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【イラストエッセイ】イラストで語るクルマと衣装のナショナリズム Vol.04 サーブ96×スウェーデン

SAAB96
ご無沙汰しておりました「クルマと衣装のナショナリズム」、今回はサーブ「93-96」であります。

サーブ自動車(サーブ・オートモービル)は、軍用機などを製造する航空機メーカー「SAAB(スウェーデン航空機株式会社)」が戦後、自動車部門として立ち上げたメーカーで、93-96は、当時としてはあまりなじみのないFF(前輪駆動)の車体と、航空機メーカーらしい空力的な水滴型のスタイルをもってデビューした、サーブ初の量産車「92」の後継モデルです。

イラストは「96」の方で、93からエンジン排気量の拡大などが行われたもの。1960~1980年まで20年にわたって生産され、サーブの名を世に知らしめた立役者です。1962年と1963年には、モンテカルロラリーで優勝した経験も。

富豪ヴァレンベリ家とサーブ

サーブの源流は、スウェーデンの富豪ヴァレンベリ家にあります。その名声は多岐にわたり、かのアルフレッド・ノーベルに勝るとも劣らないとか。たとえば、「マルクス・ヴァレンベリ賞」といえば、森林産業のノーベル賞とも言われるものです。また、ラオル・ヴァレンベリは、シンドラーや杉原千畝と並び、多くのユダヤ人を救った人物としても知られています。

SAAB96R

サーブとヴァレンベリ家の関係は、なんとなくご理解いただけたと思います。では、今回の民族衣装は? 現在、知られているスウェーデンの民族衣装は、王家とかかわりがあり、この青と黄の衣装は、王家が着たことから広まったと言われます。

ちなみに王家とヴァレンベリ家もまた密接な関係にあり、王家であるベルナドッテ家は、1809年に立憲君主制により王家となったのですが(即位は1819年)、このベルナドッテ家を長年支えてきたのが、ヴァレンベリ家だと言われているのです。

今回の扉絵となっている衣装「スカンジナビアンフォロクロア」は、夏至祭や結婚式、建国記念日といった特別な日に着られることが多い伝統的なもので、色柄などは地方ごとに異なり、多種多様なデザインが施されます。

このころの衣装は、各家庭で作られ、母から娘へと受け継がれてきました。現在、見かける青と黄色の衣装は比較的近年のもので、地域ごとに異なっていた民族衣装を国旗の配色に合わせて統一されたものだそう。王妃や女王が国家イベントなどで着たことにより、一般に広く伝わったということです。

text & photo by きもだこよし edit by 木谷宗義

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▼ネオクラシックと暮らす ―サーブ900 ターボ16S―
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