JAF(一般社団法人日本自動車連盟)が、警察庁と合同で実施した「シートベルト着用状況全国調査2017」を発表しました。これによると、運転席・助手席ではほぼすべての人がシートベルトを着用しているのに対し、後席での着用率は一般道で36.4%だったとのこと。
この数値、ちょっと低すぎると思いませんか?
そこで改めて、シートベルトの役割を考えてみたいと思います。
そもそもシートベルトの役割とは?
シートベルトは、衝突時に「乗員がガラスや天井、ドアなどの車内の構造物に激突するのを防ぐ」「車外への放出を防ぐ」「乗員同士の衝突時を防ぐ」といった役割を持つ安全装置です。その効果は大きく、「シートベルト着用に関する統計」を見ると、非装着時の致死率は、同着時のなんと14.5倍にもなっています。
2008年から全席着用が義務化。しかし着用率は……。
みなさんは後席に乗るとき、シートベルトを着用していますか? 前席(運転席・助手席)では、30年以上前から着用が義務づけられており、運転席の着用率は一般道で98.6%、高速道路等では99.5%と、ほぼすべての人が装着しています。
でも、後席の着用が義務化されたのは2008年と遅く、違反点数(1点)が付されるのも高速道路等のみとあって、高速道路等では74.4%が装着しているものの、一般道路では36.4%にすぎません。つまり、3人に2人は着用していないということ。「一般道なら大丈夫」「一般道だと点数は引かれないから」と思っている人が多いのでしょう。
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上の映像は、JAFが制作した「後席シートベルト非着用時の危険性」です。これを見れば、シートベルトの大切さは一目瞭然です。「違反になるから」ではなく、「命を守るため」に装着するようにしたいものですね。
2020年9月以降の新車には全席シートベルト警報を装着
現在のクルマは「シートベルトリマインダー」により、エンジン始動後、運転者がシートベルトをしていないとメーターパネルなどに赤いシートベルト警告灯が表示され、そのまま走行すると警報音が出るようになっています。
このシートベルトリマインダーは、現在のところ運転席のみに装置が義務付けられており、助手席や後席については非装着のクルマも少なくありませんが、2017年6月の保安基準改正で装置対象が運転席のみから全席に拡大されました。
2020年9月1日以降に登場する新型車には、全席にリマインダーの装着が義務付けられます(後席はシートベルトを外した場合に警報が鳴る仕組み)。後席のシートベルト着用率の大幅アップを期待したいところです。
ホンダは2013年のN-WGNでいち早く後席シートベルトリマインダーを装着(画像提供:本田技研工業)
「クルマに乗ったらシートベルト」。クルマを所有している人やクルマが好きな人にとっては、当たり前のことかもしれません。とはいえ、後席では3人に2人が非装着というデータが示すとおり、まだまだ後席での着用を意識していない人が多いのは事実です。家族やお友達とクルマに乗るときは、全員がきちんとシートベルトを締めているか、よく見てあげてくださいね。
text & photo by 木谷宗義+Bucket
<関連リンク>
JAF 後席シートベルトの安心力
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/rearseat/