週末、お盆、年末年始などなど、お酒を飲む機会は数多くあります。
イベントごとがある日は警察が飲酒運転を撲滅するために検問をしていることもあります。
飲酒運転の検問としてよく行われるのは呼気検査です。
急いでいるときや一滴もお酒を飲んでいない潔白の身であったときは、できれば検査を受けずにやり過ごしたいと思うことがあるかもしれません。
もし呼気検査を拒否したらどうなるのでしょうか。
結論からいうと、呼気検査を拒むと罪に問われ、最悪の場合は裁判までいくケースも存在します。
この記事では、呼気検査を拒否できるのか、拒否した場合にどうなるのか解説します。
職務質問は任意ですが、呼気検査は強制です。
拒否してもメリットはないので素直に応じて身の潔白を証明しましょう。
飲酒検問を拒否することはできる?
飲酒検問を拒否すると呼気検査拒否罪に問われる可能性があります。
罪に問われる根拠と呼気検査拒否罪とは何なのかを以下で詳しく解説します。
飲酒検問を拒否すると罪に問われる可能性がある
飲酒検問の呼気検査は任意である職務質問とは異なり、拒否すると罪に問われることがあります。
道路交通法第67条第3項に以下のように記載されているのがその根拠です。
「車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる」
そして、同法第118条の2に「第六十七条(危険防止の措置)第三項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者」には罰則が課せられることも明記されています。
呼気検査拒否罪とは?
呼気検査は前の項で紹介した道路交通法第67条第3項に明記されている規定です。
検査を拒否したり妨げたりした場合は、同法第118条の2に規定されているように「3か月以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられます。
飲酒検問の呼気検査の基準値とその罰則
ひとくちに飲酒運転といっても、道路交通法では飲酒運転の基準を大きく「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分けています。
それぞれの基準とその罰則を解説します。
酒気帯び運転の基準値とその罰則
酒気帯び運転とは「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」で運転することを指します。
酒気帯び運転には二つの基準値があります。
呼気1L中アルコール0.15mg以上0.25mg未満の場合、13点の減点と90日間の免許停止、さらに3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
呼気1L中アルコール0.25mg以上の場合はさらに厳しく、25点の減点と免許の取消、免許を取得できない期間が2年間あり、加えて3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
体質によっては、奈良漬やウイスキーボンボンといったアルコールが含まれている食品やマウスウォッシュ等でも基準値を超える場合があります。
さらなる検査を求められ、場合によっては逮捕されてしまうため、車の運転の前には控えましょう。
酒酔い運転の基準値とその罰則
酒酔い運転とは「まっすぐに歩けなかったり受け答えが不自然であったり、客観的に見て酔っている状態」で運転することです。
この場合、35点の減点と免許の取消、免許を取得できない期間が3年間あり、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。
お酒を飲んでも呼気中のアルコール濃度が基準を超えなければ罪に問われないと思われがちですが、実は基準以下でも酩酊状態であれば酒酔い運転に該当します。
飲酒しての運転は、実際に事故を起こしていなかったとしても重い罰則を受けることになります。
飲酒検問で呼気検査を拒否し現行犯逮捕されたらどうなる?
呼気検査に対して頑なに拒否したり強く抵抗したりした場合、現行犯逮捕となることが多いでしょう。
逮捕された後の流れについてご説明します。
現行犯逮捕から裁判までの流れ
逮捕されてから48時間は警察で取り調べを受けます。
罪が軽微な場合は、刑事責任は問われず厳重注意のみで身柄が解放されることもあります。
この間にアルコールが検出されたら、より刑罰は重くなるでしょう。
48時間の取り調べの後、検察により勾留が必要だと判断された場合、最長20時間も留置所や拘置所で過ごすことになります。
勾留不要となれば帰宅できますが、捜査自体は続くため、取り調べの呼び出しに応じなければなりません。
その後検察によって起訴か不起訴かが決まります。
不起訴となれば刑罰を受けずに釈放されますが、起訴になると、裁判の手続きに進みます。
裁判になったあとの流れ
100万円以下の罰金刑に相当し、それを被疑者が受け入れた場合は、書面審理である「略式起訴」が適用されることがあります。
この場合は前科がつきますが、すぐに釈放されます。
「略式起訴」ではなく「公判起訴」になった場合は、公開された刑事裁判が実施されます。
この場合、罰金刑だけでなく懲役刑が課せられる可能性があります。
飲酒検問の呼気検査は拒否せずに素直に応じよう
飲酒検問を拒否できるのか、拒否するとどうなるのかをご説明しました。
また、アルコールを少量なら摂取してもいいわけではありません。
たとえ基準値以下でも客観的に酩酊状態で車を運転すると酒酔い運転になり罪に問われます。
呼気検査を強く拒否すると現行犯で逮捕される恐れがあります。
逮捕された後は警察で取り調べをうけ、罪が軽微な場合はその場で解放されますが、重い場合は拘留され、さらには裁判を受けることになるかもしれません。
そうなると時間的にも金銭的にも大きなデメリットをこうむることになります。
飲酒運転はもってのほかですが、身の潔白を示すためにも呼気検査には素直に応じてください。
関連記事
・警察の取締りノルマの噂は本当?検挙数の多いTOP3をご紹介
・危険運転の種類を徹底解説!事例と罰則もご紹介
・交通事故を起こしたら点数は何点引かれるの?事故のパターンごとに解説