ドライブ中、山道などの長い上り坂を走っていると、車線が増える場面に遭遇するかもしれません。
利用した覚えがあるかもしれませんが、そもそも何のために設置されているかご存知でしょうか?
これは登坂車線といい、有効に利用できれば便利ですが、ルールや注意点を覚えておく必要があります。
今回は、登坂車線についての概要や注意点、他の車線との違いについてご紹介していきます。
登坂車線とは?
まず登坂車線とはどういった車線なのか確認していきましょう。
登坂車線とはどんな車線?
登坂車線とは、速度を出して上り坂を走りたくない・走りずらい車両が走行する為の車線です。
設置場所として、主に坂道の多い山間部や山岳部を通る高速道路や車道に設けられます。
より詳細な意図としては、トラックや重量がある車両で、上り坂では速度を維持しずらい、速度が上がりずらい車両を分け通行させることで、渋滞や混雑、事故などの発生減少と軽減の役割を担います。
登坂車線が設置されている場所
設置される場所は先にも述べたように、坂道が割と長く続く山間部や山岳部に通る高速道路や車道に敷設されます。
より詳細には、道路構造令第21条に定められ、「普通道路の縦断勾配5%(高速自動車国道及び高速自動車国道以外の普通道路で設計速度が1時間につき100km/h以上であるものにあっては、3%)を超える車道には、必要に応じ、登坂車線を設けるものとする。」とあります。
これは片側一車線では速度が保てないと渋滞が起き、事故の原因にもなりかねません。
そこでスピードが出ない車両については登坂車線を利用することで、スムーズな通行状態を維持する意図があります。
登坂車線の見分け方
登坂車線と普通車線の見分け方も覚えておきましょう。
登坂車線が始まる場合、「登坂車線」とかかれた標識(青色、高速道路では緑色)が見られます。
また視認性の高い、太く感覚の短い破線が敷かれていることも多く、判断はし易いといえるでしょう。
そして登坂車線は必ず終わりがあり、登坂車線の終わりの本線合流地点を見逃さず、余裕をもって本線に戻るようにしましょう。
登坂車線で注意する4つのこと
登坂車線を利用する際の、特に注意が必要な4つのことにも目を通していきます。
注意1.制限速度がある
登坂車線は高速道路に設置されていても、一般道扱いとなります。
つまり制限速度が、今まで走っていた高速道路と変わっている可能性があります。
制限速度が何キロになるのか、きちんと標識を確認しなければなりません。
注意2.追い越しNG
登坂車線は追い越し禁止です。
そこで追い越しのルールを確認することで、登坂車線(左側に設置されている場合)を利用した追い越しがNGである理由がみえてきます。
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越しされようとする車両の右側を通行しなければならない。(道路交通法第28条)
つまり左側を通る登坂車線が空いているからと、追い越しの為に使ってはいけないのです。
登坂車線はあくまで、「追い越される車」のための車線であり、多くは左側に敷設されるのです。
注意3.駐車NG
登坂車線は左側に設置されることが多く、路上駐停車が許されると判断する人もいるかもしれません。
しかし登坂車線はあくまで一般道路であり、車両が通行するための道路ですので、駐停車は許されません。
とはいえ故障や急病でやむを得ない場合、なるべく左側に停車し、後続への通達・安全の確保に努めて下さい。
注意4.車種制限はない
先程から、登坂車線の利用はトラックや重量の関係から速度の維持が難しい車両と繰り返してお伝えしています。
しかし登坂車線は一般の普通車・軽自動車問わず利用が可能です。
荷物や人を多く乗せていたり、出力の低い車両はスピードが出しずらければ、登坂車線で安全な運行に努めるべきです。
さらに坂道でスピードを落として走りたい、ゆっくり安全運転に集中したい場合でも積極的に利用しましょう。
登坂車線と他の車線との違いとは?
次に登坂車線と他の車線のちがいについても確認してみましょう。
追い越し車線との違い
追い越し車線は、基本的に本線の右側に設けられる、車両追い越しが可能な車線です。
高速道路や国道といった、片側2車線以上の主要道路に敷設されています。
片側2車線以上で最も右側に位置する車線が追い越し車線となりますが、最高速度規制はあるので注意しましょう。
登坂車線とは車線配置が基本的に左右逆になっている点に注目しましょう。
ゆずり車線との違い
ゆずり車線=避譲車線は後方車両を先に行かせる、通行を譲る為に設置される車線です。
登坂車線と役割は同様ともいえますが、上り勾配でなくとも設置され、スピードを出したくない人が通行を譲れるよう、設置されています。
付加車線との違い
あまり聞きなれないかもしれませんが、付加車線も設置されています。
付加車線は渋滞緩和を主目的として、渋滞の発生が顕著である高速道路・区間に採用されています。
これは車両ごと・速度ごとに走行する車両を車線で分け、車両の詰まりを軽減する役割を担っています。
付加車線はあくまで本線に対する側道の扱いで、車線の最も左側に配置します。
この車線は追い越しに使用することは出来ず、比較的低速で走る車両を対象にしているので、やはり登坂車線に近い役割といえるでしょう。
まとめ
今回は登坂車線にフォーカスしつつ、他の車線についてもご紹介しました。
快適に目的地に向かうという意味では、どの車線を利用するのも同様です。
大事なのは自分の運転スタイルや、ストレスの少なさ、つまり自身にあった走行車線を選ぶことです。
プロのトラック・バス運転手は、積極的に登坂車線や譲り車線を活用し、自身だけでなく交通全般のスムーズな運用に寄与しています。
右車線でスピードを出すことこそ、運転が上手ということでは無いことを肝に銘じ、安全運転に努めましょう。
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