突然ですが、皆さんはガソリンの種類についてはご存じでしょうか?大半の方はきっと愛車に入れるべき燃料の種類は把握していることと思います。しかし、初めて車を買った人、車に乗る頻度が少ない人からすれば、燃料油種の入れ間違えは起こり得る事態です。(もちろん過信も注意ですが)
セルフ式ガソリンスタンドが増えたことによって、自身で燃料の種類を選ぶ機会が増えていることが入れ間違え増加の一因かもしれませんし、車を乗り換えたばかりのときの認識不足かもしれません。「軽自動車」だから「軽」油という勘違いをしないためにも、車の買い替えを検討している人は必ず確認が必要です。納車待ちの人も再度確認してみてはいかがでしょうか。
この記事では油種の確認と入れ間違えた場合に何が起こるのかについて、予習をしておきましょう。
燃料の基礎知識
まずはじめに燃料の基礎知識をおさらいしていきましょう。燃料にはレギュラーガソリン・ハイオクガソリン・軽油の3種類があります。燃料という点では同じ括りですが、ガソリンと軽油は別の分類になります。
ガソリンと軽油はいずれも石油から作られておいますが、蒸留時の採取温度に違いがあります。ガソリンは石油を熱していった際30℃から230℃の間で発生する蒸気を採取して作られます。一方軽油はガソリンよりも沸点が高く、140℃から380℃で発生する蒸気から採取されます。軽油はガソリンを蒸留する過程で採取して出来るため、ガソリンと比較して安価になるわけです。
レギュラーガソリンとは
最も一般的な油種で、採用している車種も多いでしょう。多くのファミリーカー、軽自動車はこのレギュラーガソリンを燃料としています。レギュラーガソリンという呼び名は各社共通となっており、ガソリン自体の品質にも違いはありません。いつでも商品運搬の融通がきくように精製されています。
レギュラーガソリン車にハイオクガソリン=プレミアムガソリンを入れても基本的に問題は起きないですが、わざわざハイオクを入れる必要はありません。レギュラー車にはレギュラーを入れる習慣をつけておきましょう。
ハイオクガソリンとは
いわゆるプレミアムガソリンです。大型セダンやスポーツカーといった高額車種に採用される傾向にあります。実はこのハイオクガソリンのネーミング、商品名はガソリンスタンドの運営メーカーによって異なるのです。
①ENEOSハイオクガソリン
ENEOSで販売されているプレミアムガソリンです。売りとしては、合成清浄剤を添加することによりカーボン汚れなどが付着しづらくする。汚れが減ることによりエンジンパワーを長く発揮することができる。また有害な排出ガスの発生を抑え、環境保全にも貢献できる。といった具合です。
②スーパーゼアス
出光興産の商品名です。エンジン室内の汚れの低減、低燃費により環境保全にもつながります。
③スーパーマグナム
コスモ石油の商品名となります。やはり汚れ付着の減少、燃費の向上、環境にも優しい商品となります。
例として一部商品について説明させていただきました。他メーカーの名称も給油の際にチェックしてください。
いずれのハイオクガソリンもエンジン室内の吸気系への汚れの付着の減少により燃焼の負荷を減らし、結果として燃費の向上を謳っています。そして排気ガスの有害成分の減少により環境にも配慮することができるということです。これは継続的にはハイオクを給油することによって積み重ねるようにして得られる効果といえるでしょう。
高額車両は大型な多気筒エンジンを搭載している傾向があります。より多くのガソリンを燃焼する構造ゆえにカーボンの付着を継続的に少なくする努力は重要ですし、元々低燃費の車も少ないですから、燃費に貢献してくれるなら使わない手はないということです。またそういった車両カテゴリーにはトルク、パワーも求められます。
ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの違い
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの差異に「オクタン価」数値の違いがあります。レギュラーガソリンはオクタン価85~92、ハイオクガソリンはオクタン価96以上となるよう製造されます。「オクタン価」とはガソリンの異常燃焼、ノッキングを起こしにくくする数値のことです。「オクタン価」が高いほどガソリンの引火点は高く、燃えにくいということになります。
つまり燃焼室内でガソリンと空気の混合気をより強く圧縮できるのです。爆発のエネルギーはより強くなり、ノッキングは起きにくくなります。ハイオク指定車両はこういったガソリンの性能を見込んで設計されています。ゆえにレギュラーガソリンを入れた場合にはエンジン特性をフルに活用できず、エンジン寿命を短くしてしまうこともあり得るのです。
レギュラーガソリンを間違えて入れてしまった場合には、念のためディーラーに確認すると良いでしょう。基本的には次回からはハイオクガソリンを給油し続けるようにするべきです。
軽油とは
いわゆるディーゼルのことです。軽油指定車(ディーゼル車)は軽油しか入れてはいけません。ディーゼル車というと業務用車両、特にトラックのイメージが強いと思われます。最近ではクリーンディーゼル技術の発達によって乗用車においてもディーゼルエンジンは採用されています。特に欧州においては乗用車の半数を占めた時期もあるほどです。
音や振動が大きく有害物質排出の問題があるものの、燃費性能においては軽油のほうが優れている傾向にあり二酸化炭素排出量の削減にも成功しているためです。また高い圧力をかけ、着火爆発させるといったガソリンとの燃焼方法自体の違いがあります。非常にトルクがあり、重量のある車に採用されてきました。
現在は排出ガスの数値不正問題や電気自動車等次世代エンジンへの開発及び移行に伴い、一般車でのディーゼル使用のシェアは減少傾向にあります。ガソリンとは税率の違いから軽油のほうが安く購入できますし、ディーゼルエンジンの特性は有用といえるでしょう。
軽油指定車にガソリン(レギュラー・ハイオク)を入れ間違えた場合は、至急エンジンを止めましょう。ガソリンを抜いてもらわなければなりませんし、異常が発生していないか工場で確認も必要です。
上でも述べたように軽油とガソリンでは燃焼の方法が違うので、入れてエンジンを点火すること自体がまずいわけです。
さて、燃料にはレギュラーガソリンとハイオクガソリン、軽油の3種の違いがあることと入れ間違えた際にどのような現象が起きるかを確認しました。愛車に一定期間給油を繰り返していれば間違いはおきづらいですが、納車直後は特に注意が必要です。車の検討時点でしっかり確認し、車両に適した油種を選択できるようにしましょう。