法定1年点検を自分でやる際の項目別難易度・対処方法について

2020.05.27

ユーザー車検があるならば、法定1年点検も自分でやってみようと考えたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか。そんなクルマ好きの方のために愛車の法定1年点検26項目を元整備士が解説します。

15項目の日常点検に飽き足らず、クルマ好きを自負するならば自分でやってみるのも楽しいことでしょう。また普段クルマの点検をディーラーや整備工場に任せっぱなしの人でも、点検結果を整備士から聞く際の知識にもなります。

法定1年点検とは


あらためて法定1年点検とは読んで字のごとく「法で定められた12か月毎の点検」のことです。
法とは「道路運送車両法」をさし、その第48条から抜粋すると「自動車の使用者は、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ自動車を点検しなければならない。」とあります。

私たちが普段乗っている5ナンバーや3ナンバーのクルマならば、種別は自家用、用途は乗用になります。ちなみにその対極は事業用、貨物ですね。自家用乗用車ならば、定期点検の時期は1年毎に定められており、12か月定期点検と称してその項目数は26項目です。

車検の時期は24か月定期点検と称して、1年毎の26項目に加え、もう30項目が追加され合計56項目になります。ただし車検の時期は56項目の24か月定期点検とともに検査が必要です。
これは道路運送車両法の第58条から抜粋すると「国土交通大臣の行う検査を受け、有効でなければ運行してはならない」とあるからです。

ここで間違えやすいのは「点検」と「検査」は全く別物だということです。
点検は時期により12か月26項目、24か月56項目と、チェックするクルマの構造部位が定められており、これを使用者であるユーザーが行ってもかまいません。

しかし車検時の検査は陸運局や民間車検場の自動車検査員が行うものですので、ユーザー車検とは24か月定期点検は自分で行い、陸運局へ検査を受けに行くことと言えます。クルマ好きならまず法定1年点検の26項目をマスターし、もう30項目もできるようになれば愛車のユーザー車検も夢ではありません。

法定1年点検で実施が必要な項目

道路運送車両法に基づき昭和二十六年運輸省令第七十号として自動車整備基準の第二条四項に別表第六として点検箇所が明記されています。

●かじ取り装置

パワーステアリング装置
①ベルトの緩み及び損傷

●制動装置

ブレーキ・ペダル
②遊び及び踏み込んだときの床板とのすき間
③ブレーキの効き具合

駐車ブレーキ機構
④引きしろ
⑤ブレーキの効き具合

ホース及びパイプ
⑥漏れ、損傷及び取付状態

マスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ及びディスク・キャリパ
⑦液漏れ

ブレーキ・ドラム及びブレーキ・シュー
⑧ドラムとライニングとのすき間
⑨シューの摺しゆう動部分及びライニングの摩耗

ブレーキ・ディスク及びパッド
⑩ディスクとパッドとのすき間
⑪パッドの摩耗

●走行装置

ホイール
⑫タイヤの状態
⑬ホイール・ナット及びホイール・ボルトの緩み

●動力伝達装置

クラッチ
⑭ペダルの遊び及び切れたときの床板とのすき間

トランスミッション/トランスファ
⑮油漏れ及び油量

プロペラ ドライブ・シャフト
⑯連結部の緩み

●電気装置

点火装置
⑰点火プラグの状態
⑱点火時期
⑲ディストリビュータのキャップの状態

バッテリー
⑳ターミナル部の接続状態

●原動機

本体
㉑排気の状態
㉒エア・クリーナ・エレメントの状態

潤滑装置
㉓油漏れ

冷却装置
㉔ファン・ベルトの緩み及び損傷
㉕水漏れ

●エグゾースト・パイプ及びマフラ

㉖取付けの緩み及び損傷

難易度が高い項目と対処方法

これら26項目の点検項目を難易度別、手順別に分けてみましょう。

まず、もっとも簡単な車両の外回りから点検を始めます。エンジンはアイドリングのまま、マフラの㉑排気の状態を確かめます。
また4本のタイヤ、ホイールの状態⑫⑬を確かめます。

つづいて運転席に乗って普段運転している感覚で、ブレーキペダル②③、駐車ブレーキ④⑤、マニュアル車ならクラッチ⑭の5項目を点検します。

次に運転席から降りてボンネットを開けてエンジンルームの点検をします。
エンジン本体から㉓油漏れ㉕水漏れ、ブレーキの⑦マスタシリンダ液漏れ、バッテリの⑳接続部位、パワステ、ファンなどのVベルト①㉔の緩みと損傷、吸入空気㉒フィルターの状態を確かめます。

ここまでほぼ目視による点検で、問題がなければ簡単に済んでしまいます。
エンジンルーム残りは点火装置⑰⑱⑲ですが、最近のクルマはメンテナンスフリーも多く、ディーゼル車ならそもそも付いていません。

難易度が高いのは最後に残った下回り9項目の点検です。
最低でも平らに舗装されたガレージで、4輪ともジャッキアップした状態でクルマの下に入って確かめないと点検ができないからです。

自信がない場合は無理せず委託


さて難易度の高い残された下回りの点検ですが、貸しピットやレンタルガレージのリフトを借りれば、簡単に点検ができます。
貸しピットなどのメリットは点検に必要な工具や、下回りの見づらい部分を照らすライトなど設備が整っている点は、安心安全な1年点検をするうえで見逃せません。

下回りには普段見ることができないブレーキのホースやパイプ⑥の漏れや損傷、ブレーキシリンダ、キャリパ⑦の液漏れといったとても重要な点検があります。
またブレーキドラムやライニング⑧⑨、ディスクやパッド⑩⑪の状態や摩耗も、クルマがリフトアップされた状態でこそ正しい点検ができると言えるでしょう。

しかし自信がない場合や、貸しピットなどが借りられない場合は無理せずプロに任せましょう。
自ら実施する1年点検は安全のために実施するものであり、決して趣味の為や節約の為だけに実施されるものではありません。

ユーザー車検を考えているクルマ好き、DIY好きのユーザーで、手ごろな貸しピットが借りられる方は、1年点検を機にじっくりと手間暇をかけるのも悪くありません。