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【豆知識】ボルボのディーゼル「D4」に搭載される日本の技術

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ボルボは、2015年にクリーンディーゼル「D4」エンジンを主力モデルの6車種(V40、V40 Cross Country、S60、V60、V60 Cross Country、XC60)に展開して話題となりました。

ボルボの新パワートレイン戦略「DRIVE-E」の一環として生まれたこのディーゼル、実は日本の技術が採用されているんです。

ボルボの「D4」ってどんなエンジン?

ボルボの「DRIVE-E」ディーゼルエンジンは、直列4気筒2.0L。「D2」から「D5」まで出力に応じて4種類ラインナップされ、日本に導入される「D4」は140Kw(190ps)の最高出力と400Nm(40.8kgm)の最大トルクを発生するもの。

大小2つのタービンを備えた2ステージターボと、コモンレール燃料噴射システムを備えたこのディーゼル、ターボチャージャーこそボルグワーナー製であるものの、ディーゼルエンジンの要とも言える燃料噴射システムは、日本のデンソー製が採用されています。

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D4エンジン

i-ART(Intelligent Accuracy Refinement Technology)と呼ばれるこの燃料噴射システムは、世界最高レベルの2500barという最大噴射圧を実現し、一回の燃焼サイクルで最大9回もの燃料噴射を行う最先端のもの。

デンソーとしては第4世代となるコモンレールシステムとなり、インジェクターの一つひとつに圧力センサーをつけたのが、第3世代との違い。圧力変動を気筒ごとに検知し、噴射タイミングと噴射率のフィードバック制御ができるようになっています。

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i-ARTインジェクター

アドブルー(尿素水溶液)を用いての排ガス後処理を行わなくていいのは、緻密な燃焼噴射によって燃焼を最適化できたこともあるのでしょう。ボルボでは、V40からSUVのXC60まで6モデルに「D4」をラインナップしていますが、いずれもJC08モードで20km/L前後ですから、燃費性能もなかなかのものです。

ちなみにデンソーは、1995年にトラック向けとして世界で初めてコモンレールシステムの量産化を開始した、コモンレールシステムのパイオニアとしても知られています。

D4と組み合わされる8速ATはアイシンAW

D4エンジンの話題になると、デンソーのi-ARTに注目が集まりがちですが、このエンジンには、日本のアイシンAWが開発した8速ATが組み合わされています。ボルボとアイシンAWのパートナーシップの歴史は長く、なんと1975年から40年以上にわたって続いているのです。

ボルボでは、ディーゼルだけでなくガソリンエンジンにもアイシンAW製のATを採用しており、T3エンジンには6速が、T5とT6、プラグインハイブリッド仕様となるT8エンジンには8速が搭載されています。

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ひと世代前のボルボでは、ゲトラグフォード製のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載するモデルもありましたが、発進時のスムーズさから再びトルクコンバーター式を選んだのでしょう。

クルマを作っているのは自動車メーカーですが、クルマづくりを支えているのはさまざまな技術やノウハウを持っているサプライヤー。こうしてサプライヤーからクルマづくりを観察してみると、また違った「メーカー相関図」が見えてきそうですね!

写真提供:ボルボ・カー・ジャパン