毎年夏になると日本に上陸する台風。その強烈な雨風は各地で浸水やがけ崩れなどの被害をもたらします。
水が車のエンジンをダメにしたり、強風が車を横倒しにする可能性も小さくありません。台風の車への被害を最小限にするには、台風が近づいて来る前に準備することが重要です。
今回紹介する、台風被害を軽減するため事前にできることを実践して、万が一のときにパニックにならないようにしてください。
台風で予想される車への被害3つ
台風の雨風は車に以下のような被害をもたらします。
- ガラスやボディなどの破損
- 車の横転
- 車の水没
風による飛来物が車に激突してガラスやボディにダメージを与えます。
台風とは北西太平洋または南シナ海で発生する熱帯低気圧の中でも、低気圧域内の最大風速がおよそ17m/s以上のもののことをいいます。
17m/sの風は歩いて傘がさせないほどの強さで、傘やダンボールなどの軽くて大きいものは簡単に吹き飛んでいきます。たかがダンボールでも水を吸うと重くなり危険です。
そして、飛来物が走行中の車のフロントガラスを割ると一瞬で視界が不明瞭になります。前が見えなくなって大きな事故のきっかけになり危険です。
台風は最大風速が40m/s以上になることも。風速40m/sを超えると走行中の車が横転する危険があります。
特に横転しやすい車の条件は「車高が高い」「重量が軽い」「側面の表面積が広い」の3つ。軽自動車、SUV、ミニバンは横転しやすい車といえるでしょう。
猛烈な雨が排水能力を超えて降り続いたとき、道路が冠水します。冠水は車内への浸水をもたらし車の各所にダメージを与えます。
まず、シートの水濡れはカビや雑菌の発生の原因です。
そして、マフラーなどからエンジンのシリンダーに水が入ると、ウォーターハンマーという現象を起こして故障する恐れがあります。
シリンダーの中に水が入った状態でエンジンを作動させると、圧縮ができない物質である水を無理やり圧縮しようとするため異常に高圧になり、パーツが破損してしまうのです。
水没した車は「水没車」と呼ばれ価値が非常に下がることからも、水没は車へ大きな悪影響をもたらすことが分かります。
台風が来る前にできる車への対策5つ
以下にあげる台風対策を、台風が来る前にやっておきましょう。
- ハザードマップで危険箇所を確認
- 車を安全な場所に移動
- 車をカバーなどで保護
- 気象情報を常にチェック
- 保険の見直しを検討
各自治体が発行しているハザードマップを確認して、どのエリアが水没しやすいのかを把握しておきましょう。台風当日は危険エリアに車で出かけることを避けたり、もし可能なら安全なエリアに車を置いておくのも、車を守る有効な手段です。
加えて車にカバーをしておくと、飛来物からある程度車を保護できるので、より安心です。
そして、気象情報は常にチェックしておいてください。本当は外に出ること自体避けたいところですが、とはいえ車で出かけざるを得ない場合もあります。特に高速道路だと雨や風が強くてもすぐに停車できるわけではありません。今から向かう予定の地域の状況をリアルタイムに知りましょう。
スピードを出し過ぎず、車間距離を十分に開けて安全に運転してください。
最後に、保険の見直しも検討してみてください。保険は車への被害を直接防げるわけではありませんが、リスクを減らすという意味で効果的な選択肢のひとつです。
車両保険で台風の被害もカバーしている保険が多いですが、念のためにご自身の加入している保険会社に相談してみることをおすすめします。
もし台風が車で浸水してしまった場合
どれだけ対策していても、車が浸水してしまうときもあります。そんなときは以下の3つを意識して行動してください。
- あわてずに避難する
- 浸水した車は運転しない
- 保険が適用されるか確認
何よりもまず、あわてないことが重要です。大切な愛車が水没したら頭が真っ白になり何をしていいのかわからなくなるでしょう。
ご自身の安全が第一です。地域にある避難所に落ち着いて徒歩で避難してください。
避難するとき、浸水した車は運転しないようにその場に放置してください。前述したウォーターハンマー現象でエンジンがダメになり、高額な修理費を払うか廃車にするかどちらかになります。
車を放置するときは、車内にETCカードなど金目ものをおいていかないようにしてください。放置車両を狙って中のものを盗んでいく被害もあります。
自然災害で被害を受けたら、保険が適用されるかを確認しましょう。車両保険に入っていれば、台風による被害を補償してくれることが多いようです。ただ、重ねての進言になりますが、ご自身が加入している保険会社に聞いてみるのが確実です。
台風が多い日本だからこそ、しっかり対策しよう
日本に住んでいる限り、ほとんどの人にとって台風は避けられません。毎年のことだからと油断していると、車に手痛いダメージを受けることになります。
今回紹介した台風対策や浸水してしまったときの対処方法を頭に入れておいて、台風から愛車とご自身を守ってあげてください。