トヨタの世界戦略コンパクトカーであるヴィッツがマイナーチェンジしました。注目はハイブリッド仕様の追加。これまでハイブリッドのコンパクトカーといえば、アクアでした。しかし、トヨタの定番コンパクトであるヴィッツは、幅広い層の顧客を抱えており、次はハイブリッドのヴィッツが欲しいという声も多かったそう。では、満を持して投入されたヴィッツハイブリッドは、どんなクルマに仕上がっているのでしょうか?
ハイブリッド車のパワーユニットは、アクアに搭載されているものと同様の1.5Lエンジンのものですが、さらに改良を加えて搭載。システムの最高出力は100psとアクアと同等。気になる燃費消費率は、34.4km/L(JC08モード)を達成。37.0km/Lのアクアの方が上ですが、これはヴィッツの車重が重いため。もちろん、同重量のライバル車との比較では、クラストップとなるそうです。
今回のマイナーチェンジではエクステリアも一新。前後マスクを大きく変更され、力強さが協調されたデザインとなりました。デザインは欧州チームが担当。従来型では国内外で異なるマスクとなっていたヴィッツですが、今後はデザインを統一していくそう。このため、より欧州テイストが強まったともいえます。
また走行性能の向上も改良のポイントで、新構造のショックアブソーバーの採用やボディ各部のスポット溶接増し打ちなどによるボディ剛性の強化なども行ったといいます。
今回の試乗車は、「ハイブリッド ジュエラ」という女性ユーザーを意識したお洒落なインテリアと便利な機能を備えたハイブリッド仕様車です。インテリアは、新色のマルサラ。ワインレッドを使った装飾がとても上品でした。
ハイブリッドシステムは、アクアの改良型というだけに安定の出来で、パワーも十分。今回の改良で、1.5Lエンジン車はなくなりましたが、その代わりとしても十分という判断なのでしょう。それよりも驚かれたのは、走りの良さ。スポーティではないけれど、ドライバーの操作に素直に追従し、心地よい動きです。短い距離の中で、ワインディングと高速道路にも乗ってみましたが、乗り心地も良く快適。各部のボディ剛性アップと新ショックアブソーバーの足回りの効果がしっかりと表れている様子でした。開発者によると走りの良さは、実は運転のしやすさにもつながるからとのこと。さすが老若男女問わず選ばれるコンパクトカーだと感心していると、最後に「それにクルマは乗って楽しくないとダメでしょ」と笑って話してくれました。新型ヴィッツはあなたの予想を超えるかも……。
text & photo by OHTO Yasuhiro