12月21日に三菱のEV(電気自動車)i-MiEVがマイナーチェンジ。インテリアがブラックのモノトーンから、ブラック/アイボリーの2トーンに変更されたり、パドル式の「回生レベルセレクター」が新たに装備されたりといった仕様変更が行われました。
このi-MiEVというクルマ、決してメジャーな存在ではありませんが、電気自動車時代を先取りしたという点で非常に重要な意味を持つモデルです。
デビューは2009年。当初は一般販売されていなかった
i-MiEVが発売されたのは、2009年6月のこと。2006年から販売していた軽自動車「i(アイ)」のEV版として登場しました。日産リーフの登場が2010年12月ですから、EV時代の幕開けはi-MiEVだったと言っても過言ではないでしょう。
i-MiEVもiと同様に軽自動車であるため、全長3395mm×全幅1475mmのボディサイズは同じ。もともとEV化を考慮して設計されていたiのボディに、永久磁石式同期型モーターと高性能リチウムイオン電池を搭載して、EVとしたものです。
発売当初は、官公庁や企業向けのみの販売でスタート。徐々に生産台数を増やし、2010年4月から個人向けにも販売されるようになりました。価格は459.9万円で、補助金の交付を受けても320万円と、軽自動車としては異例に高価でしたが、他社に先駆けて三菱がEV市場に進出した意義は大きかったと言えるでしょう。
最新モデルは220万円台から!
2009年6月のデビューから、もう少しで8年。最盛期でも年間販売台数2000台強と決して多くはありませんが、軽乗用車で唯一のEVとして独自の役割を果たしています。
長いモデルライフの途中には、値下げや改良も実施。現在は一充電走行距離120kmのMと172kmのX、2つのグレードがラインナップされ、価格もMで227.34万円、Xで262.44万円とリーズナブルになりました。なお、ガソリン版のiは、2013年に生産終了となっています。
i-MiEVはどんな功績を残してくれたのか?
今でこそリーフは普通に見かけるようになりましたし、都内ではテスラも珍しくなくなりましたが、i-MiEVは、他社に先駆けて発売された量産EVであることに大きな意味があるでしょう。アウトランダーPHEVのヒットも、i-MiEVも存在なくして実現しなかったはず。またi-MiEVは、ヨーロッパではプジョーiOn(アイオン)、シトロエン C-ZEROとしても販売されていますから、i-MiEV自体の販売台数は多くないとは言え、コンパクトなEVが与えたインパクトは大きかったと考えられます。i-MiEVのコンポーネントを使った商用車、MINICAB-MiEVもありました。
2016年12月に改良を施したということは、まだ数年は生産を続けるということでしょう。ノートe-Powerが登場しプリウスPHVの発売も迫まり、“電気で走るクルマ”が当たり前の時代がやってきた今、コンパクトで気軽なEVとして、i-MiEVをもう一度見直すときがきているのではないかと思います。
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text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:三菱自動車工業