【カーライフ】父ちゃんカッコイイ!父から息子に受け継がれし、平成ミニバン ―三菱・シャリオ・グランディス(2002年式)―

2019.04.13

1990年代の半ばごろ、ファミリーカーの概念はそれまで主流だった3BOXタイプのセダンからミニバンへと変革期を迎えていました。特に1994年に発売されたホンダ・オデッセイは、同社のミドルサイズセダン、アコードをベースに、セダンライクな乗り味にワゴン車の利便性を手に入れ、大ヒットとなります。そして、おりからのアウトドア・RVブームや先行するオデッセイの成功にインスピレーションを受け、各社はこぞって“ルーフバー”の似合うモデルをリリースしていきました。

市場へのモデル投入を急いだメーカーは、バブル期に開発したモデルの焼き直しマイナーチェンジ的な車種も多く見られましたが、90年代後半になると研究と熟成が進んだ低ルーフミニバンが続々とリリースされていきます。

グッドルックスに良い装備、一世を風靡したハイクラスミニバン

今回、紹介するのは、三菱が1997年の東京モーターショーでお披露目したシャリオ・グランディスです。1983年にデビューした初代モデルから数えて3代目。 グランディスのサブネームを用いたこのモデルは、2400ccと3000ccのエンジンが搭載され、それまでの5ナンバークラスからひとクラス上の3ナンバーモデルとなりました。

「父ちゃんカッコイイ!」のセリフとともに飯島直子氏が出演したCMを覚えている方もいるかもしれません。ファミリーで楽しむライフスタイルを頼もしい父親目線で引っ張っていく、そんなイメージを持った凛々しいハイクラスミニバンでした。


発売当時の等身大パネル!

そんなグランディスを所有するのは、小はる亭さん。なんと、お父様から受け継いだ車だそうです。

物心ついたときからスリーダイヤモンド!? 三菱車にかける思い

「車が好きになったきっかけは、パリダカです。昔テレビでパリダカの中継を行っていて、毎日ラリーカーが砂漠を走る映像を飽きずに見ていたと親に聞いたことがあります。たぶん、2歳ぐらいのときですね」


ボディーカラーはピレネーブラック。grandisのサブネームのエンブレムは斜めに配置され、どこか自信を感じる

1996年ごろのパリダカでは、シトロエンやパジェロのラリーカーが優勝を争っていました。そんな映像を、ブラウン管を通して観ていた小はる亭さんは、潜在的に三菱ファンになっていったのかもしれません。今ではすっかり三菱のファンになった小はる亭さんに、グランディスとの出会いを伺ってみました。

「2002年の2月、我が家にこのグランディスがやってきました。当時、このモデルはすでにモデル末期だったはずなのですが、父は購入の際張り切ってしまったようで、フルオプション仕様で納車されました(笑)。グレードは2400ccの最上級グレード、スーパーエクシードです」

グランディスには2400ccの通常仕様と3000ccのロイヤルがある。小はる亭さんが所有するのは2400ccの方で、「GDI-V」という他に搭載車種が存在しないという珍しいエンジンです。

「自分が免許を取得するまでは、父が乗り続けてくれました。それを引き続ぐ形で自分が乗るように。実は、引き続いでから1回目の車検で手放してE30のギャランやディアマンテに乗り換えようと思っていたんですが……」

乗り換えたい車はあったものの、長年乗り継いできたグランディスのことを考えてしまう。すると、あるとき発売から年月が経って、綺麗な個体が減っていたことに気付いたのだそう。

「今の個体を手放したとして、もしまた乗りたくなったときに、同じ仕様の車に出会うことは難しいんじゃないかと思うようになったんです。それなら、致命的な不具合が出るまで付き合ってみようと、乗り続けることにしました。今のところ不具合は特にありませんが(笑)」


新車購入時からなぜか、フロントにしかついていなかったというレインバイザー。ルーフレールはメーカーオプション

純正からの唯一の変更点はホイール。デボネアVのAMG仕様のものをインストール

4年前にお父様から受け継いだきの走行距離は、わずか2万5千キロ。そのため、今でもコンディションは良好で、生産から17年の月日を感じさせません。特に傷みやすい本革内装も美しい風合いを保っています。

「本革シートは2400ccではオプション設定でした。だから父は『3000ccロイヤルみたいだなぁ』と言っていた覚えがあります」


本革シートはメーカーオプション。ミニバンとは思えないリッチなつくりだ

インパネ上部に備わるのはMMCSと呼ばれる純正カーナビゲーションシステム。購入当時の2002年版のディスクはときどき道なき道を進んでいるそう。


ブラウンの内装にウッドコンビハンドルが映える室内。インパネシフトにすることでウォークスルーも実現している

「東京ゲートブリッジを走ると、ずっと海の中を走りつづけますね(笑)。湾岸線から千葉方面に走れば、千葉県船橋市にあるSSAWS(現・IKEA)をかすめたりもできますよ!」

なるほど、古くなった地図ディスクは気づけばタイムトリップできる過去の遺産になる。そんな時間旅行もアリかもしれません。


純正オプションのセンターコンソール。探してもあまり見かけないレアアイテムだそう

過去から未来へ、気づけば姿を消しつつあるファミリーカーたち

続いてグランディスとの思い出について伺ってみました。

「免許を取得したときの目標は、MMF(三菱自動車の岡崎工場でのオーナーズイベント)へ行き、ランディスの生まれ故郷に里帰りするいうもので、2年前に実行することができました。道中、松任谷由実さんの『Home Townへようこそ』を聞いていたのが思い出深いですね。『Home Townへようこそ』は、三菱のCMに使われていた『リフレインが叫んでる』と同じアルバムに収録されている曲。80年代から90年代前半の三菱車のCMといえば松任谷由実さんでした」

めでたく里帰りを果たしたシャリオ・グランディスと小はる亭さん。しかし、ひとつ気になったことが……。

「MMFは参加台数もかなり多いイベントなのですが、前後世代のシャリオやグランディスはいても、自分と同じ型の車は他にいなかったんです。イベントが開催された当初は、グランディスもたくさんいたらしいのですが、今や風前の灯であることを感じましたね……」

中古車のページを見ても一桁台の掲載数、かつては月販1万1千台のヒットを飛ばした人気モデルも、今や趣味で乗る人が減りつつある過渡期なのかもしれません。


最後にグランディスとの“今後”を聞いてみました。

「この車を降りるときは『昔、乗ってたからもう一回乗りたいな』と思うのではなく、『もうこりごりだ!』と思えるまで、徹底的に乗り続けたいと思いますね。目標は三菱自動車の『10年10万キロストーリー』に掲載されること。それぐらい乗りつくしたいですね!」

そう語る小はる亭さんのグランディスへの“愛着力”はすでに強いものだと感じました。今後もグランディスと一緒にミニバンライフを歩んでほしいですね!

text & photo:TUNA
edit:木谷宗義