KURUTOPi読者のみなさまこんにちは、イラストレーターのきもだこよしです。
こちらでは普段、イベントレポートなど書かせていただいておりますが、今のところこちらには1枚のイラストも掲載していないという絵描きにあるまじきイラストレーターでもあります(笑)。
いずれ本職の方はどこかで載せていただくことにいたしまして、今回は少々、手前味噌のお話をさせていただきたく思います。
エンスー生活は意外に難しくない
旧車と暮らす生活。みなさんはどうお考えでしょうか? 年配の方やある程度収入に余裕のある方でしたら、気に入ったクルマでそうしたこともできるかと思いますが、多くの方が「そんなのは無理」「新車か国産の中古の方が安心だし、やりたくてもちょっと難しそう」と思ってはいないでしょうか?
実は意外にそうでもないんです。私のようなお世辞にも収入も安定しない、余裕があるわけでもない一介の絵描きでさえできるのですから。そこで今回より、不定期連載という形でその異例ともいうべき私のクルマとの生活ぶりをご紹介させていただくこととなりました。
写真からもおわかりのように、私のクルマはプジョー106です。ではなぜ、このクルマを選んだのか?
「現代ではできないスタイリング」「そこからくるライフスタイル」「走って楽しめるクルマである」という、私の考えるちょっと古いクルマを楽しむ条件のすべて満たせるであろうクルマが、106だったのです。
106は、1991年にデビューしたプジョーのコンパクトカーで、デビュー当初は限定車の形で販売され、マイナーチェンジで1.6Lに排気量をアップ、4バルブ化されたモデルが「プジョー106 S16」として1996年よりレギュラーモデルとして販売されました。私のクルマも、この「S16」です。
1tを切った車体重量により、その軽快さやハンドリングの良さは目を見張るものがあります。それゆえ、現在でもヨーロッパでは、ラリーやサーキットでプライベーターの競技ベース車として広く愛されています。余談ではありますが、シトロエン・サクソは姉妹車です。
車両20万円+車検16万円
私のもとに106が来たのは、もう3年近く前になるでしょうか。そのころルノー・ラグナの1型(初代)に乗り、ゆるりとしたフランス車生活を送ることに目覚め、「もう少し小さめのクルマでゆるいフランス車をさらに楽しもうかな?」と思っていた矢先に、かの悪名高きAL4ミッションのトラブルにてあえなくラグナが臨終。主治医である工場に「なんでもいいから足をください!」と泣きつくと、「106があるよ」と出てきたのがこのクルマでした。
その言葉を聞き、小さなフランス車でコトコトと走る、ゆったりとしたカーライフを思い描いた私でしたが、現れた106の爆音とともにそれは打ち砕かれました。絶妙に低く車高の落ちた車体、大口径のマフラー……。ええ、届いたのはゆるい脚どころかバリバリの武闘派のようなクルマだったのです。
とはいえスタイルは申し分なく、色も当時限定であったモーリシャスブルーという濃紺ので、値段を考えればもったいないほどの代物でした。価格は、当時20万円。今、106はじわじわ値上がりしていて、安くても30万円、高いものでは100万円を超えますから、いい買い物をしたものです。
話を戻しましょう。乗り始めてすぐに車検でしたので、そのまま車検も行いました。このときに気を付けるのは、106は60000㎞ごとにタイミングベルトとウォーターポンプの交換が必須だということです。これを怠ると、最悪タイミングベルトが破断してエンジンが壊れます。
購入したクルマは走行距離が108290kmで、前回いつ交換したのかがわかりませんでしたので、このときに一式交換しました。この2点のパーツは一式36000円で、法定費用も併せて15~16万円の車検となりました。このときまでは、私も普通にこの106を維持するつもりだったのですが、あるとき運命の扉が開かれます。
「ほぼ1万円で修理生活」の始まり
私の106は、左のドアミラーを固定するためのツメが折れていたため、微妙に可倒部よりグラグラかつ若干下がり気味で、走行中に動くため視界の点からもよい状態とはいえませんでした。そこで、それを治そうと思って中古パーツ探しを始めたのです。
ドアミラーのカバーを外した状態。トラス状のパーツが見えている奥に可倒用のツメがあり、これが折れていた
昔は解体屋を訪ね歩き、あるいはネットワークを駆使して手に入れたものですが、最近はありがたいことにインターネットというものがあります。そう”ヤフオク”です。早速調べてみると、思いのほか出てまいりました。高いモノで15000円、安ければ3000~4000円。中古、新品、社外対策品を含め、実に多くの部品が見つかったのです。
その中に500円というミラー部品がありました。ただし、色はシルバーで表面にキズがあり動作も未確認というもの。ダメもとで落札してみると、操作は完璧でしたが傷も深くお世辞にもキレイとは言えません。
しかし、私には勝算がありました。それは、106のミラーは塗装部分が別パーツであるということです。ええ、外れるのです、簡単に。そして目論見どおりに、きれいに修復完了!
そして思いました。「これはもしかしたら、ほとんどの修理は1万円あればできるのではないか?」。これが私の「ほぼ1万円で修理生活」の幕開け。この瞬間から、知恵と勇気と福沢諭吉を1枚握りしめ、106の維持をし始めたのでした。
text & photo by きもだこよし+Bucket
<関連記事>
約300台の欧州車がモリコロパークに!ミラフィオーリ2017
https://car-days.fun/blog/article/6136
晴天の初夏を遊び倒せ!フレンチトーストピクニック2017
https://car-days.fun/blog/article/5951
1200台ものカングーが!カングージャンボリー2017
https://car-days.fun/blog/article/5614
中古メルセデスのある生活
https://car-days.fun/blog/tag/中古メルセデスのある生活