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酸性雨の自動車塗装への影響・ダメージと対策

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自動車を塗装するための塗料の質は年々向上しており、耐久性・防錆性や見た目の美しさなどは以前とは比べ物にならないほどになっています。

しかし、どんなに質のいい塗料でも経年劣化を完全に防ぐことは困難です。
今回の記事では、経年劣化の原因の代表例である「酸性雨」と自動車の塗料への影響を紹介していきます。

同時に酸性雨対策も解説していくので、ぜひ最後まで見ていってください。

自動車の塗装面に与える酸性雨の影響

最初に結論ですが、酸性雨は自動車の塗装面に悪影響を与えます。

その代表的なメカニズムは以下の4ステップ。

1.ボディーに付着した酸性の雨滴が、太陽の熱により蒸発する
2.水分の減少に伴い雨滴が濃縮され、酸性度が大きくなる
3.同時に、塗装面が熱でわずかに軟化する
4.塗装面に雨滴が侵入し加水分解が始まり、塗装を腐食し、クレーターを発生させる。

このように、いくつかの段階を踏み、酸性雨が自動車の塗装面を劣化させます。

ちなみに、加水分解とは以下のような仕組み。

筆者作成画像

塗面が水と化学反応することで、別の物質に変わってしまうことです。

日本全国の酸性雨は今、どうなっているのか

次に、日本の酸性雨の状況を紹介していきます。前提として、酸性雨の定義から確認していきましょう。
酸性雨とは、pH5.6以下の酸性化した雨のこと。自動車の排気ガスなどが原因と言われています。
また、pHが低くなればなるほど、より強い酸ということを示します。

現在、日本の酸性雨の状況をまとめた画像を以下に載せておきます。

出典:環境省

2013年〜2017年における、日本中の雨水の酸性度を示したものです。

この画像を見ると、日本は満遍なくpH = 4.8程度の酸性雨が降っていることがわかりますね。
都市部から離れた北海道の落石岬や、小笠原などの離島は、平均pH = 5.0以上と若干マシな数値を出していますが、酸性雨であることには変わりません。

日本全国、どこでも酸性雨の対策が必要だと言えるでしょう。

余談ですが、酸性雨の影響で森林の木々が枯れたドイツのシュバルツバルトでは、過去最悪の時でpH = 約3.0を記録しました。
こういう背景があるため、ベンツやBMWなどのドイツ車は塗装技術や塗料の性能が高いと言われています。

酸性雨による塗装面への影響を最小限にする方法

続いて、酸性雨の影響を最小限にするための方法を、いくつかの段階に分けて紹介していきます。

酸性雨対策をするときに覚えておきたいこと

酸性雨で塗装面が腐食するステップとして「水分の蒸発による濃縮」がありました。
つまり、暑い夏の日は特に水分の蒸発が早いので、気をつける必要があります。
また、垂直面は濃縮する前に水滴が流れ落ちますが、ボンネットや屋根などの水平面はいつまでも残ります。

季節は夏、場所は水平面。この二つが、酸性雨対策を実施するときに特に覚えておきたいキーワードです。

具体的な酸性雨対策

具体的には、以下の4つを実施してください。

1.屋根付きの場所に保管して、雨に濡れないようにする
2.雨に濡れたら、乾燥する前に洗い流す
3.ワックスを塗り、撥水性をよくする
4.車体(特にボディ)についた傷は早めに直す

屋根付きの場所に保管するのは、単純に雨に濡れる機会を減らす効果があります。

次に、雨に濡れたら乾燥する前に洗い流しましょう。
本当は真水で洗い流して拭き取りもしたいのですが、酸性雨を洗い流すだけでもしておきたいです。やらないよりかはかなりマシです。

そして、撥水性をよくして水分を吹き飛ばしましょう。
毎日毎日、酸性雨を洗い流せる時間が取れるほど、私たちは暇じゃありませんよね。
撥水性をよくしておけば、垂直面の雨滴は勝手に落ちますし、毎日の通勤で車を走らせるだけでも、雨滴は飛んでいきます。

最後に、車についた傷は早めに直しましょう。
自動車の塗装は、下の画像のように数ミクロンと非常に薄い面が3層程度重なってできています。


筆者作成画像

最も上層のクリア層は特に硬度や耐候性が高い、保護を目的とする層。
その保護するための層が傷つきはがれ落ちていたら、下層にダイレクトに酸が付着・侵食します。

特にボディへの深い傷は要注意。ボディは金属でできているため、水分が付着すると錆が出ます。錆が金属面と塗料の隙間に入り込み、ボロボロと塗装が剥がれ落ちていきます。

酸性雨で塗装面にクレーターができたときの対策

最後に、実際に侵食によりクレーターができてしまった時の対策を紹介します。クリア層だけ侵食した、軽微なものを想定しています。
色が変わったり、塗装がハゲるくらい深く侵食してしまった場合は、自分で直すのは難しいので、お店に頼むことをオススメします。

軽微なクレーターの直す方法は、以下の通りです。

1.クレーターを中心に、少し広めにコンパウンドをかける
2.表面をシリコンオフや水で綺麗にする
3.クリアをスプレーして、乾燥させる
4.コンパウンドで表面を滑らかにし、周囲に馴染ませる

この4ステップで、簡単に直せます。ぜひ、試してみてください。

まとめ

酸性雨による、自動車塗装への影響と対策を紹介しました。

酸性雨は日本に住んでいる限り、避けることができない問題です。
自動車塗装にも悪影響を与えるので、しっかり対策して、あなたの愛車を守っていきましょう!