モノには「適正価格」というものがあります。高いモノは高いなりのモノのよさが、安ければそれは何かしらの理由があるのです。もちろん、高価でも単に値付けが悪いだけのものもあれば、企業努力によって安さを実現できたモノもあるでしょう。ですが、やはり高いモノには高いなりの意味があり、安いモノにもまたそれなりの理由がどこかにはあるものです。
私、絵描き屋kimodaのプジョー106 S16も、そうしたワケあり物件だったといえます。話を第1話に戻すようで何なのですが、当時所有していたルノー・ラグナが擱座、「とりあえず何でもいいから」と手に入れたのがこの106。その値段は20万円という超のつく破格値でした。
もちろん当時の106は底値といっていい状況で、今より相場は安かったといえるでしょう。それでもその値段にはそれなりの理由があり、そのひとつがバンパーでした。
フォグランプの下あたりがかろうじて体裁を保っているというくらいに割れています。
バンパー、フロントの前面大部分を一体成型したそれは「エアダム」といってもいいのかもしれませんが、購入当初から右側のフォグランプ付近が何かにぶつかって破損していました。普通に考えれば見た目も悪いし、「買うならもう少しキレイなものを」と思うのが人情でしょう。
ですが、いいものは高くあるものです。ならばどうすればいいか? そこが目利きになるというもので、簡単にいいますと直せばいいのです。とはいえ素直に修理工場に出していては5万円コースになるのは目に見えています。ですがそこを直すのです。えぇ、1万円で(笑)。
今回もヤフオク!を大活用。5000円でバンパーを落札
ということで、またしても頼りにするのはヤフオク!さんです。しかし、さすがのヤフオク!でもなかなか都合のいい物件は出てきません。どうしても、1万円を超えて2万ほどになってしまいます。
ですが、待てばカイロの日よりあり、破けたホッカイロで汚れあり。そうこうしているうちに「¥5000-」というものが出てまいりました。しかも、色も同じモーリシャスブルーです。これは都合がいい! しかし世の中、そうそううまくはいきません。注意書きには「難あり、キズ、クラックあり」と記載がありました。なるほど、たしかにちょうどボンネットの近くに割れ跡のようなものが見えます。これはさすがに目立ちましたが、「これは対処の方法があるぞ」とポチっと落札したのでした。
ちなみに、バンパーのような大物のパーツは、「個人宅には配送しない」といった輸送条件がある場合があります。配送業者の負担が大きいため、確実に引き渡せる店舗やガレージといったところにしか配送しない場合があるのです。
今回のバンパーもそうした輸送条件つき物件だったため、主治医にお願いして引き取り現場を工場へ指定し、同時に脱着もお願いしました。もちろん自身で行えば工賃は浮きます。ですが、届け先としてお願いをする以上は、そうした部分はお任せするのもまた大事なことです。それでも、本体と輸送費及び脱着工賃を含めても15,000円強といったところでした。
落札したフロントバンパー。ご覧のような塗装割れと色のくすみがあった
これでフォグランプ周りはキレイになります。しかし、交換したバンパーの上部には10円玉大の塗装割れがあるわけで、早速これに着手していきました。
仕上げはトヨタのダークブルーマイカで
まずは、キズの周辺をひたすらサンドペーパーで削り出し、塗装のクラックなくなるまで周辺を削ります。次は、削って凹んだ部分にパテを山盛りに塗り付けます。あとは乾くのを待って、本来の形になるように削って形を整えます。
パテによる修正を行った状態がこちら。白い部分がパテ。なお、カーボンボンネットが装着されていないのは、時系列がこちらの方が先だから
形が整ったら、いよいよ塗装に入っていきます。バンパー以外に十分にマスキングを施して、慎重に塗料を吹いていきます。塗料は缶スプレーで、似通った色味だったトヨタのダークブルーマイカを使用。実際には微妙に色合いが違いますが、光の加減でごまかせそうなので選択しました。
塗装にあたっては補修部分だけでなく、バンパー上面をすべて塗装した
できるだけ塗装ムラをなくすためにも部品のつなぎ目や区画を考えて吹きます。今回はバンパー上面全体。
塗料は幾重にも行い、仕上げにクリアーをやはり幾度となく吹きつけて、乾くのを待ちます。ここで慌ててはいけません。完全に乾いた上で次の作業に移ることが大切です。
その「次の作業」とは磨き・仕上げの作業です。幸いにも我が家には電動ドリルというものがあり、その頭をバフ用のスポンジに交換することで即席のバフ掛け機が完成。ついに仕上がります。
仕上がったバンパー。よく見れば少し後は残っているが、そこは素人の手仕事。自身が満足いくレベルであればよい
仕上がったバンパーは思いのほか色の違いも出ずに(このあたりは元のバンパーの色味もあるかと)仕上がりました。これにて計1万5000円のバンパー交換が完了です。きれいに仕上がった車体で早速街に出かけてみました。
遠くから見ても色味の違いは気にならず、仕上がりは充分。まずます106への愛着が増した
遠目に見てもこのとおり。もちろんよく見れば素人仕事だということはわかってしまうでしょうが、色味の違いもまったく気にならず、上々といえるでしょう。えぇ、これが“ワケあり物件の妙”というものなのです。
【きもだこよし】
イラストレーター、愛車の似顔絵屋
カーイベントの会場で個人のクルマをその場で描く、愛車の似顔絵屋として活動。個人に描いたイラストの数は1000枚を超える。その他、クルマメディアに自動車エッセイやマンガを執筆。
text & photo by きもだこよし, edit by 木谷宗義+Bucket
<プジョー106で低予算エンスー生活>
Vol.01~知恵と勇気と1万円の冒険~
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