インボイス制度が始まり、高速道路の利用料金のインボイスが必要になった人もいらっしゃるでしょう。
ETC利用料金のインボイスを発行する方法をご存じでしょうか。支払い方法によってインボイスの発行方法が異なります。適切にインボイスを入手しないと、仕入税額控除ができません。
本記事では、ETC料金のインボイスの入手が必要な人と不要な人の違い、インボイスの入手方法、インボイスとして保存すべき書類の種類を解説します。
ETC料金はインボイス発行が必要?
ETC料金でインボイス発行が必要な人と必要のない人の条件を解説します。
ETC料金でインボイス発行が必要な人
消費税の課税事業者として登録されている法人・個人事業主は、ETC料金のインボイスを受け取って保存することが必要です。インボイスを受け取らないと仕入税額控除ができません。
ETC料金でインボイス発行が必要ない人
消費税を申告して納税する必要がない個人や免税事業者は、ETC料金のインボイスを受け取って保存する必要はありません。
また、以前は税込のETC利用金額が30,000円未満であれば消費税の課税事業者でもインボイスの保存が不要でした。しかしインボイス制度が始まった現在は、30,000円未満でもインボイスの保存が必要です。
ただし、基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は、取引額が10,000円未満のインボイスの保存が免除されます。免除特例の期限は2029年9月までなので、それ以降は10,000円未満のインボイスでも保存しなければなりません。
ETC料金のインボイス発行方法
場合ごとにETC料金のインボイス発行方法を解説します。
- 料金所で現金・クレジットカードで支払いをした場合
- 料金所でETCクレジットカードで支払いをした場合
- ETCクレジットカードでETCレーンを通過した場合
料金所で現金・クレジットカードで支払いをした場合
料金所で現金、クレジットカードで支払いした場合、インボイスの入手方法に両者で違いはありません。
料金所にて現金で支払いをした場合、料金所で受け取れる書面の領収書をインボイスとしてください。
受け取ったら、利用料金、適用税率、適格請求書発行事業者登録番号が漏れなく記載されていることを確認してください。宛名書きは不要です。
料金所でETCクレジットカードで支払いをした場合
ETCクレジットカードは、クレジットカード会社が発行するETCカードです。
料金所にてETCカードで支払いをした場合料金所で書面の利用証明書が発行されますが、インボイスとして利用できません。利用料金が後日確定するためです。早朝割引や平日朝夕割引といった割引が利用料金に反映されるのに、2~3週間程度かかります。
「ETC利用照会サービス」を利用して電子の利用証明書を発行してください。ETC利用照会サービスは、ETCカードの利用明細をインターネット上で確認できるサービスで、利用料や年会費はかかりません。
ETC利用照会サービスで発行した電子利用証明書に「確」と〇で囲まれたマークが表示されていれば利用料金が確定済みで、インボイスとして利用できます。
マークが表示されていない場合は、料金がまだ確定していないので、時間をおいて再度発行してください。
ETCクレジットカードでETCレーンを通過した場合
ETCクレジットカードでETCレーンを通過した場合、料金所では領収書や利用証明書を発行できません。
前述のように、ETC利用照会サービスを利用して電子の利用証明書を発行する必要があります。やはり「確」と〇で囲まれたマークが表示されていれば、インボイスとして利用可能です。
ETCカードの種類でインボイスとして保存するものは違う
ETCカードの種類ごとに、インボイスとして保存する書類を解説します。
- ETCクレジットカードの場合
- ETCパーソナルカードの場合
- ETCコーポレートカードの場合
ETCクレジットカードの場合
ETCクレジットカードは、クレジットカード会社が発行するETCカードです。
クレジットカード会社の審査に通過し、クレジットカードを入手しないとETCクレジットカードを入手できません。
ETC利用照会サービスで利用証明書(簡易インボイス)をダウンロードして保存してください。宛名書きがなくても問題ありません。高速道路会社は、宛名書きのない簡易インボイスを交付することが認められています。
ETCパーソナルカードの場合
ETCパーソナルカードは保証金(デポジット)を預託することで発行できるETCカードです。東日本高速道路株式会社や西日本高速道路株式会社といった、高速道路株式会社法によって設立された6社が共同して発行しています。
クレジットカードに申し込まなくてもETCカードを発行可能です。利用料金は保証金からではなく金融機関口座から引き落とされます。
ETCパーソナルカード事務局から送付される請求書かETC利用照会サービスでダウンロードした証明書をインボイスとして保存してください。
ETCコーポレートカードの場合
ETCコーポレートカードは東・中・西日本高速道路株式会社が発行する個人・法人向けETCカードです。事業協同組合経由もしくは東・中・西日本高速道路株式会社のいずれかで申し込めます。
「大口・多頻度割引」を受けられることが特長です。何台もの車両で高速道路を多く利用するほど利用料金が割り引かれます。
ETCコーポレートカードを利用した場合、高速道路会社から送付される請求書またはETC利用照会サービスでダウンロードできる利用証明書をインボイスとします。
まとめ
ETC料金のインボイスの入手が必要な人と不要な人の違い、インボイスの入手方法、インボイスとして保存すべき書類の種類を解説しました。
消費税の課税事業者として登録されている法人・個人事業主は、ETC料金のインボイスを入手して保存する必要があります。インボイスを入手しないと、仕入税額控除ができません。
料金所で現金・クレジットカードで支払いをした場合は、紙のインボイスをその場で入手できます。ETCクレジットカードで支払った場合は、後日ETC利用照会サービスを利用して電子の利用証明書を発行してください。
ETCパーソナルカードを利用した場合はETCパーソナルカード事務局から送付される請求書、ETCコーポレートカードを利用した場合は高速道路会社から送付される請求書をインボイスとして利用可能です。
ぜひ本記事を参考にして、忘れずインボイスを入手・保存しましょう。
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