自動車保険に入る際に加入したほうが良いのか迷う特約が「対物差額修理費用補助特約」です。
「特約の特徴は?」「加入したほうが良いの?」と疑問を持つ方もいることでしょう。
本記事では、対物差額修理費用補助特約の特徴を徹底解説します。
メリット・デメリットについても解説するので、自分に合う特約なのかの判断に役立ててください。
また、この特約の補償例についても紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
自動車保険の対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の特徴
自動車保険には、対物賠償保険というものがあります。
交通事故で相手の車や建物などに損害を与えた場合に、その賠償責任を補償する保険です。
しかし対物賠償保険には限度額というものがあり、保険会社が支払う最大の金額を超える損害は自分で負担しなければなりません。
例えば相手の車が古くて時価額が10万円の場合、事故で車が大破して修理費用が50万円かかる場合です。
この場合、対物賠償保険では10万円までしか補償されません。
残りの40万円は自分で払わなければならない可能性が出てきます。
その際に頼れる特約が、対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)です。
つまり対物賠償保険で補償されない分の修理費用を補助する特約と言えます。
上記例の場合、特約に加入していれば時価額を超えている40万円も保険から賄うことが可能です。
ここからは特約の特徴について以下の項目について解説します。
- 対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)とは?
- 対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の対象者
- 対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の注意点
この特約について正しく理解しましょう。
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)とは?
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)とは、対物賠償保険で補償されない分の修理費用を補助する特約です。
対物賠償保険では相手の車や建物などに与えた損害を補償しますが、その際に基準となるのはその時点での時価額です。
時価額とは、車や建物が現在市場で売れる価格のことで、車で言うと年式や走行距離などによって変動します。
しかし相手が修理する場合には、時価額ではなく修理費用が必要です。
10年以上経過した車や10万キロ以上走行した車は、修理費用が時価額よりも高くなってしまう場合があります。
時価額よりも高い修理費用が発生した場合、対物賠償保険ではその差額を補償してもらえません。
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)は、このような場合に対物賠償保険で補償されない分の修理費用を補助してもらえます。
つまり相手の車の時価額を超える修理費用が発生した場合に、その差額を保険から支払ってもらえる特約なのです。
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の対象者
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の対象者は保険適応範囲の運転者となり、契約内容によって異なります。
- 被保険者本人
- 被保険者の配偶者
- 被保険者もしくは被保険者の配偶者の同居の親族
- 被保険者もしくは被保険者の配偶者の別居で未婚の子
契約内容によって対象者が異なるので、家族の中でもどこまでの範囲をカバーしている保険かを確認しておきましょう。
家族全員が運転者としての対象であれば、万が一の際にこの特約も対象者となるので安心してください。
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の注意点
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の注意点は以下の通りです。
- 補助される額は修理費用と時価額の差額に過失割合を乗じた額
- 修理費用と時価額の差額の上限は一般的に50万円
- 事故車両を6ヶ月以内に修理する場合に限る
この特約を使用する際には「過失割合」「上限金額」「修理期間」の3つの注意点があります。
「特約を使用できなかった」とならないように、注意点を把握しておきましょう。
自動車保険の対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)のメリット・デメリット
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
「特徴や注意点については理解できたけど加入を悩んでいる」という方もいるかと思います。
メリット・デメリットの観点からこの特約についてさらに理解して頂き、加入するかしないかの判断に役立ててください。
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)のメリット
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)のメリットは以下の通りです。
- 示談交渉がスムーズに済ませられる
この特約では年式が古い車と事故をしても、修理できる可能性が高くなることから示談交渉がスムーズに済みます。
特約に加入していない場合は、車の時価額を修理費用が上回っていると修理費用が全額負担されないため、相手との示談交渉が長引くことがあります。
しかし特約に加入していれば、時価額を超えても上限額まで保険でカバーできるので相手の修理費用を保険で賄いやすいのです。
万が一の示談交渉をスムーズに済ませたい方には、おすすめの特約と言えるでしょう。
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)のデメリット
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)のデメリットは以下の通りです。
- 修理しない場合は対象外
この特約は車を修理した場合に支払われる保険で、修理しない場合は対象外となります。
事故により修理費用が時価額を超えていることから、相手が車を買い替える選択をした場合、この特約の対象外となり時価額までの保険支払いとなるのです。
万が一相手が「車の購入費用を対物超過分も支払え」と要求されても、対応できません。
こうした要求には法律上でも対応する必要はありません。
対応する必要はないのですが、示談交渉が長引いてしまいます。
自動車保険の対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の補償例
対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の補償例を以下の2パターン紹介します。
- 例1:時価額10万円・修理費用40万円・過失割合70:30の場合
- 例2:時価額・40万円・修理費用100万円・過失割合80:20の場合
時価額と修理費用・過失割合の関係を、2パターンから把握しましょう。
例1:時価額10万円・修理費用40万円・過失割合70:30の場合
1つ目の対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の補償例は以下の通りです。
修理費用が40万円の場合。
過失割合70(自分):30(相手) | 時価額10万円 | 時価額を超える30万円 | 支払金額 |
---|---|---|---|
対物賠償保険のみ | 7万円 | 補償なし | 7万円 |
対物差額修理費用補助特約あり | 7万円 | 21万円 | 29万円 |
過失割合が70:30の場合で、自分が70になった場合の補償例です。
修理費用の70%を支払う必要があり、特約に加入していると時価額を超える30万円の70%も保険で補償されます。
例2:時価額・40万円・修理費用100万円・過失割合80:20の場合
2つ目の対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)の補償例は以下の通りです。
修理費用が100万円の場合。
過失割合80(自分):20(相手) | 時価額40万円 | 時価額を超える60万円 | 支払金額 |
---|---|---|---|
対物賠償保険のみ | 32万円 | 補償なし | 32万円 |
対物差額修理費用補助特約あり | 32万円 | 48万円 | 80万円 |
この特約は対物賠償保険のみの補償額にプラスで、50万を上限額とし超過分を保証されるので、修理費用が100万など高額の場合も修理できる可能性が高いです。
車が修理費用の半分以下の時価額でも問題なく修理できるので、示談交渉がスムーズに行えるでしょう。
まとめ
自動車保険の対物差額修理費用補助特約(対物超過特約)について、詳しく解説しました。
車の修理費用が時価額を超えていても上限額まで保険で補償できる特約です。
事故相手との示談交渉がスムーズになるメリットがあります。
実際の補償例を見ても、過失割合によって異なりますが修理費用が時価額を60万円超える場合でも修理できるケースがあります。
示談交渉がスムーズになるように加入しておくことがおすすめです。