人の多い場所に行くことが推奨されない現在の日本では、ここ数年でアウトドアを趣味にする人が非常に増加しています。
しかしアウトドアには車が欠かせないものなので、どうしてもガソリンを消費し排気ガスを排出してしまいます。
ガソリン車の排気ガスにはCO2が含まれており環境に良くない影響があるとされていて、各自動車メーカーも次々に電気自動車に参入してきていたり、ガソリン車の製造終了期限を決定したりしています。
このようなカーボンニュートラルやSDG’sといった環境問題が注目されている世界情勢の中、ガソリン車から電気自動車への乗り換えを考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は電気自動車をアウトドアで活用することは可能なのか、メリットやデメリットなどを踏まえて詳しく解説していきたいと思います。
アウトドアに電気自動車はあり?
結論から言いますと、電気自動車をアウトドアで活用することは十分可能です。
しかし電気自動車はまだまだ普及が進んでおらず、一回の充電で走れる距離がガソリン車に比べて短い車種もあるので、出先に充電器があるか等の事前の確認も必須です。
まずはこのような電気自動車をアウトドアで使用する際のメリットとデメリットについて注目していきましょう。
電気自動車であるメリット
まず思い浮かぶ電気自動車のメリットとして、「家電製品が使える」という点が挙げられます。
最近では大型のバッテリーが様々なメーカーから販売されていますが、電圧や消費電力の関係からスマホやタブレットの充電には使用できても、家電製品を動かすほどの性能はないのが現状です。
しかし電気自動車のバッテリーであれば、車種やバッテリーのサイズによって異なりますが炊飯器やホットプレートなどの消費電力の多い家電も動かすことが可能です。
暑い時期は扇風機や電動のクーラーボックスを動かしたり、寒い時期はホットカーペットや電気毛布を使うことでアウトドアがさらに快適になるでしょう。
そして二つ目のメリットは、「ガソリン車に比べて充電費用が安い」ということです。
住んでいる地域によってガソリン価格や電気代は同じではないのではっきりとは言えませんが、現在のガソリン価格・電気代の状況では同じ距離を走行した場合、圧倒的に電気自動車の方が安くなっています。
そのため長距離を走るほどランニングコストの差は大きくなり、走れば走るほど電気自動車はお得ということですね。
そして三つ目のメリットとして、災害大国である日本では「停電時に電気自動車のバッテリーが活躍する」ということが重要になってきます。
台風や地震で送電線が切れたりガスが止まったりしてしまうと、暖かい食事が作れなくなったり、スマホやテレビやラジオといった情報収集に必要な機械も使えなくなってしまう可能性も考えられます。
車によってバッテリーの大きさは異なるので、どのくらいの期間を電気自動車の電力のみで過ごせるかはそれぞれですが、ライフラインが復旧しなくても少しの間であれば凌ぐことが可能です。
災害時に備えて電気自動車に食品や飲料水、キャンプ等のアウトドア用品を積んでおけばさらに安心です。
電気自動車であるデメリット
電気自動車にはガソリン車にはないメリットがたくさんありますが、もちろんデメリットもいくつか存在します。
その中でも日常的に最も影響が大きいと思われるのが「充電時間が長い」ことではないでしょうか。
しかも電気自動車の充電スタンドはまだまだ数が少なく、先に充電している人がいるとそれが終わるまで待たなければいけないというケースもあります。
電気自動車の充電時間は、バッテリーの状況にもよりますが急速充電器を使用しても最短で15分程度かかり、長ければ1時間かかることも。
満タンまで5分以内で完了してしまうガソリン車と比べると時間的なデメリットはかなり大きくなっているので、急いでいる時や遠出する予定がある時などは注意が必要です。
そしてもう一つの大きなデメリットが「冬場は性能が低下する」ということです。
電気自動車に搭載されているバッテリーは気温が20℃から25℃が最適な温度とされていて、温度が下がりすぎると本来の性能が発揮できず、航続距離が短くなってしまいます。
そして暖房やヒーターを使用することでさらにバッテリーの消費を早め、充電の回数が多くなってしまいます。
冬のアウトドアやウィンタースポーツに出かけるために長距離を走行する際は、暖かい時期よりも航続距離が短くなることを頭に入れておきましょう。
大雪などで立ち往生が発生してしまった場合などは特に注意が必要で、ガソリン車の場合はガス欠になってもガソリンをタンクで持ってきて給油すれば再び動くようになりますが、電気自動車はバッテリーが切れてしまうとその場から動かすことができなくなってしまい、レッカーなどを呼ぶことになってしまいます。
冬場の電気自動車の運転は積雪情報や道路状況などをよく確認してから出かけることをおすすめします。
アウトドアで電気自動車がおすすめな人
一長一短ある電気自動車ですが、今回はアウトドアに活用することを想定してどのような人に電気自動車がおすすめかを紹介します。
先ほども解説した通り、電気自動車は寒い場所では性能が低下します。
つまり日本では特に気温が低くなる場所、北海道・東北・北陸のような場所では冬場は厳しくなってきます。
なので冬場でもほとんど雪の降らないような九州や四国、関西圏に住んでいる人にはおすすめできるでしょう。
また、一戸建てに住んでいる人にもおすすめです。
その理由として、マンションの場合は駐車場に充電スタンドがないところがほとんどで、近くに充電可能なコンビニやスーパーなどの施設がないと、わざわざ何十分もかかる充電をするために遠くまで出かけなければなりません。
一戸建て住宅であれば電気自動車専用のコンセントを設置すれば家庭用の100V電源でも充電が可能ですし、必要であれば200Vの充電が早いタイプのものを設置することも可能です。
コンセントを設置するには工事が必要で費用もそれなりにかかってしまいますが、コンセントの設置には補助金が出るのでうまく活用すればお得に充電設備を設置することが可能です。
実は充電設備はマンションやアパートにも取り付けることが可能でこちらにも補助金が出ますが、大家さんや管理人、または他の住人の方の許諾を得る必要があるなど設置に関するハードルは高くなっています。
ここまでの情報をまとめると、アウトドアが好きで電気自動車に乗りたいという人の中でも特に、「暖かい地方に住んでいて戸建住宅を所有している人」に最もおすすめできると言えるでしょう。
電気自動車をアウトドアで使用する時の注意点
続いては電気自動車を購入し、これからアウトドアに使用する際に注意したい点について解説していきます。
アウトドアでは長距離の移動をしたり、電気の通っていない山の中や海辺で滞在することもあるでしょう。
そんな時に電気自動車では特に注意したい三つのポイントについて注目してみましょう。
標準装備としてAC100V電源があるかどうか
これは電気自動車に限った話ではありませんが、アウトドアで電気製品を使用するには100Vの出力がある必要があります。
ガソリン車では12Vの出力しかない車も多くあり、12Vを100Vに変換するという方法もありますが、変換には特別な機器が必要なので最初から100V電源が備わっているものを選ぶことをおすすめします。
家庭用の家電製品は基本的に100Vの電源で動くように設計されていて、ワット数などに注意する必要はありますが電気自動車のバッテリーならよほど消費電力が大きくなければ問題なく動くはずです。
このような家電製品を使うためのコンセントが標準装備されているかどうかも車選びで注目したいところで、オプションで選択しなければ装備されていないという場合もあるので購入の際にはしっかり確認しましょう。
充電をするタイミング
電気自動車は充電をするタイミングが非常に重要です。
自宅からフル充電で出発したとして途中で充電が必要な距離を走る場合、目的地までの間でどこに充電施設があるかを大まかに把握しておく必要があります。
高速道路を移動するのであればほとんどのサービスエリアに充電器が設置されているので心配は少ないですが、一般道の場合はコンビニやスーパーなど充電器が設置されてる施設がどこにあるかを把握しておかなければなりません。
特にそういった施設が少ない田舎では最寄りの充電施設が何十キロも先にあるといったケースも考えられるので、早めの充電を心がけましょう。
補機のバッテリー上がり
ガソリン車の場合、バッテリーが上がってしまうとエンジンを始動することができなくなってしまいますが、他の車からケーブルを繋げばエンジンを始動し走行することができます。
電気自動車には走行用のバッテリーと、補機バッテリーというものが搭載されています。
走行用バッテリーがガソリン車でいうエンジン、補機バッテリーはガソリン車でいうバッテリーと同じ役割をしています。
走行用バッテリーの充電は残っていても、補機バッテリーが上がってしまうと電気自動車のシステムそのものが起動できなくなり走行できなくなってしまいます。
補機バッテリーはエアコンの使いすぎやライトの点けっぱなしが原因になる場合が多いので注意したいところです。
アウトドアにおすすめな電気自動車5選
ここまで電気自動車の特徴やメリットデメリットについて詳しく解説してきましたが、続いては現在販売されている中でアウトドアにも活躍する電気自動車を5車種紹介します。
アウトドアで活用することを想定して、主に荷物を積める量や航続距離に注目してみましょう。
ニッサン アリア
日本メーカーの中でもかなり早くから電気自動車を販売してきたニッサンから最近発売されたアリアは、WLTCモードで470kmの航続距離と広々としたラゲッジスペースが特徴で、アウトドアにもおすすめです。
ニッサン独自の電動制御技術で高速のコーナーでも安定した走行を実現しています。
ニッサン リーフ
アリアと同じくニッサンから販売されているリーフは、電気自動車のさきがけと言って良いでしょう。
バッテリーのサイズを60kwhと40kwhから選択可能で、アリアよりも一回りサイズは小さいですが、主に街乗りがメインでたまにアウトドアに出かけたいという方にはおすすめです。
スバル ソルテラ
スバルらしい無骨なデザインが特徴のソルテラは、EVには珍しいSUVタイプなのでアウトドアにはぴったりです。
バッテリーも大型のものが搭載されていて、航続距離は567kmとかなり長距離を走行することが可能です。
走行性能や安全性能に関しても定評のあるスバルらしい堅実な造りになっています。
マツダ MX-30 EV
ガソリン車でも販売されているMX-30の電気自動車バージョンがマツダから発売されました。
航続距離は256kmと短めですが、ガソリン車で培われたマツダらしい洗練されたデザインやインテリアが特徴です。
観音開きのドアになっていて、アウトドアで使う大きな道具や荷物の積み下ろしがしやすくなっています。
テスラ モデルX
電気自動車といえばこれ、と言って良いほどの知名度を誇るテスラの中でも、最も大きな積載量を誇るのがモデルXです。
航続距離は536km、0-100km/hの加速は2.6秒とスーパーカー並みの加速性能を誇ります。
実店舗を持たず、ウェブから購入するというシステムがかなり面白いメーカーになっています。
電気自動車でこれまでにない全く新しいアウトドアを
段々とガソリン自動車から電気自動車へシフトしつつある現代社会で、まだまだ充電施設の不足や寒冷地での航続距離といった問題はあるものの少しづつ普及していきてはいる電気自動車。
車種も少しづつ増えてきて、これからどんどん活用の幅が広がるでしょう。
今回紹介した車種以外でもアウトドアにもぴったりマッチする車種も発売されるかもしれないので、現在電気自動車の購入を検討している方はこまめに情報をチェックすることをおすすめします。
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