【豆知識】クロカンブームの立役者、三菱パジェロ

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トヨタ「ソアラ」にホンダ「プレリュード」…、1980年代は「デートカー」がブームの時代でした。しかし、その様相も1980年代後半から少しずつ変化、クルマにアウトドアという新たな価値観を求めた「RVブーム」が訪れました。

そのブームを牽引したのが、三菱「パジェロ」です。もしこのクルマが誕生していなければ、現在のSUVというジャンルのクルマは存在しなかったかもしれません。それぐらい大きな存在感を持ったクルマでした。ここで日本を代表するクロスカントリー4WDの歴史に触れてみましょう。

目次

パジェロの祖先は1935年にさかのぼる

三菱の4WDの歴史は戦前まで遡ります。同社が初めて4WDを製作したのが1935年、陸軍自動車学校の内示を受けて当時の三菱重工神戸造船所が、日本で初めてのフルタイム4WD車「PX33」を製作。これが現在のパジェロの祖先となります。

そして1955年には、アメリカのウィリス・オーバーランド社とライセンス契約し、「ジープ」の生産が開始されます。当時は自衛隊や警察などの官公庁からの需要が大変でしたが、1970年代に入ると個人ユーザーも増加しました。

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パジェロ・キャンバストップ、メタルトップ(1984年)

これを受けて三菱は、実用性と快適性を高めた4WD車の計画をスタート。1973年の東京モーターショーに「パジェロ」と冠したプロトタイプモデルを発表、その後も開発を続けて1982年に初代パジェロがデビューします。

パジェロの名を世界に知らしめたダカールラリー

初めは4ナンバー登録のオフロード4WDとして、3ドアショートボディの「メタルトップバン」と「キャンバストップ」のみのラインナップでしたが、のちに5ナンバーの乗用ワゴンモデルや7人乗りの5ドアロングボディが追加され、アウトドアスタイルの新しい形として人気を獲得していきます。

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パジェロ エステートワゴンXL(1985年)

そして1983年には、世界一過酷なモータースポーツ競技と言われる「パリ・ダカールラリー(現ダカールラリー)」に参戦。市販車無改造クラスに参戦したパジェロは、初参戦で初優勝を遂げ、翌年は市販車改造クラスで優勝。1985年にはプロトタイプ・クラスで優勝という輝かしい記録を達成し、その名を世界に知らしめました。

その後もパジェロはパリ・ダカールラリーに参戦を続け、道なき道を走り続けます。そして1997年には三菱史上初のトップ4を独占し、日本人初の総合優勝を成し遂げるのです。

2代目に進化してRVブームの牽引役に

パジェロが本格的に人気モデルとなるのは1980年代後半です。当時はいわゆるデートカーが主流でしたが、1987年の映画「私をスキーに連れてって」に端を発するスキーブームなども相まって徐々にパジェロに注目が集まり、クーペに変わる新たなデートカーとしての地位を築いていきます。

日産「テラノ」やトヨタ「ランドクルーザープラド」といったライバルたちが登場し、ブームが加速していく中、1991年、パジェロは2代目に進化。世界初の4WDシステムである「スーパーセレクト4WD」や「マルチモードABS」といったメカニズムを採用すると同時に、マークⅡやクラウンといったサルーンに比肩しうる質感の高さも兼ね備えました。

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パジェロ スーパーエクシード(1991年)

その人気はとどまるところを知らず、普通車の月間販売台数1位を記録するほど。RVブームを象徴するクルマとなりました。ちなみに、この4WDをもっとライトな形に捉えて登場したのが1993年に登場したトヨタ「RAV4」でした。ここから、ホンダ「CR-V」など「ライトクロカン」がさらにRVブームを加速させていきます。

クロカンは下火になるもまだまだ走り続けるパジェロ

クロスカントリーからライトクロカン、ステーション、そしてミニバンへとファミリーカーの主役がシフトしたあとも、パジェロは地道な進化を遂げ、1999年には3代目が、その8年後の2006年には、現在の4代目が登場。現在も生産が続けられています。

ボディタイプは5ドアと3ドアを用意し、3Lガソリンエンジンのほか、クロカン本来の力強い走りを堪能できる3.2Lクリーンディーゼルエンジンもラインナップ。

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パジェロ スーパーエクシード(2016年)

駆動方式はさらに進化した「スーパーセレクト4WD Ⅱ」を採用。後輪駆動とフルタイム4WD、さらにセンターデフをロックして悪路走破性を高める直結4WDとさらに強い駆動力を発生するローギアの直結4WDを任意に選択でき、道無き道を走破する性能をさらに極めています。何よりその堂々たる雰囲気は、ブームに左右されない普遍的なものを感じますね。

一時期はパジェロの生産中止説が流れましたが、今年10月27日にはマイナーチェンジを行いました。また、一部では2018年にフルモデルチェンジされるという情報も聞こえています。いずれにせよ、クロカンの頂点を極めたパジェロは、まだまだ世界の道を走り続けてくれることでしょう。

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text by 阿部哲也+Bucket
画像提供:三菱自動車

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