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LSDとは?種類やメリット・デメリットについて徹底解説!

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みなさまは、車におけるLSDをご存じでしょうか。
LSDは「Limited-slip differential」の略称で、日本語では「差動制限装置」といいます。

本記事では、LSDの概要、種類、メリット・デメリットを解説します。

LSDとは?


LSDの特徴や役割、デフとの違いを解説します。

LSDの特徴や役割

LSDはコーナリング時の横Gや悪路走行時など、左右片方のタイヤが空転した場合に、もう片方の接地したタイヤに駆動力を伝達させる役割があります。

スポーツカーの多くに使われている部品で、トヨタ「86」や日産「フェアレディZ」の一部のグレードで標準装備されています。

LSDとデフの違いとは?

デフ(デファレンシャルギア、デフギア)の欠点を補うために生まれたものがLSDです。

デフは日本語で「差動装置」といい、LSDと区別するため「オープンデフ」と呼ばれることもあります。

デフの役割は、左右のタイヤの回転量の差を吸収しスムーズにコーナリングさせることです。

車が曲がるとき、カーブの外側のタイヤは内側のものより長い距離を走ります。
つまり、外側のタイヤは内側よりよりたくさん回転するということです。
デフが左右のタイヤの回転数を調整するおかげで、自動車はスムーズにカーブを回れるのです。

しかし、片方の車輪が溝に落ちたり氷で滑ったりすると、デフがその車輪にトルク(回転する力)を集中させるため、もう片方の車輪にトルクがかからず、車が前に進む力が低下します。

デフのこのような欠点を補うために、差動を固定する「デフロック」が考案されました。
しかし、デフロックには、極端に旋回能力が低下する、左右の車輪の回転差を十分に埋められずタイヤが激しく摩耗するといったデメリットがあります。

デフとデフロック双方の欠点を補うために考案されたのがLSDです。
LSDは条件に応じて必要なときのみに差動を制限します。
LSDによって、旋回能力の低下を抑えつつ、片方の車輪が空転しても、もう片方の車輪の駆動力を確保します。

LSDの種類は主に5つ


LSDの種類は、主に以下の5つです。

  • ①ビスカス式
  • ②ヘリカル式
  • ③トルセン式
  • ④機械式
  • ⑤電子制御式

それぞれの特徴を解説します。

①ビスカス式とは?

ビスカス式は高粘度のシリコンオイルが封入されたビスカスカップリングで左右の車輪を連結したLSDです。

ビスカスカップリングは流体クラッチの一種であり、内部の流体を介して回転運動を伝達します。
片方の車輪がスリップして回転数が高まると、その車輪の力がビスカスカップリングによってもう片方の車輪に伝わり、駆動力を確保します。

スムーズに差動制限に移行できることがビスカス式LSDの利点です。

②ヘリカル式とは?

ヘリカル式はトルク感応式LSDの一種であり。「ヘリカルギヤ」を用いて差動を制限します
後述するトルセン式LSDのType Bを、ヘリカル式LSDと呼びます。

「ヘリカルギヤ(はすば歯車)」は、斜めの歯を持つ歯車です。平行な歯を持つ平歯車よりもかみ合い率が高いため、伝達制度が高いことが特徴です。

片方の車輪がスリップし、その車輪にトルクが集中したとき、反力(歯車同士が離れようとする力)が大きくなります。
反力により、歯車がデフケースに押し付けられて抵抗が発生し、差動が制限されます。

スリップを検知して差動制限をかけるまでの速度が速いことが特長です。差動を制限する力が強いことも利点です。

③トルセン式とは?

トルセン式は、トルク感応式LSDの一種です。
前述したヘリカル式のように複数の歯車の回転抵抗や歯車とデフケース間の摩擦抵抗を利用して差動を制限します。

トルセン式LSDには、大きく分けて3つの種類があります。
ウォームギヤを用いるType A、ヘリカルギヤを用いるType B、プラネタリーギヤを用いるType Cの3種類です。Type Bのトルセン式LSDを、前述したヘリカル式LSDと呼びます。

前述したヘリカル式と同様に、スリップを検知して差動制限をかけるまでの速度が速いこと、差動を制限する力が強いことが特長です。

④機械式とは?

機械式は内蔵された複数のクラッチ板を利用するLSDです。

片方の車輪がスリップして回転数が高まると、圧着されていた複数のクラッチ板が押し広げられ、デフケースに抵抗がかかり、差動が制限されます。

差動を制限する力は強い反面、消耗が早く、頻繁なメンテナンスが必要です。

⑤電子制御式とは?

電子制御式は各種センサーで走行状況を検知し、左右の車輪へのトルク配分をコンピューターで制御するLSDです。

油圧クラッチや電磁クラッチが使われます。

車の状態に合わせて最適に動作することがメリットですが、複雑な制御が必要なため、車重が増加することや価格が高価であることがデメリットです。

LSDのメリット・デメリット


LSDのメリットとデメリットを解説します。

LSDのメリット

悪路で片輪がスリップしても、もう片輪に十分な駆動力が伝わるため、前に進む力が保持されることがメリットのひとつです。

またLSDによりコーナリング速度が上昇することは、モータースポーツを楽しむ方にとって大きなメリットになるでしょう。
LSDが搭載されていれば、速い速度のコーナリング時に内側のタイヤが空転しても、外側タイヤに駆動力が十分に伝わるので、コーナリング速度が上がります。

LSDのデメリット

旋回性が悪くなるのがLSDのデメリットのひとつです。
LSDの役割は旋回性を良くするデフの機能を制限するものです。
LSDが働くと、内側と外側のタイヤの回転差が解消されず大きいままなので、小回りが利きません。

また、LSDのデメリットにタイヤが摩耗しやすいことも挙げられます。
LSDによってデフの機能が制限されると、カーブを回るとき内側と外側のタイヤの回転差が解消されず、内側の車輪がスリップし、摩耗が激しくなります。

LSDは高価であることもデメリットです。
車種やLSDの種類にもよりますが、本体価格と組み込み工賃で併せて15~25万円程度かかります。

まとめ


本記事では、LSDの概要、種類、メリット・デメリットを解説しました。

LSDには、デフの機能を制限して、コーナリング時や悪路走行時に片側のタイヤがスリップしても車を前に進める役割があります。1分1秒を競うスポーツカーに搭載されていることが多くあります。

雪道や未舗装路を走行する機会が多い場合や、競技用の車を持っている場合は、LSDの搭載を検討してみてください。

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