ジャガーXEは、2015年より日本に導入が開始されたジャガーのランアップで最もコンパクトなモデル。このため、日本でも取り回しやすいサイズと400万円台からの価格設定からジャガーエントリーとして注目を集めています。
XEの特徴は、全体の75%にアルミニウムを使用した新世代の軽量プラットフォームのボディを採用し、前後の重量バランスを理想的な50:50に近いものを実現するなど走りも追及した後輪駆動セダンであること。さらにガソリン車だけでなく、近年、日本でも愛用者が増えているクリーンディーゼル車も用意。またスポーツセダンに相応しいクールなスタイリングも好評です。
2017年モデルのハイライトは、静電式タッチスクリーンを備えたインフォテイメントシステム「InControl Touch Pro」が全車標準化されたことです。これはジャガーの新世代システムで、SSDナビゲーションシステムを内蔵されており、従来型システムより大幅な機能アップが図られているもの。新たに追加された439万円の新エントリーグレードSEにも標準となるのは嬉しいところ。2017年モデルの価格は、439万円(SE)~793万円(S)となりました。
XEは、ガソリン、クリーンディーゼルエンジンともに2.0L直列4気筒ターボを基本としますが、試乗したSは、最もパワフルな3.0LのV6スーパーチャージャーエンジンを搭載。そのスペックは、340ps/430Nmを発揮。0-100km/h加速は5.1秒、最高速度250km/hを誇り、XEの中でも最もスポーティなキャラクターに仕上がっています。
個人的には近年登場したセダンの中で、飛びぬけたカッコよさだと感じているXEですが、その中でもスポーツ仕様のSは別格的。専用エアロは控えめながら、スタイルを引き上げるアクセントとして十分で、XEの美しさとスポーティさをうまく引き出しています。
インテリアも、Sではスポーツシートを標準装着されるなどデザインだけでなく機能面でもスポーティな仕様に。それでも華やかさが際立つのは流石ジャガーでしょう。シートやステアリングの感触も良く、ジャガーに乗っている満足度は、エントリージャガーであるXEでも十分味わえます。また2017年モデルからは、「InControl Touch Pro」が搭載されたことで、センターコンソール付近のデザインを一新。新世代ジャガーの世界観に相応しいデザインとなっただけでなく、機能面も大幅にアップデート。これにはSDDナビゲーションシステムも内蔵し、MAP表示などが、日本専用のカスタマイズがされているのもポイントです。
ボディサイズは小さくはありませんが、BMW3シリーズセダンあたりとさほど変わらないため、日本の街中でも扱いやすいのも美点。さらにアルミを多用した軽量ボディに340psのエンジンが生み出す走りはかなり刺激的。唸るように吠えるV6サウンドもレーシーで、アドライバー心を刺激し、まるでスポーツカーのような感覚を味合わせてくれます。グレードを問わず、乗り心地は快適なXEですが、特にSは、自動可変ダンパー「アダクティブダイナミクス」を標準搭載。積極的な走りが楽しめながら、決して快適性が損なわれることもないのです。
セダン人気が低迷する中で、独自の魅力を打ち出し、その存在感を示すXE。確かに先進機能などは、積極的に展開してきたドイツ勢などと比べ、やや弱い部分もあります。しかし、そこはジャガーも日進月歩で進化を続けているところ。また歴史あるラグジュアリーブランドながら、変化を恐れずアグレッシブに変化させたスタイリングは、新鮮味を与えながらも、伝統を否定せず新たなジャガーとなっているところも素晴らしい。もちろん、性能面などクルマをトータルでみても、やはり完成度はなかなかのものです。もしあなたがスポーツセダンを検討中なら、ぜひ候補に加えてみてはいかがでしょうか?
text & photo by OHTO Yasuhiro