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【カーライフ】恋焦がれて9年。22歳で叶えた中学時代の憧れ ―日産・スカイライン25GT-X―

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日産スカイラインと聞いて、あなたはどのモデルを思い浮かべるでしょうか? ハコスカ、ケンメリ、セブンス、R32、そして最新のV37……。スカイラインほど、歴代モデルのそれぞれが憧れの対象となったクルマは、ないかもしれません。それは、それだけオーナーとのドラマを生み出してきたということでもあります。

今回、取り上げるのは1998年式 日産・スカイライン 25GT-X(ER34型)。オーナー氏は、9年もの片思いの末にこのスカイラインを22歳で手に入れたという26歳。想い続けた9年間や、恋を実らせてからの4年間のドラマを伺いました。

1990年代最期の輝き、直6FRの硬派な4ドアモデル

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華美なクルマが続々と開発された、1980年代後半から1990年代前半のいわゆる“バブル期”から一転。1990年代後半は、プラットフォームや部品の共通化など、コスト意識の高いモデルが多くリリースされた時代です。

そんな中でも、スカイラインとして10代目にあたる通称”R34型”は、軽量化やボディの高剛性化が図られるなど、走りにも力を注いだ質実剛健なモデルとして1998年にデビューしました。取材車は、R34誕生初年度の1998年式。NAエンジン搭載の最上級グレード「25GT-X」です。

男、13歳。スカイラインとの衝撃の出会い

「スカイラインとの出会いは中学生になったときでした。テレビゲームなどでスカイラインという存在自体は知っいたのですが、初めて実車を認識したのは中学校の教員駐車場。担任だった先生が、白いR34のクーペに乗っていたんです。当時、実家にあったミニバンと比べると、低い全高と丸いテールランプが印象的で、毎日見るたびに惹かれていきました」

いつか先生のスカイラインに「どうにかして乗れないか?」とチャンスを探っていたと言うオーナー氏。しかし、その夢は意外に早く訪れます。家庭訪問です。

03スカイラインのシグネチャーのひとつと言えるのが、1970年代の“ケンメリ”から採用された丸テール。R34は、2ドア/4ドアモデルともに、外側が大きく内側が小ぶりなサイズの“丸”が意匠された

04R34スカイラインのエンジンはRB25DE型。 2,500CC 直列6気筒。ミッションはMTとATが用意された

「僕の学校ではその日、最初に家庭訪問が実施される家には、生徒をクルマに乗せて家まで行くという習慣があったんですね。母と先生と交渉の上、家庭訪問を最初の時間にしてもらい、念願のスカイラインの助手席に乗せてもらうことができました」

いつも長い時間をかけて歩く田んぼの通学路の景色が、心地よいエンジン音とともに一瞬で流れて行く。この“スカイライン原体験”が、オーナーをスカイラインにますます虜にします。

05トピックスは、このモデルから「デュアルマチックM-ATX」と呼ばれるMTモード付きのAT用意されたこと。ステアリングのスイッチで、シフトコントロールができるもの。2000年代前半の雰囲気を残すカロッツェリア製DVD楽ナビが懐かしい

06シート表皮は当時の日産車に多く見られるスポーティーなパターン

「中学生時代の出会いが忘れられず、社会人になって初めてのボーナスでスカイラインを購入しました。2ドアのモデルもいいなとは思っていたのですが、クルマは生活のツールであるとも考えて、4ドアセダンを選択。中学1年のときに出会い、22歳で購入するまで約9年間の片思いだったので、購入してから4年目となった今でも、気に入って乗っています」

07シート表皮は当時の日産車に多く見られるスポーティーなパターンオーナー氏が何度も繰り返し読んだというR34スカイライン 4ドアモデルの専用カタログ。当時のCMでは“ドライビングボディ”というキーワードが、走りを予感させた

「現在まで大きなトラブルは一度もなく元気に走り回ってくれています。西へ東へとあちこちにドライブへ出かけましたが、地元の海沿いの道を、スカイラインと出会ったころから聞いているJUDY AND MARYを流しながら走るのがたまらなく好きですね」

実は父譲り。受け継がれしスカイライン愛

スカイラインに一目惚れした当時、オーナー氏の両親はミニバンに乗っていましたが、このR34を手に入れて実家に変えると、お父様もスカイラインファンであることがわかったとか。

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「実家にスカイラインで初めて帰ったとき、『あのとき先生のクルマ、本当に買ったの!?』と母に驚かれたのですが、スカイラインを見た父はニヤリと笑い、『俺も実はケンメリに乗ってたんだ』と衝撃の告白が(笑)。僕が逆に驚かされてしまいました。親子二代でスカイラインを好きになっていたことが判明して、自分にもクルマ好きの血が流れているんだなぁと思いましたね」

R34を手にして初めて知った父のクルマ好き、そしてスカイライン愛。オーナー氏は、ますます愛車への想いを強くし、いつしかこんな夢を見るように。

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「今の夢は、このスカイラインにチャイルドシートを装着して乗ることです。この先、家族が増えたとしても、できる限りこのスカイラインに乗っていたいと思っています」

少年時代の夢のマシンが、さらに未来へとつながる目標に。いつか、お子さんが「お父さんと同じスカイラインに乗りたい」なんて言われる日がきたら……と思うと、夢はさらに膨らみますね。

text & photo by TUNA
edit by 木谷宗義

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