【豆知識】1989年「国産車のヴィンテージイヤー」に生まれたクルマたち~その1~

01

バブル経済に沸いていた1980年代後半から1991年ごろは、クルマの世界も大いに盛り上がりを見せた時期でした。特に1989年は「国産車のヴィンテージイヤー」と呼ばれるほど、のちの自動車業界に影響を与えた名車の数々が誕生した年。そこで、2回にわたってこのヴィンテージイヤーに登場したクルマをご紹介していきます。

目次

なぜ、1989年がヴィンテージイヤーなの?

クルマを紹介する前に、なぜ1989年がヴィンテージイヤーとなったのかを考えてみましょう。それには大きく2つの理由が考えられます。ひとつ目は「開発期間」です。当時、クルマの開発には数年を要していたため、景気上昇が続く1980年代中頃に開発スタートとなったクルマが、一斉に発売時期を迎えたと考えられます。

02

もうひとつは、1989年に「第28回東京モーターショー」が開催されたこと。メーカー各社は、このショーに出品すべく発表・発売のタイミングを合わせてきたはずです。余談ですが、第28回東京モーターショーは、それまでの晴海から幕張メッセに会場を移しての、初めてのモーターショーでした。

ユーノス・ロードスター

ここからは、ヴィンテージイヤーに登場した車種をご紹介しましょう。まずは、1989年デビューモデルの筆頭に挙げられる、ユーノス・ロードスター。

03

ライトウェイトスポーツカーは当時、衝突安全基準や排ガス規制が厳しくなったことで、世界の市場からほとんど姿を消したジャンルのクルマでした。マツダのエンジニアは、「他社とは違う独自の製品が必要だ」と考え、2シーターオープンを企画。1989年9月にロードスターを発売すると、たちまち大ヒット作となりました。ロードスターは世界中から支持され、新たなマーケットを創出。BMW Z3やMG-Fの登場など、他のメーカーにも大きな影響を与え、消えかけていたライトウェイトスポーツカーというジャンルを21世紀へとつなぎました。

スバル・レガシィ

04

スバルの看板モデルでありフラッグシップモデルでもある「レガシィ」は、「レオーネ」の後継車として知られていますが、ただの後継車ではありません。レオーネは、為替の影響でアメリカでの販売が激減。レガシィは、起死回生の一手として開発された渾身のニューモデルだったのです。ターボエンジン+AWDを搭載したツーリングワゴン「GT」が大ヒットを飛ばしたのは、ご存知のとおり。三菱・パジェロや日産・テラノといったクロスカントリー4WDがブームだった当時、走りステーションワゴンという新たな選択肢を示しました。

トヨタ・セルシオ

05

スポーツカーに注目が集まりがちなヴィンテージイヤー。そこで忘れてはならないのがセルシオの存在です。アメリカで初代「レクサスLS」として販売されたセルシオは、「日本車=大衆車」というイメージを打破すべく開発された高級サルーンで、静粛性、快適性といったクルマとしての性能に加え、塗装や組み付け精度といった製品としてのクオリティの高さでも世界を驚かせました。メルセデス・ベンツやBMWが中心だった高級車市場で初めて認められた日本車として、大きな意味のある1台です。

トヨタ・ランドクルーザー80

06

ヴィンテージイヤーのクルマとしてあまり語られることはありませんが、ランドクルーザー80も1989年にデビューしたモデルのひとつです。80は現在の「ランドクルーザー200」に通じる、ランドクルーザーのフラッグシップモデルで、それまでの「ランドクルーザー60」から快適性や内外装の質感を大幅アップし、高級SUVとしてのポジションを築き上げます。「レクサスLX」として、初めてレクサスブランドでも販売されました。

ホンダ・アコードインスパイア

07

アコード・インスパイアも注目される機会の少ないクルマですが、バブル期を象徴する1台として見直すべき1台でしょう。同年デビューした4代目アコードをベースに、トヨタ・マークⅡなどに対抗する上級モデルとして登場。直列5気筒エンジンを縦置きする特異なFF(前輪駆動)レイアウトを採用し、ロングホイールベースによる伸びやかなスタイリングでアコードを超えるヒットモデルとなりました。

「NSXは?」と思われた方もいるかもしれません。NSXは、発表こそ1989年でしたが、発売は1990年。厳密には、ヴィンテージイヤーのクルマではないのです。ちょっと意外な感じもしますよね。次回、「1989年「国産車のヴィンテージイヤー」に生まれたクルマたち~その2~」では、R32型スカイラインGT-Rを始め、1989年にデビューした日産車をまとめてご紹介します。1989年は、日産だけで見ても十分にヴィンテージイヤーと言えるクルマが登場していたのです。

text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:SUBARU、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダ

<関連記事>
ソアラにプレリュード…1980年代の若者が憧れた「デートカー」
https://car-days.fun/blog/article/1083

日産の「901運動」で生まれた名車たち
https://car-days.fun/blog/article/2547

昔の国産スポーツカーがみんな「280馬力」だったワケとは?
https://car-days.fun/blog/article/1065

AZ-1、ビート、カプチーノ!90年代のスポーツカーシーンを賑わせた3台の軽自動車
https://car-days.fun/blog/article/1494

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次