オーバーヒートとは日本語で「過熱」という意味です。
エンジンがオーバーヒートして車が動かなくなった!という話も夏場になるとたまに耳にします。
ただ、具体的にどんな原因で起こり、どんな対処法をすればいいか分からない方も少なくないかもしれません。
面倒だから車の定期的なメンテナンスをおろそかにしている方は要注意です。
オーバーヒートは走り方や車の不具合によって、どんな車でも起こりえます。
突然車が動かなくなって困ったという状況を回避するためにも、この記事で解説するオーバーヒートの原因と対処法を覚えておきましょう。
オーバーヒートが起こる原因とは?
なぜオーバーヒートが起こるのか、そして気が付くきっかけとなる症状を解説します。
なぜオーバーヒートが起こるの?
オーバーヒート、つまりエンジンが熱くなりすぎる原因は「冷却システムがうまく作動していない」「冷却が追いついていない」の2点です。
エンジンはガソリンを爆発させ力を作るため、多くの熱が発生します。
その熱は冷却水で冷やしていますが、冷却水が減っているなどの原因で冷却が追いつかない場合があります。
エンジンが温まりすぎると潤滑用のエンジンオイルの性能が落ち部品同士の摩擦が増え、金属と金属が結合する焼き付きという現象をおこします。
それでも無理やり車を動かしたら、焼き付いた金属が剥がれてその勢いでエンジンが破壊されます。
オーバーヒートに気づく症状とは?
オーバーヒートが起こると以下のような症状が起こります。
- 水温警告灯が点灯
- エンジンから異常発生
- ボンネットから異常発生
水温警告灯が点灯
水温警告灯とは冷却水の水温の異常をドライバーに知らせるための警告灯で、冷却水の温度が上がりすぎる(下がりすぎる)と点灯します。
車を始動させると一時的に点灯しますが、警告灯が正常に動作するかのチェックなので、点灯することが正常です。
すぐに消灯するので気にする必要はありません。
エンジン始動時以外に警告灯が点灯したら対処が必要です。
エンジンから異常発生
下記のようにエンジンの動作がいつもと違うときはオーバーヒートを疑いましょう。
- エンジンが止まったり回転数が安定しなくなる
- 加速が悪い
- 「カラカラ」「キーキー」などの物を打ったりひっかいたりしたような異音がする
オーバーヒートだ!と確証を持てなくても、運転していて違和感があるはずです。
ボンネットから異常発生
ボンネットやエンジン本体を直接確認するとより判断材料が増えます。
- ボンネットから煙が出ている
- オイルの焦げたにおいがする
- 冷却水の甘いにおいがする
冷却水の主成分であるエチレングリコールは甘いにおいがします。
そのため、においで冷却水の漏れやオーバーヒートによる蒸発を察知できます。
エンジンがオーバーヒートする主な原因
続いて、エンジンがオーバーヒートする具体的な原因を紹介します。
- 冷却水、冷却パーツの不具合
- エンジン、エンジンオイルの不具合
- オーバーヒートになりやすい走らせ方
冷却水、冷却パーツの不具合
エンジンの冷却系統が不具合を起こしていると、発生した熱を冷やしきれずオーバーヒートを引き起こします。
冷却水は正しく使用していても少しずつ蒸発するため、段々と量が減っていきます。また、経年で不純物が混ざることで劣化していきます。
また、冷却系統が不具合を起こし冷却水が漏れることもあります。
エンジン、エンジンオイルの不具合
エンジン自体やエンジンオイルの不具合もオーバーヒートの原因です。
エンジンオイルの役割はエンジンの潤滑以外にも冷却があります。
エンジンオイルが減っていたり不純物の混入で劣化していると、潤滑と冷却の性能が下がりオーバーヒートを引き起こします。
また、エンジン自体に不具合があると、エンジンオイルがうまく循環させられず冷却性能が低下してしまいます。
オーバーヒートになりやすい走らせ方
走行中の風や外気温によってもエンジンは冷やされます。
そのため、低速ギアを使い高負荷・高回転状態で長時間走るとオーバーヒートを引き起こしやすいです。
そして、夏場は外気温によってエンジンを冷やしにくいのでより注意が必要です。
オーバーヒートにならないための対処法
オーバーヒートを防止、対処方法を以下の項目に分けて解説します。
- 定期的なメンテナンス
- 主な原因となる部分を事前にチェック
- オーバーヒートが起きてしまった際の対処法
定期的なメンテナンス
オーバーヒートを防ぐためには以下の数ヶ月ごとにおこなう定期的なメンテナンスが有効です。
- 冷却水のチェック
- エンジンオイルのチェック
冷却水の量はエンジンルーム内にある半透明の樹脂製タンク「リザーバータンク」で確認できます。
「MAX / MIN」などの目盛りの間に液面があれば正常です。
冷却水には種類ごとに耐用年月が決められているので、それを超えないくらいで交換することをお勧めします。
エンジンオイルの量と劣化は、エンジンルームにある「オイルレベルゲージ」で確認できます。
「F / L」の目盛りやふたつのぽっちの間にオイルの跡があること、付着しているオイルがひどく濁ってたりザラザラしていなければ正常です。
主な原因となる部分を事前にチェック
例えば以下のような、オーバーヒートの原因となる部分をチェックすることも大切です。
- 冷却水やエンジンオイルを循環させるポンプの劣化
- ホース類など、冷却水やエンジンオイルが循環する経路の劣化
- ラジエーター(冷却水を冷却する装置)の劣化
これらは確認するのが少々難しいので、定期的に点検に出してプロの目で確認してもらうのも手です。
オーバーヒートが起きてしまった際の対処法
走行中にオーバーヒートを起こしてしまったら以下の手順で対処してください。
1. 路肩やどこかの駐車場など安全な場所に停車する
2. 冷却水が残っている場合は水温が下がるまでアイドリングする
3. 冷却水の残量が分からないときはエンジンを切る
4. ボンネットを開いてエンジンに風を当てて冷やす
5. ロードサービスやJAFに連絡する
注意点として以下のことを覚えておいてください。
- 無理やり走行しつづけない
- 水温が下がったあと再び走行しない
- ラジエーターのキャップは開けない
- ボンネットをあけるときは火傷に気を付ける
一度オーバーヒートを起こした車はどこかに不調があるので再びオーバーヒートを起こす可能性が高いです。
それでも無理やり走ると、エンジンが壊れて莫大な修理費がかかる可能性があります。
また、ラジエーターの蓋を開けると高温になった蒸気が噴出する危険があるため避けましょう。
そして、走行直後のボンネットは高温なので火傷に注意してください。
オーバーヒートを日常のメンテナンスで回避しよう
オーバーヒートの原因と対処方法について解説しました。
オーバーヒートの原因は「冷却システムがうまく作動していない」「冷却が追いついていない」の2点です。
冷却水やエンジンオイルが減っていたり、負荷のかかる走り方をしていたり、夏場だったり要因は複数あります。
もしオーバーヒートを起こしたら安全な場所に止めてエンジンを冷やし、ロードサービスやJAFに連絡してください。
ぜひ、定期的なメンテナンスで愛車をオーバーヒートから守ってください。
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