私たちは自動車を運転するうえで、様々な法律やルールを理解し、それを順守していく必要があります。
例えば道路標識・標示の理解は、安全運転において最も重要な知識の1つです。
今回は道路標示「車両通行帯」について、フォーカスしたいと思います。
この標示を守ることで、車両はどこをどのように走るべきか明確になり、ひいては安全な道路交通につながります。
改めて理解を深めていただければと思います。
車両通行帯とは?
早速、車両通行帯の基本情報をまとめていきます。
教習所などで習った内容でもありますが、どれくらい覚えているでしょうか。
車両通行帯の定義
車両通行帯とは、道路標示により車両が通るべき道路が定められている部分を指します。
詳細には、「車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう」とされます。(道路交通法第2条七)
車両通行帯とセンターラインの違い
車両通行帯とセンターラインで、同様の標示でも意味合いが変わってきます。
混同しないように、確認していきましょう。
白破線は、車線変更可能・追い越し可能です。
白実線は、車線変更可能・追い越し可能です。
黄実線は、車線変更禁止となります。
白破線は、はみ出し可能・追い越し可能です。
白実線は、はみ出し禁止です。
画像の通り白実線は、はみ出した上での追い越しは禁止です。
黄実線は、追い越しの為のはみ出し禁止となります。
黄色の実線と白色の破線の2つが引かれているセンターラインの場合は、白色の破線側から右側へはみ出しても違反にはなりませんが、黄色の実線側からは追い越しのために右側へはみ出すと違反になります。高速道路などの合流地点でよく見られるので、覚えておくと便利でしょう。
このように車両通行帯とセンターラインは同様の線が引かれていても、ルールには違いがあります。
※出典:JAF
車両通行帯の境界線とは?
自動車の通行はセンターラインの左側です。
つまり車両通行帯の境界も、基本的にはセンターラインとなることを覚えておきましょう。
車両通行帯のない道路とは?
道路によっては車両通行帯が設けられていない場合もあります。
車両通行帯が設けられない道路は、片側一車線の道路で、左側に寄って走行します。(キープレフトの原則)
また仮にセンターラインが引かれていても、車両が走行する部分が区切られているわけではありません。
車両通行帯の通行方法と注意点
では実際に車両通行帯の通行方法や注意点もチェックしてみましょう。
車両通行帯の通行方法
車両通行帯は白線・黄色線で区切られ、その範囲内を走行します。
さらに同一方向に2つ車両通行帯があれば、左側を走行しなければなりません。
これは右側車線を追い越し、右折車用に空けておく必要があるからです。
勿論、追い越しを行うのであれば、右側車線の安全を十分に確認したうえで利用しましょう。
3つ以上の車両通行帯がある場合、最も右側の車両通行帯を開けておき、左側2車線を走行します。
速度が遅い車両が最も左を、他は速度に応じて右側車線を走行することになります。
車両通行帯の注意点
車両通行帯が設けられている道路での注意点をいくつかご説明します。
車両通行帯をはみ出したり、またがって走行してはいけません。
前の章で説明したように、白線・黄色線、実線・破線の指定事項も頭に入れておきましょう。
車両通行帯によっては、車線変更を禁じている場合や、車種により走行レーンを指定している場合も注意が必要です。
例えば「バス専用」、「けん引」と指定されているレーンでないか確認しましょう。
車両通行帯違反(追い越し違反)とは?
追い越し違反をしてしまうと、違反点数と反則金が課せられます。
内容は表をご参照ください。
反則金 | |
---|---|
大型車 | 12,000円 |
普通車 | 9,000円 |
二輪車 | 7,000円 |
小型特殊 | 6,000円 |
原付 | 6,000円 |
違反点数は、いずれも2点です。
トンネルの車両通行帯の有無について
ここではトンネルにおける、車両通行帯の有無や注意点について、ご説明します。
車両通行帯の有るトンネルと無いトンネルの違い
車両通行帯の有るトンネルと無いトンネルの違いとして、トンネル内での追い越しの可否が挙げられます。
原則としてトンネル内での追い越しは禁止されているものの、車両通行帯が設けられている部分に関しては除かれています。
詳しくは、「車両は、道路標識などにより追い越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(計車両を除く)を追い越すため、進路を変更し、または前車の側方を通過してはならない。」道路交通法第30条1項
「トンネル(車両通行帯が設けられた道路以外の道路の部分限る。)」
道路公社30条第1項第2号
まず1車線しかないトンネル内では、追い越し禁止です。
追い越しが許されるパターンはなく、センターラインの色が白か黄かは問いませんし、破線か実線かも関係ありません。
車両通行帯の有るトンネルで注意すること
車両通行帯の有るトンネル、つまり追い越しが許される場合があります。
注意として、そもそも追い越し禁止の看板が入口に設置されていれば、車両通行帯が有ろうと追い越し禁止です。
次に車両通行帯が黄色の実線だった場合も注意しましょう。
黄色の実線は車線変更がそもそも禁止されています。
車線変更を伴わない追い越しはできませんので、実質追い越しが禁止となります。
まとめ
普段何気なく、車両通行帯を利用していたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
車両通行帯部分の運行にはルールの理解が必要だと、わかっていただけたと思います。
車両通行帯は2車線以上と、規模の大きい道路で交通量は多く、法定速度も速めの道路が多くなります。
自身の認識不足が、大きな事故になってしまう可能性も否定できません。
今一度、ルールの確認をし、安全運転に勤めましょう。