お洒落な人は、クルマも“お洒落に着こなす”もの。それは、自分の流儀やスタイルに合ったクルマに乗っているから。横路一樹(よこじいっき)さんも、そんなクルマをお洒落に乗る一人です。
横路さんは、ブランド古着のセレクトショップ「DIGRAG」の創業者で、現在は買い物に付き合ってくれる人を探すWebサービス「ファッションアテンダント 」を展開しているいわばファッションのプロ。クルマ選びにもこだわりがあり、日産・ラシーンに乗っています。
今あえて新宿でクルマを所有するカッコよさ
日産・ラシーンは、1994年から2000年にかけて生産されたコンパクトSUV。SUVであること以上にレトロとモダンが融合した、インテリア雑貨のようなスタイリングで話題になったクルマです。横路さんのラシーンは、1995年式の初期型でタイプⅢと呼ばれる上級モデル。購入したのは2015年の10月だそう。
日産・ラシーン(1995年式)。TYPEⅢにはグリルガードや大型サンルーフが装備される
スペアタイヤカバーも含めて、フルオリジナルを保っている
「中古で買ったBMW5シリーズを手放して以来、5年ぶりのクルマです。僕がアンチなので、みんなと一緒は嫌。若者のクルマ離れだとかクルマはお金がかかって効率がよくないと言われる中、新宿に住んでいる僕があえてクルマを所有するのが自分らしくていいんじゃないかと思って。自己表現の一種ですね」
明るいベージュのインテリアにチェック柄のシートがお洒落だ
5シリーズの前はフォルクスワーゲン・ゴルフに乗っていたという横路さんに今あえてラシーンを選んだ理由を聞いてみると…?
「もともと三菱・ジープとか、古くてもカッコいいクルマが好きなんですね。そんな中、デザイナーでラシーンに乗っている人がいて、すごくお洒落だなと。ヤフオクで好みのボディカラーかつ取りに行ける範囲で探して、そして見つけたのがこのクルマです。92,000円で落札して、八王子まで取りに行きました」
中古車は古着と同じオンリーワン
すでに20年、12万kmが経過したラシーンは決して綺麗ではなく、ところどころ色は褪せ、錆が浮いている部分も。でも横路さんは、「それも味」と直さずに乗っています。
「僕は古着のバイヤーでもあるので、大量生産されたそのままのものは好きじゃないんです。中古車は、傷も凹みも含めてオンリーワン。今のこのクルマが気に入ってるんです。もし今、もっと状態のいいラシーンが出てきたとしても、乗り換えないですね。中古車は古着と同じ“一点物”の良さがありますから」
退色や錆も古着感覚で愉しむのが横路さん流
古いクルマとは言え、ガシガシ使うのが横路流。夜、ドライブがてら代官山蔦屋に行ったり、食べログを見てラーメンやカレーを食べに行ったり、洋服を運んだり、週に2~3日は乗っていると言います。ラシーンだからこそのこんなエピソードも。
「ガソリンスタンドの店員に『これ外車ですか?』と聞かれたり、『懐かしいクルマですね』とおじさんに声をかけられたり、クルマからコミュニケーションが生まれるんですよ。上の世代も下の世代も興味を持ってくれるのが嬉しいです。一番嬉しかったのは、母親に『あんたにしてはいいセンスしてるわね』と褒められたときですけどね(笑)」
「コンパクトで取り回しがよく、荷物も乗るので使い勝手もいい」と横路さん
普段使いの他には、個人間カーシェアサービス「Anyca (エニカ)」に登録して、貸出しも行っているそう。若い人からのオファーが多く、「レンタカーじゃデートでカッコがつかないんでしょうね」と横路さん。ちなみに、所有してからまだ一度も故障は起こっていないとのことで、信頼性は高そうです。
人生やファッションを体現する分身
ヤフオクで購入してからまだ1年と少し。でも、ラシーンはすでになくてはならない存在になっているよう。
「僕は、靴を見ればその人の人生がわかるんですが、それと同じようにクルマも人生を物語ると思うんです。このラシーンは、僕の人生やファッションを体現していると思いますね。分身のような存在です。古いクルマなのでいつまで乗れるかわかりませんけど、あと2年は乗りたいかな」
古着を着こなすお洒落がある。そう感じさせてくれたラシーンだった
クルマが人生を物語るというのは、大いに共感できるところ。自分らしさを体現できるクルマに出会えるって、クルマ好きとして幸せなことではないでしょうか?
▼ネオクラシックと暮らす ~サーブ900 ターボ16S~
https://car-days.fun/blog/article/9920
▼ファッションアテンダント
http://fashion-attendant.com/
text & photo by 木谷宗義+Bucket