サイレンを鳴らさず赤色灯を光らせているパトカーや救急車を見かけた経験のある人は多いでしょう。
赤色灯の消し忘れだと思った人もいるかもしれません。赤色灯を光らせているパトカーや救急車に道を譲るべきか迷うこともあるでしょう。
サイレンなしで赤色灯が光っていることには、サイレンありの場合とは異なる意味があります。
本記事では、パトカーや救急車がサイレンなしで赤色灯が光っている状態で走行する意味を解説します。サイレンなしかありかで変わる対応方法も解説するので、覚えておきましょう。
サイレンなしで赤色灯が光っているパトカーの意味とは?
サイレンや赤色灯を有しているのは緊急車両と呼ばれる車です。
以下に、緊急車両の具体例を示します。
- 警察車両
- 救急車
- 消防車
- 臓器や輸血用血液製剤の運搬車両
- 自衛隊車両
- ガス会社や電力会社など公益事業の応急作業用車両
- JAFのレッカー車
一般車両へのサイレンや赤色灯の装着は禁止です。
個人が勝手に一般車両にサイレンや赤色灯を装着すると、不正改造として罰則が科されます。
不正改造を実施した場合は、道路運送車両法第99条の2、第108条違反に該当し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
整備命令に従わず不正改造車を使用し続けた人は、道路運送車両法第54条の2、第108条、109条違反とみなされ、車両の使用停止命令を受けたり、50万円以下の罰金が科されます。
緊急車両のうち、パトカーがサイレンなしで赤色灯が光っている状態で走行している場合、主に以下の意味があります。
- 基本的には防犯パトロール中
- 緊急性のない事故現場に向かい中
- 違反車両の追跡中、速度計測中
それぞれの内容を解説します。
基本的には防犯パトロール中
パトカーがサイレンを鳴らさず赤色灯を光らせて走行している場合、基本的には防犯パトロール中です。
周囲にパトカーの存在をアピールし、違法行為を抑止することが目的です。
ただ、赤色灯の点灯有無で、防犯パトロールの内容や厳しさが変わるわけではありません。
交通事故の多い愛知県では、2023年4月からパトカーの赤色灯を常に点灯してパトロールする取り組みを実施しています。
交通に関係のない犯罪の抑止効果も期待されており、2023年末まで実施される予定です。
緊急性のない事故現場に向かい中
サイレンなしで赤色灯が光っているパトカーは、緊急性のない事故現場に向かっている可能性もあります。
また、緊急性が高くても、犯人を刺激するのを避けるために、サイレンを鳴らさないケースもあるようです。
違反車両の追跡中、速度計測中
違反車両の追跡中、または速度計測中に、サイレンを鳴らさず赤色灯を光らせるのみでパトカーが走行することがあります。
道路交通法施行令第14条で「警察用自動車(パトカー)が道路交通法第22条の規定に違反する車両を取り締まる場合において、特に必要があると認めるときは、サイレンを鳴らすことを要しない」と規定されています。
具体的に「道路交通法第22条の規定に違反する車両」とは、スピード違反をしている車両です。
パトカーに乗っている警察官がスピード違反が疑われる車を見つけたとき、サイレンを鳴らさずに近づき、車の速度を計測します。
計測した結果、スピード違反が判明したときに初めてサイレンが鳴らされます。
サイレンなしで赤色灯が光っている救急車の意味とは?
救急車がサイレンを鳴らさずに赤色灯が光っている状態で走行している場合、主に以下の意味があります。
- 緊急性のない現場や病院に向かい中
- 緊急性はあるがサイレンがない方がいい場合もある
内容をそれぞれ解説します。
緊急性のない現場や病院に向かい中
緊急性のない現場や病院に向かう際に、サイレンを鳴らさず赤色灯を点けるのみで救急車が走行することがあります。
たとえば、患者の転院のための病院間移動です。
また、患者を乗せても、搬送先が決まっていないときに、病院がある地域まで赤色灯の点灯のみで走行するケースもあります。
緊急性が高くなった場合、初めてサイレンが鳴らされます。
緊急性はあるがサイレンがない方がいい場合もある
緊急性があっても、夜間の住宅街を走行する場合は、近隣住民の迷惑にならないようサイレンを鳴らさないことがあります。
通常のサイレンと音量は変わらず、耳障りな音が少ない「住宅モード」サイレンが鳴らされることもあります。
サイレンなしかありで変わる対応方法
サイレンなしかありかで周囲の対応方法が異なります。
以下のケースごとに対応方法を解説します。
- サイレンありで赤色灯が光っている場合の対応方法
- サイレンなしで赤色灯が光っている場合の対応方法
- サイレンなしで赤色灯が光っていない場合の対応方法
サイレンありで赤色灯が光っている場合の対応方法
サイレンありで赤色灯が光っている場合、道路交通法第40条で定められている通り、緊急車両のために道を譲らなければなりません。
状況に応じて安全を確認しながら、車を停めたり道の端に寄せたりしてください。
サイレンなしで赤色灯が光っている場合の対応方法
サイレンなしで赤色灯が光っている場合、緊急車両が周囲の車の流れに沿って走行していれば、道を譲る必要はありません。
流れに沿っていれば、緊急性を要していない場合が多いためです。
ただし、前述したように、緊急性が高いにもかかわらずあえてサイレンを鳴らしていないケースもあります。
緊急車両が追い越し車線を走行している場合や、周囲の車より速い速度で走行している場合などは道を譲りましょう。
サイレンなしで赤色灯が光っていない場合の対応方法
サイレンなしで赤色灯が光っていない場合は、緊急車両も一般車両と同様に扱われるため、道を譲る必要はありません。
近くで事故や事件が起こると、突然サイレンが鳴り赤色灯が光る可能性があるので、驚かず冷静に道を譲りましょう。
まとめ
パトカーや救急車がサイレンなしで赤色灯が光っている状態で走行している意味、サイレンなしかありかで変わる対応方法を解説しました。
サイレンを鳴らさずに赤色灯が光っているのみで緊急車両が走行している場合、多くの場合は緊急性が低いですが、まれに緊急性を有しているケースがあります。
緊急車両が追い越し車線を走行していたり、周囲よりも速いスピードで走行していたりする場合は、安全に気を配りながら道を譲りましょう。
本記事の内容を覚えておき、サイレンなしで赤色灯が光っているパトカーや救急車を見かけたら、適切に対応してください。