の濃度がわからない場合は交換してしまったほうが安心かもしれませんね。

バッテリー・オルタネーター

気温が低くなるとバッテリーは性能が低下してしまいます。その為寒冷地仕様車には容量の大きなバッテリーと、それに対応するオルタネーター(発電機)が装備されている車種があります。

また寒冷地では暖房を使う機会が多く、エアコンやシートヒーターなどを多用することでバッテリーへの負担も大きくなるので、容量の大きなバッテリーが推奨されています。

温暖な地域でも冬はバッテリー性能が低下します。バッテリーによって寿命は異なりますが、エンジンのかかりが悪い、ライトが暗くなった、パワーウィンドウの開閉が遅い、などの症状がある場合は早めに交換しておきましょう。

最近ではシートやハンドルにヒーターが装備されている車種も多く、これらを組み合わせることでより快適に運転できますが、どれも電気を使用するものなので使いすぎはバッテリーを消耗させてしまう原因になります。つけっぱなしにするのではなく、温まったら消して寒くなったらまたつける、という使い方をおすすめします。

錆び対策

北海道や東北地方に限らず、冬場の道路には凍結防止剤や融雪剤が撒かれているところが多く、これらは材料に「塩化ナトリウム」や「塩化カルシウム」が使われています。

どちらも簡単に言ってしまうと「塩の粉」なのですが、塩は鉄に付着すると錆びやすくなります。
鉄は錆びると腐敗し強度が低下するので、鉄の塊である車にはあまり良くありません。

寒冷地仕様車の下側は、普通仕様車よりも塗装が厚く塗られていて錆びに強くなっています。
塗装が厚いといってもやはり車にとって塩はあまり良いものではありません。塩がついてしまった時はこまめに水で流してあげるだけでも車両を長持ちさせることができるということを覚えておきましょう。

寒さ対策(凍結・曇り対策)

寒冷地仕様車には窓ガラスやミラーなどの凍結・曇り対策として、ヒーターが装備されていることがあります。
ヒーターを作動させることで雪や凍結部を溶かして視界を確保したり、ワイパーが凍りつくことを防ぐ効果もあります。
またワイパーのモーターが強化されている車種もあり、雪が積もった時のために普通仕様車よりもパワーの強いものが使われている場合があります。

雪や結露は視界を遮る原因となり非常に危険です。
凍ったガラスやミラーはしっかり溶けるまで待ち、車に雪が積もった時は窓ガラスだけでなく屋根の上も除雪してから発進しましょう。

寒冷地仕様のメリット・デメリットについて

寒冷地仕様車は非常に便利で冬場の運転には心強いですが、メリットばかりではありません。といってもメリットに比べてデメリットは少ないので、どちらにするか迷ったら寒冷地仕様車を選んでしまうのもいいと思います。

それぞれについて解説するのでメリットとデメリットの両方を考慮して寒冷地仕様車が自分に必要かどうか判断しましょう。

寒冷地仕様のメリット

ここまで解説してきた寒冷地仕様車のメリットをまとめると、

  • 低温下でも始動性が良い
  • 冷却水が凍りにくい
  • 車が錆びにくい
  • バッテリーの容量が大きい
  • 窓ガラスやワイパー等の凍結に強い
  • シートヒーターなどの身体を温める機能が充実

他にも細かな違いはありますが主なメリットは以上です。

そしてもうひとつ大きなメリットになるのが、「寒冷地仕様車は暖かい地域でも普通に走れる」という点です。
沖縄で寒冷地仕様車に乗ったからといって壊れてしまうことはありません、つまり寒冷地仕様車ならば一年中どこでも走ることができるんです。
いつでもどこでも乗れてしまうのは大きなメリットですよね。

寒冷地仕様車のデメリット

寒冷地仕様車のデメリットはひとつだけです、それは「価格」です。
普通仕様車よりも装備が多くなる分、当然価格も高くなってしまいます。
各メーカーから多くの寒冷地仕様車が販売されていて内容も様々なので、必要な装備をどんどん取り付けていくと普通仕様車よりも10万円以上高くなることもあります。
価格を気にしないのであれば全ての装備を取り付けておけば安心ですが、価格をなるべく抑えたい場合は自分にとって必要な装備を見極めることが重要です。

寒冷地仕様車を選ぶときの注意点

寒冷地仕様車を選ぶ際に注意したいのは、自分が乗りたい車種に寒冷地仕様車が設定されているか、必要な装備が取り付けられるか、という点です。
寒冷地仕様の設定がない車に乗りたいという方は、オイルやバッテリーなどを後から寒冷地対応のものに交換して、寒冷地仕様車に近づけるという方法もあるので検討してみましょう。

寒冷地仕様が設定されていない車種もあれば、普通仕様車だけど寒冷地にも対応しているという車種もあります。メーカーサイトやカタログを見ても分からない場合はメール等で問い合わせるか、ディーラーに行って聞いてみましょう。

各社が販売する寒冷地仕様車の一例

続いて各自動車メーカーから販売されている寒冷地仕様車を一部紹介します。
それぞれのメーカーで寒冷地仕様の内容が異なるので、あくまで参考ということになりますが参考にしてみてください。

トヨタ:ランドクルーザープラド

SUVといえばランドクルーザープラドを思い浮かべる方も多いと思います。
アウトドアにぴったりなこの車種の寒冷地仕様車にはバッテリーが2つ取り付けられ、フロントガラスにはヒーターが装備されます。
トヨタの車は北海道地区では寒冷地仕様車が標準として販売されています。

日産:NV350キャラバン

ハイエースのライバルとされているNV350キャラバン。
広い荷室はキャンプやウィンタースポーツには非常に便利で、寒冷地仕様の装備が多くあります。
グレードによって内容は異なりますが高濃度の冷却水や大容量バッテリー、ヒーター付ドアミラーなど、寒冷地で使用する際に嬉しい基本的な装備が揃っています。

ホンダ:フィット

小さなボディと可愛らしい見た目が特徴のフィットにも寒冷地に対応するためのオプションが設定されています。
フロントガラスとサイドミラーにはヒーターが装備され、グレードによってはステアリングにもヒーターを取り付けることができます。

ミツビシ:デリカ:D5

ミツビシのカーラインナップの中でも高い人気を誇るデリカ:D5。
ミニバンのような見た目ながらオフロードなどの悪路でも高い走破性を発揮します。
この車の寒冷地用の装備にはシートヒーター、ステアリングヒーターの他に、エンジン始動直後から暖房を効かせるためのヒーターもあり、エンジンが温まっていなくても素早く車内を温めることが可能です。

寒冷地仕様車はこんな人におすすめ

北海道や東北地方にお住まいの方はもちろん、旅行で全国を回りたい人、寒い地域へ転勤の可能性がある人などにもおすすめです。
暖かい地域にお住まいでもキャンプやウィンタースポーツで標高の高い山や高原へ行く機会がある人は、寒冷地仕様車の購入を検討してみても良いかもしれません。

寒冷地仕様車でトラブルを避け、冬の運転を楽しみましょう!

寒冷地仕様車には役に立つ装備がたくさんあります。寒い地域だけではなく暖かい地域でもシートヒーターやハンドルヒーターは冬にあると嬉しい機能ですよね。

冬場にバッテリーが上がってしまったり冷却水が凍りついて車が動かせなくなってしまうと、状況によっては死活問題にもなり得ます。

わざわざ寒冷地仕様車を購入しなくても、現在乗っている車を寒冷地に対応させて対策するという方法もあるので、気温がマイナス10℃を下回ることが予想される場合は早めに対策を取りましょう。

予想できるトラブルを避けて、寒冷地仕様車で快適にドライブを楽しみましょう!

関連記事

・スタッドレスタイヤとチェーンどっちがおすすめ?併用は可能?メリット・デメリットを比較してみた!
・スタッドレスタイヤの空気圧は?慣らし運転は?使い始める時の注意点
・冬場の運転でフォグランプ使っていますか?名前の由来や、フロントフォグ・リアフォグの役割について