後世に大きな影響を与えた名車が数多く生まれた「国産車のヴィンテージイヤー」、1989年。ユーノス・ロードスターやトヨタ・セルシオなど、各社から多くの名車が生み出された年でしたが、メーカーごとに見てみると注目すべきは日産です。今回は、1989年に生まれた日産車を特集します。
180SX
今もスポーツカー愛好家の間で高い人気を誇る180SX(ワンエイティエスエックス)は、前年にデビューした2ドアクーペ、シルビア(S13型)のハッチバックタイプとして、1989年にデビュー。シルビアがS14型にスイッチしたあとも、1998年まで生産されました。派手なエアロパーツをまとった後期型のイメージが強いかもしれませんが、デビュー当時のモデルを見ると、とてもシンプルなスタイリングだったことがわかります。
フェアレディZ(Z32型)
Z32型フェアレディZも、1989年に登場した忘れてはいけないモデルのひとつ。フェアレディZとして4代目にあたるZ32型は、V6 3.0Lエンジンを搭載。ツインターボモデルは、当時の国産車最強となる280PSを発揮し、「280PS自主規制」を生み出すきっかけとなりました。1992年にはコンバーチブルモデルも追加。バブル経済崩壊や日産自動車の経営難により次期モデルの開発が一時休止されたため、Z32型フェアレディZは2000年までの長きにわたって生産されました。Z33型の登場は2002年です。
パオ(PAO)
1987年に登場したBe-1に続いて登場した、マーチベースのパイクカーがPAO。予約生産のみの限定車で、3ヶ月間のみ受注を行い、およそ3万台が生産されました。PAOという車名は中国語の包(パオ)が由来で、モンゴルの遊牧民の「組立式家屋」を意味しているそう。デザインはクラシカルですが、樹脂ボディパネルが使われるなど先進的な側面も持つ、ユニークなクルマでした。
インフィニティQ45
トヨタが北米で高級車ブランド「レクサス」を立ち上げたように、日産もレクサスと同じ1989年に「インフィニティ」ブランドをスタートさせます。そのフラッグシップモデル「Q45を日本でも同名で販売しました。セルシオよりも大きな4.5LのV8エンジンや油圧アクティブサスペンションなど、贅沢なメカニズムを採用。七宝焼きエンブレムや漆塗りのインテリアパネルに、日本らしさを見ることができます。しかし、販売面ではライバルであるセルシオに及ばず、1996年に販売終了となりました。
スカイライン(R32型)
「国産車のヴィンテージイヤー」でよく話題になるのはGT-Rの方ですが、そのベースとなるR32型スカイライン自体も、1989年デビューのクルマです。先代(R31型)が、ラグジュアリー志向だったのに対し、R32型はスポーティを追求。4輪マルチリンク式サスペンションを採用するなど、一新された面も走りにこだわったものでした。スカイラインとして9代目となるR33型のデビューが1993年ですから、R32型の生産はわずか4年でしたが、歴代スカイラインの中でもとりわけ重要なモデルとなったことは間違いないでしょう。
こうして見ると、当時の日産の勢いを感じますよね。ちなみに、レパードのベースにオーテックジャパンが開発した「オーテック・ザガート・ステルビオ」の当時も1989年ですから、この頃がバブル期だったことを感じずにはいられません。なお、この頃ヒットした日産車「セフィーロ」は、1988年のデビューですのでお間違いなく。
text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:日産自動車、日産ヘリテージコレクション
<関連記事>
ソアラにプレリュード…1980年代の若者が憧れた「デートカー」
https://car-days.fun/blog/article/1083
日産の「901運動」で生まれた名車たち
https://car-days.fun/blog/article/2547
昔の国産スポーツカーがみんな「280馬力」だったワケとは?
https://car-days.fun/blog/article/1065
AZ-1、ビート、カプチーノ!90年代のスポーツカーシーンを賑わせた3台の軽自動車
https://car-days.fun/blog/article/1494