カーリースというのは月々定額で車に乗れる便利なサービスですが、契約期間が終了したら車をカーリース会社に返却しなくてはならないのが原則です。
しかし最近では、車を返却するのではなく、車をそのまま「もらえる」という選択肢も新たに増えています。カーリースで乗り慣れた車をそのままもらって、マイカーとしてずっと使うことができるのです。
そこでこの記事では、カーリースでは契約満了後どうなるのか、返却する以外にどんなことが可能なのか、「車をもらう」という選択肢を含めて解説していきます。
カーリース契約満了後は返却するのが基本
頭金なし、月々定額で新車に乗れるカーリースは近年人気となっています。
そんなカーリースでは契約年数が満了すると、車を返却するのが原則です。
返却はメリットにもデメリットにもなり、ずっと乗り続けられないなら購入した方がいいという人もいれば、返却するだけなら手続きがラクでいいという人もいます。
では、返却についてもう少し詳しく見ていきましょう。
カーリースは車を借りている状態
カーリースは車を自宅や近隣の駐車場に置き、いつでも自由にマイカーのように乗れるのが特徴のサービスです。
レンタカーやカーシェアとは違い、契約時に自分の希望する新車を選ぶことができて、自分専用の車として自由に使えるのです。
ただ、そうはいってもやはり車を購入するのとは違って、カーリースもレンタカーやカーシェアと同様に車を「借りている」状態です。
車の所有権はあくまでカーリース会社にあって、ユーザーは所有者ではなく使用者となります。
カーリース会社はユーザーに代わって新車を購入し、その車両代金と税金などの諸費用を合わせて定額払いで貸し出しているというのがカーリースの仕組みなのです
カーリース契約満了後に返却する理由
カーリースでは原則として、契約期間満了後に車を返却します。
これはなぜかといえば、そもそも車の所有権がカーリース会社にあるからですが、それ以外にも重要な理由があります。
それは一般的なカーリースで用いられている「残価設定」という仕組みによるものです。
残価というのは契約満了時の車の価値のことを指し、たとえば200万円の車を5年契約でリースし、返却する時の価値が50万円なら「残価が50万円」ということになります。
カーリースでは、新車の車両代金と税金や諸費用を払った上に車を返却してしまうので損だと思われるかもしれませんが、あらかじめ残価を引いた車両価格としているのでお得に借りられるのです。
つまり、車を返却してカーリース会社が残価を得ることで契約が完結しますので、返却は必須というわけです。
返却は面倒な手続きがないのがメリット
結局車を返すのであれば、自分で車を購入して売って売却益を得ればトータルで同じことだろうと思われるかもしれません。
しかし、売却や下取り、廃車などで車を手放す際には、買取業者を探したり査定や見積もりを取ったり、また様々な必要書類の用意や手続きなどの手間がかかります。
その点、カーリースであれば車の所有権がカーリース会社にあるため、返却はただ車を引き渡すだけで済み、上記のような手間は何もかかりません。
カーリースは契約もネットだけで済み、税金などがコミコミになった定額制で、返却まですべて「車にまつわる手間がかからない」ことがメリットです。
車に手間をかけたくない人にはぴったりのサービスなのです。
カーリース契約満了後に返却する際の注意点
ここまでで、カーリースでは原則として契約満了後は車を返却することはお分かりいただけたかと思います。
ただ、返却手続き自体は簡単ですが、返却の際にはぜひ気をつけておきたいいくつかのポイントがあります。
スムーズな返却のためにもぜひ、契約中から気にしておくといいでしょう。
- 現状回復が必須
- 走行距離制限に注意
- 残価精算で追加費用の用意が必要になることも
現状回復が必須
前述のように、カーリースの車の所有権はカーリース会社にあります。
また、カーリース契約は車の返却時の残価までを含めたものとなるため、残価を下げないためにも、車は原状回復をして返却するのが必須となっています。
原状回復というのは車を元の状態に戻すことをいい、室内の清掃をするなどのほか、たとえば自分で後付けしたり交換したりしたパーツがあれば、元の装備に戻しておく必要があります。
そしてこの時、簡単に元に戻せる範囲であればともかく、原状回復が難しいカスタムは多くのカーリース会社で認められておらず、違約金がかかったり、原状回復にかかる費用を自己負担する場合があるので注意が必要です。
カスタムについては各カーリース会社やプランごとにOK・NGの範囲が異なってきますので、事前によく確認しておくのがよいでしょう。
またカスタムというとエアロパーツの取り付けなどのイメージがありますが、カーナビの交換など新車時の装備を付け替えるものはすべてカスタムとなります。
車にあまり詳しくない人だと、カスタムにあたるとは思わずに取り付け・交換をしてしまい、返却時に原状回復代を請求されることもありますので気をつけましょう。
走行距離制限に注意
車の返却時に気をつけたいのは外装や内装だけでなく、走行距離も大事なポイントです。
カーリースには原則として走行距離制限があるため、それを超えてしまうと超過分を精算する必要があるからです。
そもそもなぜ走行距離に制限があるかというと、前述のとおりカーリースでは残価が重要となりますが、走行距離がかさんでしまうと残価も下がってしまうためです。
このため、カーリース契約では毎月1,000kmや1,500kmなどの走行距離の上限が定められており、返却時にトータルでこの上限を超えてしまった場合、1kmあたり数円の超過料金がかかります。
走行距離制限もカスタムと同様、各カーリース会社やプランによって内容が異なりますので、契約時によくチェックしておくことが大切です。
残価精算で追加費用の用意が必要になることも
最後に、残価精算についてです。
残価というのは前述のとおり車の返却時の価値のことで、カーリースではこの残価をあらかじめ想定して車体金額から差し引きます。
たとえば、200万円の車の残価を50万円と見積もった場合、200万円から50万円を差し引いた150万円+諸費用がカーリース費用の総額となるのです。
ですが、いざ返却時になって査定してみたら、残価が50万円を下回ってしまっていたということがあり得ます。
50万円はすでに割り引き済みですから、下回った分は補填しなければなりません。
その理由はキズやへこみ、走行距離超過などもありますが、ユーザーに落ち度がなかったとしても、市場価値が下がったことで残価精算をしなくてはならないこともあります。
市場価値には様々な要因があり、たとえばその車種がモデルチェンジをして新型が出たために現行のモデルの価値が下がったり、リコールや流行なども含め、なかなか読めるものではありません。
いわばギャンブルのようになってしまいますが、残価設定の中でも「オープンエンド方式」という仕組みの契約は、返却時のこのような残価精算があることを念頭に置いておかなくてはならないのです。
カーリース契約満了後の返却以外の選択肢とそのメリット
ここまでカーリース契約満了後の返却についてお伝えしてきましたが、実は、最近は返却以外の選択もできるカーリース会社も増えてきました。
そこで、契約満了後に車を返却する以外にはどんなものがあるのか、それぞれのメリットを含めてご紹介しましょう。
車を買い取る
まずは、車を返却せずに買い取るという方法です。
先ほど挙げた例で言うと、たとえば車の返却時の残価を50万円と設定した車の場合、ユーザーがその50万円を支払うことで車を自分のものにできるというわけです。
カーリースの車が気に入ってその後もマイカーとしてずっと乗り続けたい場合、乗り慣れた車をそのまま使うことができるだけでなく、新たに新車や中古車を購入するのと比べて手間もかかりません。
晴れてマイカーとなったわけですから、もちろん走行距離制限やカスタム制限もなく、また売却や廃車も自由となります。
車を再リース契約する
乗り慣れた車にもう少し乗り続けたい場合、同じ車を再リースするという選択肢もあります。
車両自体は同じものですが、契約としては月額料金を設定し直し、新たにカーリース契約を結ぶこととなります。
契約年数は長期間ではなく短期のみとなることが多いようですが、新車ではないため月額料金はそれまでよりも抑えられたものとなります。
カーリースは原則として契約年数を延長することはできませんが、再リースすればこれまでどおり頭金なし・月々定額で便利に利用することができ、しかも月額料金も下がります。
実質的には安い金額で延長ができることになりますから、カーリースの利便性はそのままに乗り続けられる選択肢だと言えるでしょう。
新しい車をリースする
契約満了後に車を返却し、新たに別の車をリースすることも可能です。
たとえば、カーリースでコンパクトカーを借りたけれども家族が増えて手狭になったのでミニバンに乗り換えたい人や、常に新しいモデルに乗っていたい人、またカーリースの利便性が気に入ってずっとリース車を乗り換えていきたい人などにとって便利な選択肢です。
また、返却したモデルが気に入っていた場合、その車を再リースするのではなくもう一度新たにリースすれば、再びリフレッシュして新車に乗ることができます。
その際はもちろん頭金なし・月々定額で、プランやメンテナンスなど使い勝手も慣れたカーリースを続けていくことが可能です。
カーリースは一度その仕組みに慣れてしまえばコツがつかめ、より自分に合ったプランを選ぶこともでき、さらにお得に利用できるはずです。
もらう
そして最後に、「車をもらう」という選択肢があります。
もらうとはどういうことかというと、文字通り、それまで乗っていた車を返却せずに、また買い取るわけでもなく、そのままもらってマイカーにすることができるのです。
これは主に、残価設定をしていないカーリース会社やプランで可能となるもので、残価をあらかじめ割り引くことがないので月額料金はやや高めになりますが、その代わり残価を支払って買い取ることなく「もらう」ことができます。
また、残価設定のあるカーリース会社でも、有料オプションに加入する形で「もらう」プランを用意しているところもあります。
そして「車をもらう」メリットは、ただ買い取る金額を支払わずに済むだけではありません。
最初から契約満了時に「車をもらう」ことがわかっているため、自分が引き取る車の残価を気にする必要はなく、走行距離やカスタムについてもはじめから制限なく自由に乗ることができるのです。
つまり、マイカーになることが確定しているので汚れなども気にせず自由に乗れて、しかも頭金なし・月々定額というカーリースのメリットも享受できるという、いいトコ取りのプランだと言えます。
ただ、注意するポイントとしては、有料オプションなどは途中加入できず、あくまで契約時に加入する必要があることです。
オプションは後付けできないため、車をもらいたい場合は最初の契約時から計画的にプランに組み込まなくてはいけないことを覚えておきましょう。
カーリース契約満了後に「もらえる」という選択肢
カーリースの契約満了時、車を返却するのではなく、それ以外の選択肢も増えているということを見てきました。
そんな中でも特に車を「もらえる」という選択肢には注目が集まっており、車をもらえるならカーリースを利用したいという人も増えてきています。
それでは、「もらえる」プランについてもう少し詳しく見ていきましょう。
近年「もらえる」需要が高まっている
近年カーリースの認知度は急激に上がり、車を持つなら普通に購入するかカーリースにするか迷う人も多くなってきています。
しかしそんな中で、カーリースは原状回復が必須となるため乗りにくいという経験者の声も上がってきていました。
たとえば小さなお子さんがいる家では、車のシートを汚さずに使うのはなかなか難しくなります。また、走行距離をずっと気にしながら走るのがストレスだという人がいるのも事実です。
つまり、残価や原状回復にまつわるユーザーのデメリットを消してくれるのが「もらえる」プランであり、それが好評なため多くのカーリース会社に「もらえる」プランが広がってきているのです。
将来的にマイカーが欲しい方におすすめ
車が「もらえる」プランがおすすめなのは、将来的にマイカーが欲しい方です。
いつかはマイカーが欲しいけど、今は頭金なしで数年車を持ち、車がある生活になじみたいと思っている方などにピッタリと言えます。
また、車をもらうには契約時にあらかじめプランに含む必要がありますが、いざもらう時になってやっぱり心が変わったとしても、その時は売却など自由にできるので安心です。
「もらえる」オプションプランへの加入が必須
前述のように、車をもらうにはあらかじめ「もらえる」オプションやプランに加入しておくことが必須となります。
しかし、これはカーリース会社各社で条件がそれぞれ異なっており、どれも一律というわけではありません。
そこで、カーリースの人気5社について、それぞれどのような「もらえる」プランが用意されているのかご紹介しましょう。
カーリース名 | もらえるプラン名 | 料金 | 契約年数 |
---|---|---|---|
定額カルモくん | 「車がもらえるオプション」 | 月額料金+500円 | 7年~11年プランのみ |
MOTAカーリース | 全車無条件でもらえる | 追加料金なし | 全てのプラン(5・7・11年) |
リースナブル | 設定なし(返却・買取のみ) | - | - |
ニコノリ | 「もらえるパック」 | パック料金 | 9年プランのみ |
KINTO | 設定なし(返却・再リース・乗り換えのみ) | - | - |
※2022年4月時点の情報です
この5社の中では、定額カルモくんとMOTAカーリース、そしてニコノリの3社がもらえるプランのサービスを展開していました。
ただ、それぞれ料金体系や契約年数なども異なるため、慎重に比較検討するのがよいでしょう。
契約満了後のことを考えてカーリースを契約しよう!
このように、現在カーリースでは契約満了後に返却するだけでなく、車をもらったり、その他の選択肢も選ぶことができるようになっています。
しかし、どの選択肢を選ぶにしても、契約時にあらかじめ契約満了後のことを考えておくことが快適にカーリースを利用するポイントとなります。
それでは、契約時にどういったことに注意すべきなのか、事前に確認しておきたいポイントを挙げてみましょう。
現状回復も含まれているプランなのか確認
車の返却時には原状回復が必須となりますが、その原状回復の費用は基本的にユーザーの負担となります。
ただ、その原状回復費用を補償するオプションやメンテナンスプランが用意されている場合もあり、契約前によくプランを確認する必要があります。
このようなプランに加入しておけば、内外装の通常の摩耗や損傷をあまり気にせずに車に乗れるため、ストレスなくカーリース車を利用することができるでしょう。
特に、運転の初心者や小さなお子さんのいる家庭など、日々の運転の中で小さなキズをつけてしまう心配のある方は、ぜひ入っておきたいプランとなります。
このようなプランがあることを知らない方も多く、どのプランやオプションを選べばいいかわからない場合もあると思いますので、契約時にカーリース会社に相談するのがおすすめです。
走行距離制限は問題ないか確認
一般的なカーリースには走行距離制限がありますが、この距離はカーリース会社で一律で決まっていることもあれば、個別に距離を選択できるプランを用意している場合もあります。
自分に合った走行距離プランにするためには、まずはご自身の毎月の走行距離を把握すること、そしてカーリース利用中のライフプランをチェックすることが大切です。
走行距離の上限は契約時に決めるもので、途中で変えられるものではありません。
たとえば最初は日常の買い物や帰省のみに使うつもりが、途中からやはり通勤にも使いたいとなれば、走行距離は大きく変わってくるでしょう。
距離をオーバーしてしまうからと日々の運転をどんどん遠慮してしまっては、せっかく車があるのに余計不便になってしまいます。
適切な走行距離の選択は快適なカーリース生活に大きく関わってきますので、契約前に十分にシミュレーションしておくといいでしょう。
残価精算があるかないかの確認
車の返却時の精算では、原状回復や走行距離の超過分に加え、市場価値の下落などによる残価精算が必要になる場合があります。
この残価精算については走行距離のように自分で計算して金額を把握しておくということも難しいため、精算があるのかないのか、あるとすればいくらなのか、不安になってしまうことでしょう。
ただ、知っておいていただきたいのは、ご自身の契約がそもそも返却時に残価精算をする必要があるプランなのかどうかということです。
残価精算は、そもそも残価設定のないプランであれば発生しません。
また、残価設定のあるプランにも「オープンエンド契約」と「クローズドエンド契約」という2種類の形式があり、このうち「クローズドエンド契約」には返却時の残価精算がありません。
ご自身のプランがこの中のどれに当たるのか、返却時の残価精算がどうなっているのか、契約時に確認しておけば余計なストレスを感じることなくカーリースを利用することができるのです。
もらうオプションがあるのか確認
そして最後に、最近特に増えてきた「もらうオプション」について確認しましょう。
車をもらうプランについては、有料オプションとして加入するのか、あるいは特定の契約年数のプランを選択するのかなど、各カーリース会社によって扱いはまちまちです。
そのため、そのカーリース会社にもらうオプションが用意されているのかどうか、もしあるのならどのプランを選択すればよいのか、この点を勘案してカーリース会社選びをしなくてはなりません。
カーリースの車をゆくゆくはマイカーにしたい、カーリース利用中も走行距離や原状回復などを気にせずに乗りたいという方は、まずは「そのカーリース会社にもらうオプションがあるのか」を最初にチェックするといいでしょう。
また、他の事柄と同様、カーリースでは最初に契約内容を決め、途中からあれこれ変更することはできません。
たとえ、そのカーリース会社で今後もらうオプションを取り扱ったとしても途中から加入することは難しいと思われますので、車をもらいたい場合は現在すでにそのプランを扱っているカーリース会社を選びましょう。
カーリース会社ごとのプランを比較することが大事
ここまで見てきたように、カーリースのサービスはその会社ごとに大きく異なっています。
自分に合った快適なカーリース生活を送るためには、まずカーリース会社ごとのプランを比較し、どの会社ではどのようなプランが組めるのか検討することが肝要となります。
ただ、どのカーリース会社でも契約内容を途中であれこれ変えられないことは共通となりますので、事前にプランをよく把握し、見比べた上で判断するのがおすすめです。
カーリースは現在進行形でどんどんサービスが充実してきている分野ですから戸惑うこともあるかもしれませんが、下記の最新のカーリース比較ランキング記事などを参考にして、ご自身にピッタリのプランに出会ってください。
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まとめ
今回は、カーリースの契約満了後の返却や「車をもらうプラン」についてご紹介いたしました。
カーリースは契約期間が終わったら車を返却しなくてはならず、また残価精算が高額になるリスクもあります。
ほかにも、原状回復の上で返却するというルールのために走行距離制限やカスタム制限などもあり、汚してはいけない、走りすぎてはいけないなど、様々な制約とともに運転するというストレスも発生します。
このようなカーリースのデメリットを一挙に解消してくれるのが「車をもらうプラン」で、契約満了後にタダで車がもらえる上に、様々な制限もなくなるのでカーリースの利点とマイカーの利点をいいトコ取りして使うことができるのです。
ただし、このもらえるプランは現在急速にカーリース業界に広まりつつあるところで、各社統一されたプランとはなっていません。
カーリース会社ごとにプランやオプション加入の詳細が異なりますので、各社をよく比較して検討するのがおすすめです。