過去に「くるまマイスター検定」の試験問題でも出題され、日本で16番目の自動車メーカーに登録された日本エレクトライク。走行中は排出ガスやCO2が一切出ない、きわめて環境に優しい三輪の電動トライクです。
見た目も珍しく、そして可愛いこの車は、個人的に購入し生活の足として使われる方も多いそうですが、移動販売車や宅配車など商用車としても活躍しています。
今回はその中でも、なんと移動式の本屋さんとして活躍する1台を見つけてしまいました!
荻窪駅の南口を出て少し歩くとすぐ見つかる「文禄堂荻窪店」(東京都杉並区荻窪5-30-6)さんです。
入口のドアは無く、少し覗けばそこには書籍をたくさん積みこんだエレクトライクが迎えてくれます。
「もともと、お店のリニューアルをする時に【人が集まる・人に会いに行く】というコンセプトを軸に設計しました。そんな時、Youtubeの動画で出会ったのが、“エレクトライク”です。」
そうお話し頂いたのは、店舗のリニューアルを担当した日本出版販売株式会社・営業推進室・リノベーションチームの染谷さん。
店舗のコンセプト【人が集まる・人に会いに行く】を実現するため、移動式の本屋さんの企画を提案してはじめは手押し車なども検討したそうですが、移動範囲が限られるなどの問題があり断念。そんな時、Youtubeにアップされていた土砂降りの中でブレーキ走行テストするエレクトライクの動画を見て大爆笑し、「これだ!」と決めたそうです。
でも実際に走るのか…?と少々疑問に思う筆者を悟ってか、同じくリニューアルを担当した日本出版販売株式会社・営業推進室・リノベーションチームの武田さんが、「実際、イベントに行くときは染谷と僕が準備し運転しています。準備に1時間くらいかかりますが(笑)」と紹介してくれました。もともと、駆動輪を電子制御することで三輪車最大の欠点である転倒を防止しているエレクトライク。本が落ちないように特注した枠組みと木箱を組み合わせることで、実用性は確保できているとのこと。
染谷さんは、「屋外へ本を売りに行くと、直接、対面販売が出来るんです。なかなか、本屋さんに直接本を勧められたり本の説明をしてもらったりする事って少ないと思いますので、貴重な体験だと思います。」と。
最近はネットで本を購入する事や、本そのもの自体を手元に置くことなく、データで読む場合も少なくない時代です。ただ、直接本を手に取って選んだり、本屋さんと話したりすることは、“本を読む”という一連の行為の一部として、実は重要な時間なのかもしれないと思いました。
本屋さんは男女を問わず、そして年齢を問わず多くの人が日々利用し行き来します。人に会いに行くというコンセプトがあったからこそ、そこに自動車が活用され、話題を呼び、利用する人たちの経験としても大切な思い出になるのです。
本と車という全くの異業種ですが、今回のコラボ取材を経て、「本を読む人・好きな人を増やしたい」という想いは、「クルマ好きを増やしたい」というどこかの検定の想いにも少し似ているのでは?と共感を覚えました。
都内で開催されるイベントや公園で本を販売。出展する場面や内容によって本を選び、販売を行っている。
“本棚”として店舗にあるときは、毎月決められたコンセプトで本を紹介。取材をしたときは「旅」がコンセプト。今月7月は「植物(仮)」!
取材協力:
日本出版販売株式会社 株式会社日本エレクトライク ピッコロカーズ
Text by くるトピ編集部