昨今、自動車売買のやりとりとして、個人売買が注目を集めています。
元々個人売買がなかったのではなく、どちらかといえばカーマニアや慣れた人同士で、という印象が強かったものです。
モノの売買自体がネットやSNSの発展、フリマサイト・ネットオークションの普及でハードルが下がってきており、自動車でもその影響がみられます。
そして個人間での売買にはメリットがある一方、デメリットや注意点も存在します。
今回は車の個人売買の方法だけでなく、注意点もご紹介します。
車の個人間売買が注目されているワケ
車の個人売買が注目されてきた背景には、個人売買がしやすいインフラシステムが整ってきた点が挙げられます。
今までは買取希望者に辿り着くだけでなく、段取り、知識とハードルは高い商品でした。
今でも簡単という部類ではないものの、オークションサイトやフリマサイトを利用することで、システム的なバックアップを受けられます。
また何より個人間であれば、価格を当事者間で決定でき両者納得の取引が行えるのです。
業者を挟まないことで中間マージンが発生しない、より利益が大きくタイムリーに行える為、売却の手段として認知され始めています。
車の個人売買の方法は2種類
車両の個人売買の方法は、基本的には2種類に分かれます。
その2つから、自身にあった選択をすると良いでしょう。
オークションやフリマサイトでの個人売買
まずはオークションやフリマサイトでの個人売買です。
コレクションや日用品の処分で、オークションサイトやフリマサイトを利用されてる方も多いのではないでしょうか。
実はそういったサービスで中古車の売買も行われます。
例えばヤフオクやメルカリといったサイトで、個人による中古車の出品もみられます。
こういったサイトは車両売買を専門としているわけではないので、書類のやり取り、車両の運搬引き渡しといった段取りを売り手買い手双方が把握している必要があります。
手続きをどこまでどちらが行い、書類は何を準備するか、双方納得し取引完了に導くのは、簡単とは言い難いでしょう。
次に車両売買に特化した、自動車フリマサイトというべきプラットフォームの利用です。
例えば、カババやアンカーは中古車を個人間で安心安全に売買することができるサイトです。
共通するのは、中間マージンを減らし双方の利益確保が可能という点です。
マージンが0というわけではなく、サイト側で各手数料は徴収するものの、通常の店舗売買よりはるかに安く抑えられるのです。
また車両売買に最適化されたプラットフォームなので、車両の価格決定から売買手続きのバックアップまで行ってくれます。
カババでは面倒な書類手続きも手数料はかかるものの代行してくれ、初心者でも安心して利用できます。
こういったサイトは代金の支払いも間に入ってくれるため、個人間でありがちな金銭トラブルも起きづらいでしょう。
友人や知人間での個人売買
友人や知人間であっても、トラブルを回避するために決めごとはしっかり決め、守るようにしましょう。
まず売却代金はいくらなのか、書類は何を準備し、手続きはいつまでに行うかといった点です。
友人が自動車関係のプロでもなければ、売買のサポートは誰もしてくれません。
猥雑な手続きに、お互い心が折れてしまわないように注意しなければなりません。
車の個人売買の方法
では実際に車の個人売買を進めるのに必要な手続きや書類について覚えていきましょう。
車は個々の事情により、書類の名義や手続きの方法に差異が出てきます。
まずはオーソドックスな方法、指標としてご覧ください。
車の個人売買に必要な手続き
車の売買をする上で欠かせない手続きがいくつかあります。
- 車両の名義変更
- 自賠責保険の名義変更
- 車庫証明の取得
- 任意保険の車両の加入、切り替え、停止
以上4つを行うことで、売買は完結に向かいます。
車両の名義変更と自賠責の名義変更は、買い主・売り主の双方で変更作業が可能です。
車庫証明の取得は買い主が行う必要があります。
売主から書類を受け取り、名義・自賠責の名義変更を行うことが多い傾向ですが、売買時に名義変更作業の条件を忘れず確認するようにしましょう。
買い主は納車日には任意保険に加入しているようにします。
また売り主は任意保険の加入を停止するなどしましょう。
車の個人売買に必要な書類
次に売買に必要な書類をまとめていきましょう。
先程も述べたように、車両ごとに状況は異なる為、オーソドックスな例であるとご理解ください。
まず買い主側です。
- 自動車保管場所証明書
- 印鑑証明書
- 実印
自動車保管場所証明書は車庫証明書を指します。
車両の保管場所を証明する書類で、管轄の警察署に必要事項を記した書類を提出、取得します。
印鑑証明書は、印鑑により個人や法人を証明する制度で、その書類です。
所謂、実印として印鑑を登録し、取引などに使われます。
印鑑証明書は市役所などで取得可能ですが、あらかじめ届け出し登録する必要があります。
また登録した印鑑=実印も売買に必要になります。
次に売主側も確認していきましょう。
- 自動車検査証
- 自賠責保険証明書
- 自動車納税証明書
- 譲渡証明書
- 委任状
- 印鑑証明書
- リサイクル券
- 実印
- 住民票・戸籍謄本・戸籍の附票等(車検証記載の住所と現住所が異なる場合)
自動車検査証、自賠責保険証明書、リサイクル券は車検証入れにまとめている方も多いでしょう。
また自動車納税証明書は直近のものを用意します。
このように準備するものが売主側は多くなりますので、抜けがないか確認が重要です。
車の個人売買で注意すること
車を個人間で売買する際、注意すべき事柄も考えていきましょう。
よくあるとされるトラブル事例をいくつかご紹介していきます。
売る側が注意すること
個人売買で真っ先に挙げられるトラブルの代表例です。
個人間での売買は基本的に現金一括or振込み一括となります。
ローンのように会社を挟み、徴収するシステムを介しません。
最初から払う気が無い、事情があって払わないことが考えられます。
往々にして相手と連絡がとれなくなり、車両を取り戻すのも難しくなります。
用事やスケジュールによって名義変更が遅くなる可能性は否定できません。
運輸支局に出向いたり、書類の精査と面倒であることも事実です。
しかし名義変更がされなければ、自動車税の請求は名義人に来ますし、事故や犯罪に利用されれば売主側にも捜査・出頭要請がくるかもしれません。
また車両の受け渡し日から、15日以内に名義変更の手続きを行う必要がありますので、期間内に手続きが行えない可能性があるならば、代行業者に依頼するといった方法も有効です。
車の引き渡し後に、不具合や傷があったと買取金額の減額や修理代金の請求をしてくるパターンです。
売買契約時に念入りにチェックしたとしても、引き渡し直後に故障するかもしれません。
購入者によっては納得いかず、キャンセルやトラブルになる可能性があります。
可能な限り売買契約時に、お互いの責任の所在について明記しておくべきです。
買う側が注意すること
次に買い手側が注意すべき点です。
買い手側としては、なかなか納得いかないかもしれません。
しかし個人間、サイト経由では車両状態を詳細にチェックするのは難しく、売り手側もリスク箇所を把握できていない可能性もあります。
要注意点や故障個所を売り手が把握し説明しても、購入後に別の個所が故障するかもしれず、リスクは回避しかねるというのが現実です。
消耗品や液ものの交換状況、定期的な点検状況を確認し、どのように管理されてきたか把握することで、可能な限りリスクを遠ざける努力をしましょう。
あまりに相場より安い場合には注意が必要です。
盗難車か判断するのは難しく、引取後に盗難車とわかれば持ち主に返還することになります。
また購入費が返ってくる可能性は低いと言わざる得ません。
弁護士に相談するといった方法を取ることになるでしょう。
直前になって高額な輸送金額を提示されるトラブルも否定できません。
輸送先ごとの方法や費用がいくら程度見込まれるか、商談時に取り決め、契約書にも記載しておくようにしましょう。
高額な費用が見込まれる場合、自身で輸送会社を手配する方法もあります。
まとめ
昨今、車両の個人売買は増加傾向にあります。
一方で、自動車という高額で手続きも多い商品ゆえのトラブル事案も増えています。
個人だと短期間に何度も売買はできず、経験値が増えない点も原因にあるかもしれません。
多くの売買サイトで販売・売買条件を見て研究し、自身が売買する時のシミュレーションを立ててみると良いかもしれません。
売る側は大事な車の次のオーナーを、買い手側は次の愛車を楽しみに待っています。
気持ちの良い素敵な出会い、やりとりができるようお互いに気を使いたいものです。