台所で使用するプロパンガスで車が走ることを、皆さんはご存じでしょうか?
実はタクシー等において、LPガスを燃料とする車種が多く利用されています。
その為、ガソリンスタンドでタクシーを見ることも少ないはずです。
これにはどういった理由があるのでしょうか。
またタクシーで主流といえるLPガスは、何故一般車で普及していないのでしょうか?
今回の記事ではLPガスがタクシー業界で支持される理由と、一般車で普及しない理由を考察していきたいと思います。
タクシーの燃料がLPガスである5つの理由
早速、タクシーの燃料がLPガスである理由についてご紹介します。
理由1.燃料代が安い
まず燃料代が安いことが挙げられます。
タイミングによるものの、概ねレギュラーに比べ60~70%前後の相場価格となります。
ガソリンは各税が課されますが、LPガスにはありません。
一般家庭でも利用されるLPガスを、動力燃料にする強みといえるでしょう。
理由2.環境に優しい
環境負荷の少なさも魅力的です。
常に走り続けるタクシーですから、環境への配慮も重要です。
例えば価格も抑えめなディーゼルに比べ、NOx・PMといった排出物質もありません。
理由3.騒音や振動が少ない
一般的にLPガス車は非力といわれますが、走行に支障をきたすレベルではありません。
むしろ振動が少なくスムーズな走りが可能です。
騒音や振動の少なさは、乗客にも道路沿いの住民にもありがたい要素といえるでしょう。
理由4.エンジンオイルが汚れにくい
燃焼による煤や汚れが出にくいことから、エンジンオイルが汚れにくいという特徴があります。
長くエンジンオイルを使える点は、エコにもつながります。
また交換に係る整備費用・時間を抑えられるのも、タクシー会社には嬉しいポイントです。
理由5.盗難防止になる
車両の盗難防止につながります。
一般的に、LPガスを車両に補給するのは難しく、継続的に盗難後使用するのは難しいでしょう。
一般車の燃料にLPガスが普及しない3つの理由
LPガスを採用するタクシーにはメリットも多くあるようですが、一般車には普及していません。
この理由についても、考えていきましょう。
理由1.メンテナンスが大変
ガソリン車に比べ、メンテナンスコストがかかります。
LPガスの燃料タンクは定期点検(6年)が必要になります。
この点検をクリアしなければいけない為、時間的・金銭的コストは無視できません。
理由2.燃料タンクに場所が取られる
大きなガスタンクを車両に組み込む必要があります。
その為、セダンタイプだとトランクスペースがガソリン車より狭くなっています。
まだタンクを積めるスペースがあれば良いですが、座席の位置やサイズを変えざる得ない車種もあり、コンパクトカー等での採用はより難しくなります。
理由3.LPガススタンドが少ない
インフラ面での問題も立ちふさがります。
通常、燃料補給にはガソリンスタンドを利用しますが、LPガスを取り扱っているスタンドはほとんど見かけないのが現状です。
LPガスを補給できるスタンドが少なく、一般の車に供給網が確立できていないLPガス車の普及は難しいと言わざる得ません。
一般車の燃料をLPガスにしたい場合
一般車、つまりガソリン車をLPガス仕様車にすることはできるのでしょうか。
LPガス車に一般の方が乗るには、概ね2つの方法が考えられます。
一般車を改造する
まず最初に、一般的な車種をLPガス仕様に改造する手段です。
改造・変更を手掛けている業者は、ネットで調べてみるとかなり有るようです。
教習所からの依頼で、LPガス車に改造するといった依頼も多いようです。
ただし、どのような形状の車種でも可能かは、確認が必要です。
予算も含め、興味のある方は相談してみてはいかがでしょうか。
LPガス仕様の車を購入する
LPガス車が欲しい方にとっては、一番確実で安全な方法といえるでしょう。
ディーラーに行くか、タクシー会社等の払い下げの中古車を購入することです。
新車であれば、メーカーの保証が受けられますし、最良の手段といえるでしょう。
まとめ
実はLPガス車は身近にあり、タクシー等で普段から利用している存在です。
一般車として、自分で運転する機会は少ないですが、我々の生活を足元から支えてくれています。
今後、LPガス車のシェアが電気自動車などの普及によって、どのように推移していくかも注目といえるでしょう。
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