正面から見て車体に対してタイヤが斜めについている車を見たことはありますか?
この角度は「キャンバー角」といい、カスタムカーのみならずF1カーをはじめとする競技用の車にもつけられています。
ただ、キャンバー角をつけるとどんないいことがあるのか疑問に思っている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、キャンバー角とは何か、なぜつけるのか、そして2種類のキャンバー角について解説します。
この記事を読んで、タイヤが八の字についている車への疑問を解消してスッキリしましょう。
キャンバー角とは?
英語でキャンバー(camber)とは日本語で「反り」のこと。
そして、車のキャンバー角とは「正面から車をまっすぐ見たときのタイヤと地面の角度」です。
タイヤと地面が垂直な状態が通常状態(ニュートラルキャンバー)で、角度が付いている状態を「キャンバー角が付いている」といいます。
キャンバー角は2種類に分けられる
そして、キャンバー角にはタイヤが外か内かどちらに倒れているかで下記のように2種類があります。
- ネガティブキャンバー:タイヤが内側に倒れている
- ポジティブキャンバー:タイヤが外側に倒れている
それぞれどんなメリット・デメリットがあるかは本記事の後半で説明します。
トー角との違い
タイヤにつける角度として「トー角」というものもあります。
トー(toe)とは足のつま先の意味で、車におけるトー角は「上から車を見たときのタイヤを地面の角度」です。
前から見た角度がキャンバー角、上から見た角度がトー角と覚えておきましょう。
キャンバー角をつける理由
キャンバー角を付ける理由は主に以下のふたつです。
- 性能向上のため
- デザイン重視のため
キャンバーをポジティブにつけるのか、ネガティブにつけるのかでどのような性能が上がるのか変わります。
以前はポジティブにすることもありましたが、近頃はカスタムカー、競技車ともにネガティブキャンバーにするケースが大半です。
これらの理由は以下で解説します。
2種類のキャンバー角について徹底解説
ポジティブキャンバー、ネガティブキャンバーのメリット・デメリットについて紹介します。
ポジティブキャンバーについて
おさらいになりますが、ポジティブキャンバーとは車を真正面から見てタイヤが外側に倒れている状態でした。
ポジティブキャンバーのメリット
主なメリットは以下の通りです。
- 接地したときにキャンバー角がつかないようになる
- ハンドルが軽くなる
車を接地してシャフトおよびサスペンションに荷重がかかるとタイヤは若干ネガティブに倒れます。
それを防ぐために、あらかじめ若干ポジティブにタイヤを倒してある車もあります。
車種によっては、ジャッキアップすればタイヤがポジティブキャンバーになっていることを目視できます。
また、ポジティブキャンバーをつけるとハンドルが軽くなります。
ただ、現在の車はパワーステアリングがついているため、この恩恵はあまり感じることはないでしょう。
ポジティブキャンバーのデメリット
主なデメリットは「タイヤが減りやすくなる」です。
車がカーブを回るときは外側に荷重がかかります。
ポジティブキャンバーをつけると直進時でも外側に多く荷重がかかっている上、さらにコーナーで追い打ちをかけてしまうのがタイヤの減りが早い理由です。
ネガティブキャンバーについて
ネガティブキャンバーは車を真正面から見てタイヤが内側に倒れている状態です。
ネガティブキャンバーのメリット
- コーナリングが安定する
- 見た目が良くなる
カーブを回るときは外側に荷重がかかるため、あらかじめネガティブにタイヤを傾けておくとカーブ時にうまく接地面が増えて安定感が増します。
これが競技用の車がネガティブキャンバーである理由のひとつです。
そして、カスタムカーがネガティブキャンバーをつける理由の多くが見た目が良くなるからです。
タイヤを傾けると外見を大きく見せたり車高を落ちどっしりとした印象になります。
ネガティブキャンバーのデメリット
多少のネガティブキャンバーは良い効果をもたらしますが、やりすぎるとタイヤの接地面積が減少します。
すると、偏摩耗を引き起こしたり、直進安定性が下がってしまいます。
ネガティブキャンバーを極端につけた車を「鬼キャン」といい、見た目が好きで改造している方もいますが、走行性能は落ちてしまうでしょう。
タイヤが車体から左右10mm以上はみ出すと違法改造となり車検に通らなくなるのもデメリットのひとつです。
キャンバー角について疑問を解消!
キャンバー角について、ポジティブキャンバーとネガティブキャンバーの違いを解説しました。
車のキャンバー角とは「正面から車をまっすぐ見たときのタイヤと地面の角度」のこと。
タイヤが外側に倒れている状態がポジティブ、内側に倒れている状態がネガティブです。
接地したときや荷物を乗せたときにキャンバーが付かないよう、普通の車は若干ポジティブキャンバーがついていることもあります。
競技車はコーナリング性能の向上を狙いネガティブに傾けています。
ただ、高速でコーナリングする機会がない一般車がネガティブキャンバーをつけているときはほとんどドレスアップ目的です。
キャンバー角がついた車を見かけたら、今回覚えたことを思い出すとおもしろいかもしれません。
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