【豆知識】世界初のカーナビ!? ホンダの「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」

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去る2017年3月2日(木)、ホンダは「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」が、「IEEE(アイトリプルイー)マイルストーン」に認定されたことを発表しました。

「IEEEマイルストーン」とは、電気・電子・情報・通信分野において開発から25年以上経過し、地域社会や産業の発展に多大な貢献をしたとされる歴史的業績を、同分野で世界最大の学会「IEEE」が認定する制度。1983年に制定されて以来、2017年2月までに世界で174件が認定されていますが、自動車産業界での認定はホンダ・エレクトロ・ジャイロケータが初めて。

目次

移動方向と移動量から現在位置を計算する

ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータは、1981年に発表・発売された世界初の自動車用地図型ナビゲーションシステム。GPS式カーナビが生まれるはるか前に誕生したこのカーナビは、航空機に用いられていた「慣性航法装置」を自動車に応用したもの。

「ガスレートジャイロ」を実用化した方向センサーに、走行距離センサーと16ビットのマイクロコンピュータを組み合わせて、移動方向と移動量から現在位置を計算。6インチのブラウン管ディスプレイに、現在位置と自車の方位、走行軌跡を表示する仕組みでした。

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当時はまだCD-ROMもフラッシュメモリもなく、地図は透過上のシートをエリアに合わせて人の手で差し替える方式。また、ナビゲーションシステムといっても現在のような案内をしてくれるのではなく、自車位置と方位、走行軌跡表示からルートを判断するものでした。

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299,000円でアコードとビガーに設定

当時のプレスリリースには、「自動車及び運転者のエネルギーロスを未然に防ぎ、総合的な移動効率の向上に役立てるとともに地理に疎い人や未知の道路、夜間の走行などが安心して出来るなど、自動車の機能をより拡大する新しい使い方の創造を可能とするため」と、開発の狙いが記されています。

開発にあたっては、スタンレー電気が方向センサーを、表示部、コンピュータ、距離センサーをアルプス電気が製作。国内66件、海外は4カ国に計18件の特許を申請したそうです。なお、1981年当時の価格は299,000円(取付け工賃込み)で、同年に発売されたばかりのアコード/ビガーに設定されました。

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ナビゲーションシステムの世界標準を築いた功績

今回、「IEEEマイルストーン」に認定されたのは、ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータの開発によって地図型自動車用ナビゲーションシステムが世界中に普及し、ナビゲーションシステムの世界標準を築いた功績が認められたから。ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータは、この他にも2015年に一般社団法人電気学会による第8回電気技術顕彰「でんきの礎(いしずえ)」を受賞しています。パイオニアが世界初のGPS式カーナビを発売したのが1990年ですから、ホンダがいかに早くカーナビを実用化させたかがわかりますね。今、多くのクルマに搭載されているカーナビのルーツがここにあるのです。

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text by 木谷宗義+Bucket
photo 本田技研工業

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