【コラム】世界じどうしゃ人文学 Vol.08 U・S・A!アメリカ・ミシガン州1 ~ヘンリーフォード博物館と街角の車たち(トヨタ編)~

01

北米の自動車産業と聞いてまず思い浮かぶのは、かつて「ビッグ3」と呼ばれたフォード/GM(ゼネラルモーターズ)/クライスラーの3社ではないでしょうか。そのビッグ3が誕生したのが、今回紹介するアメリカ・ミシガン州 のデトロイトとその周辺都市圏です。

主要産業は今もやはり自動車で、世界5大モーターショーのひとつ、「デトロイトモーターショー」の開催地でもあります。ミシガン州はカナダとも国境で接しており、1月の平均最低気温はマイナス7.2度と低く、冬季は雪景色が広がるエリアです。

02

目次

自動車史を眺める。フォードの巨大自動車博物館

「自動車の街」と呼ばれるデトロイトの西に隣接する都市、ディアボーンにフォード・モーターの本拠地があります。その関連施設として設置されているのが、米国最大級といわれる博物館複合施設である「ヘンリーフォード博物館」です。

03

アメリカを象徴する歴代の大統領専用車(プレデンシャル・リムジン)から、モータリゼーションを支えた大衆車の歴史、レース競技やテクノロジーの進歩など、自動車の歴史と文化がさまざまな切り口から展示・解説されており、その圧倒的な展示量も見応えがあるものでした

04
フォード・リンカーン コンチネンタル プレジデンシャルカー。1972年に登場し、ロナルド・レーガン大統領が使用した

05
ホンダ アコードセダン(1989年式)。高い品質と低価格から人気を誇った日本車。リトラクタブルヘッドライトが特徴的

06
トヨタ・プリウス(2002年式)。環境への真剣な取り組みと先進的なテクノロジーに世界が驚いた世界初の量産ハイブリット車

07
食品会社のオスカー・マイヤー社が販促用に制作した「ウインナーモービル。」。これは1950年代に作られたものだが、今でもベース車両を変更し、複数台が全米を走っている。ドライバーはオスカー・マイヤー社の面接をクリアした卒業見込みのある大学4年生だそうだ

08
フォードGT40。1960年代の「ル・マン24時間耐久レース」を語る上で欠かせないモデル。“ガルフカラー”はこのクルマから始まったとか

09
これは、ボディの架装を行う前のフォード F-150のシャシー。ラダーフレームにアメリカ車らしいV8エンジンが搭載されている

広大な敷地内には、ピックアップトラックの製造工場などが併設されており、実際の組み立て工程を見学できるツアーもありました。歴史だけでなく自動車の作り方を勉強できるので、デトロイトへご旅行の際に足を運んでみてはいかかでしょうか?

リアルUSDMなミシガン州のまちかど自動車!

日本国内でも日本の北米仕様車や逆輸入車をこよなく愛するファンが多く存在し、日本各地でイベントが開かれています。米国で販売されている仕様の自動車やスタイルをUSDM(United States domestic market)と呼称し、文化を取り入れながらライフスタイルそのものを楽しんでいる方も多く見受けられます。中には限りなく北米で販売されている仕様を再現したクルマや生活感まで再現したマニアックなスタイルも。

ふと、デトロイトの街角に目を向けてみると、当たり前ですが、そこにはリアルUSDMの世界が広がっていました。ここはイベントが開催されている「常滑りんくうビーチ」でも「ツインリンクもてぎ」の南コースでもありません(笑)。

>10
トヨタ・カムリ。カムリとしては6代目に当たるモデルで、日本では「カムリ グラシア」として販売された。このホイールカバーは5代目カムリ(北米未発売)のものだが、北米では6代目カムリに標準装備

11
トヨタ・カムリの7代目モデル。全体的な意匠こそ日本仕様と同じだが、車体側面のピンストライプなどが米国独自の仕様となっている

12
トヨタ・カローラ(7代目)。日本国内には設定のないカラーとフロントバンパーのデザインが特徴

13
7代目トヨタ・スプリンターのOEMモデルであるジオ・プリズム。発売していたジオはGMが展開していたエントリー車向けブランドだが、販売戦略にともなって1997年にブランドが消滅した

14
トヨタ・カローラ(8代目)。猫目なデザインのリアランプは、北米向けの独自意匠。クルーズコントロールなども装備されていた

15
トヨタ・ターセル。日本には設定のない2ドア仕様。治安の悪い地域ではリアドアから強盗が乗り込んでくるために2ドアを好む人もいる、とは現地の友人談

16
5代目トヨタ・セリカ。こちらも日本では販売されなかった2ドアクーペ仕様車。主にリアクオーター以降の意匠やボディ造形が異なる

17
日本名トヨタ・プロナードは、北米では2代目アバロンとして販売された。前後席3名掛けベンチシートの6人モデルは、まさにアメリカセダン。ルーフキャリアが現地の日常を漂わせる

18
最後は3代目 レクサスL。日本名トヨタ・セルシオ。北米の空の下で見るLSは、若干スポーティな印象すら感じさせてくれた

何気なく街を走っているクルマたちも、仕向け地が違えば細かな仕様差があるもの。その雰囲気に文化を感じることはもちろん、ディテールを眺めるとマニア的には気分が高まっていきます。日本車は耐久性が高く現地でもサバイブ率は高め。渡航して日本に持ち帰ってくる旅も良いかもしれませんね! いつかは自分も……と夢が膨らんでしまいます。それではまた次回!

【TUNA】
同人誌サークル INPINE代表。海外の街角で見かける自動車の写真やイラストを本にまとめている。1990年代の車を愛する1990年代生まれ北海道育ち。

ブログ:http://inpine.blogspot.com/
Twitter:https://twitter.com/inpine000
Instagram:https://www.instagram.com/inpinegram/

text & photo by TUNA edit by 木谷宗義

<世界じどうしゃ人文学>
Vol.07 ドイツ・シュトゥットガルトと街角の車たち2
https://car-days.fun/blog/article/12081

Vol.06 ドイツ・シュトゥットガルトと街角の車たち1
https://car-days.fun/blog/article/11615

Vol.05 ロシア・サハリン島と街角の車たち2
https://car-days.fun/blog/article/11302

Vol.04 ロシア・サハリン島と街角の車たち1
https://car-days.fun/blog/article/10866

Vol.03 ロシア・サハリン島と日産
https://car-days.fun/blog/article/10409

Vol.02 極東ロシア・サハリン島とトヨタ その2
https://car-days.fun/blog/article/9768

Vol.01 極東ロシア・サハリン島とトヨタ その1
https://car-days.fun/blog/article/9556

▼試験直前対策に!? クルマ知識が身につく「豆知識記事」まとめ
https://car-days.fun/blog/article/7980

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次