信号待ちや駐車場などで車をアイドリングさせると、エンジンの回転数が上がったり下がったりして安定しない場合があります。
その現象をハンチングといい、吸気や排気などのエンジン系統の不調が原因で引き起こされます。
ハンチングを起こしても走行自体は可能です。
しかし、走行可能だからといって放置していると走行中に急にエンジンが停止することもあります。
危険なので速やかに修理が必要です。
今回は車のエンジンがハンチングするとはどういうことなのか、どんな原因があるのか、そしてハンチングしたときの対処法を紹介します。
どんな車でも古くなるとハンチングを起こす危険があります。
早めにプロに見てもらえば大丈夫なので、焦らないように対処しましょう。
車のエンジンがハンチングするってなに?
ハンチングの症状とは?
ハンチング(hunting)は日本語で「(モーターなどの好ましくない)乱れ、乱調」という意味です。
アイドリング中や走行中にエンジンの回転数が上がったり下がったりして安定しない状態を「車のエンジンがハンチングしている」といいます。
エンジンの回転数を示すタコメーターという計器が装着されている車なら、ハンチング状態だと針の動きが落ち着かないので分かりやすいでしょう。
タコメーターがない車でも、エンジンの音や振動が安定しないことから簡単にハンチングに気付けます。
アイドリングが不安定になるのはなぜ?
エンジンは吸気・排気・燃料・点火をバランスよく制御して回転数を安定させています。
例えば吸気系に不具合があったときのことを考えてみます。
エンジンに取り込む空気の量が安定しないと、エンジン内でパワーを生み出すための燃料の爆発の大きさも安定しません。
そのため、大きい爆発が起こって回転数が上がったり、逆に爆発が小さいため回転数が下がったりします。
この爆発の不安定さがアイドリングが安定しないことに繋がるということです。
車のエンジンがハンチングする原因とは?
車のエンジンがハンチングする原因は多岐にわたりますが、大きく分けて吸気系・排気系・燃料系・点火系の4種類がトラブルの元になっています。
以下によくあるハンチングの原因を7種類紹介します。
- 原因1:ISCVの不具合
- 原因2:スロットルボディ・バルブの不具合
- 原因3:インテークマニホールドのバキュームホースの劣化
- 原因4:ブローバイガスの発生
- 原因5:エアフロメーターの不具合
- 原因6:チャコールキャニスターやパージバルブの不具合
- 原因7:プラグコードやスパークプラグの不具合
原因1:ISCVの不具合
ISCVとはIdle Speed Control Valveの略で、日本語で直訳するとアイドリング回転数を制御する弁です。
車が動いているとき、エンジンはバルブを開き空気を取り入れて出力を調整しています。
一方、停車しているときはバルブを閉じて空気を取り込みをしていません。
ただ、完全に空気を遮断するとエンジンは止まってしまいます。
アイドリング中にエンジンを止めないよう、最低限の空気を取り入れる装置がISCVです。
ISCVに不具合が起こると、アイドリングするのに最低限の空気を取り入れられず回転数が安定しない、つまりハンチングが起こります。
原因2:スロットルボディ・バルブの不具合
スロットル(throttle)とは流体を制御する機構のことで、エンジンでいう流体とは空気のこと。
そして、スロットルボディとは空気が流れる道、スロットルバルブは空気の流量を制御する弁です。
例えば、スロットルボディ、スロットルバルブに汚れがあったときを考えてみます。
電気的には正しい量の空気を取り込んでいるつもりでも、汚れに空気が阻まれて十分に取り入れられなくなります。
そのため、エンジンに取り入れる空気量が安定せずハンチングが起こります。
原因3:インテークマニホールドのバキュームホースの劣化
インテークマニホールドとはスロットルボディを通ってきた空気をエンジンに取り入れるパイプ類のことです。
そして、インテークマニホールドとその先の機器をつなぐゴム製のホースがバキュームホースです。
例えば、バキュームホースに亀裂が入っていると、そこから空気を漏らしたり取り入れたりしてアイドリング回転数が安定しなくなります。
原因4:ブローバイガスの発生
ブローバイガス(blowby gas)とはエンジンのピストンとシリンダーの間から漏れ出す気体のことです。
本来はエンジンとピストン間はシーリングで気密性が保たれていますが、メンテナンス不足や経年劣化で空気が漏れ出すことがあります。
ブローバイガスの成分はオイルや燃え切らなかったガソリン、それらの燃えカスなどです。
それらが空気の流れる経路に付着し、その汚れが空気を遮断してしまうのでハンチングを引き起こします。
原因5:エアフロメーターの不具合
エアフロメーターとはエンジンへの空気吸入量を計測する装置です。
エアフロメーターが不調だとエンジンへの正しい空気吸入量を測定できません。
そのため、思ったより吸入した空気が多くてアイドリング回転数が上がったり、逆に少なくて下がってしまうこともあります。
原因6:チャコールキャニスターやパージバルブの不具合
チャコールキャニスターはガソリン蒸気を大気中に放出しないように吸着する機器です。
そして、パージバルブはチャコールキャニスターに蓄えられたガソリン成分をエンジンに供給するためのバルブです。
チャコールキャニスターは活性炭でガソリン成分を吸着します。
劣化するとパージバルブ内に活性炭が侵入してガソリンが通る経路の汚れに繋がり、それがハンチングを引き起こします。
原因7:プラグコードやスパークプラグの不具合
スパークプラグはエンジン内の空気を点火するための火花を飛ばす機器で、プラグコードはスパークプラグに電流を供給する装置です。
これらが汚れていたりして不調だと、火花が飛ぶべきタイミングで飛ばず、回転数が安定しません。
車のエンジンがハンチングした際の対処法
車がハンチングしたらディーラーやカーショップなどのプロに見てもらうのが最も確実でしょう。
ハンチングの原因は多岐にわたります。
複数ある原因となりうる要素をひとつずつ確かめていくには、専門的な知識と工具、そして労力が必要です。
プロのお店なら「スキャンツール」という不具合が起こっているパーツを発見するための装置があるため、手軽に原因を特定してくれます。
まとめ
車がハンチングする原因と対処法を紹介しました。
ハンチングの原因は7つに分けられます。
そして、紹介した原因は汚れだったり経年劣化だったり定期的なメンテナンスで防げるものです。
忘れずに点検をして安心なドライブを楽しんでください。
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