今年、60周年を迎えた日産・スカイラインは、モデルで数えれば現行型で13代目になります。そこで、初代「ALSI型」から最新「V37型」まで、歴代のスカイラインをまとめてみました。今回は、7代目「R31」以降のモデルをご覧ください。
7代目R31型:1985年(昭和60年)
スカイライン 4ドアハードトップGTパサージュ ツインカム24ターボ(1987年)
バブル経済に向かって好景気が続いた1980年代、クルマには「豪華さ」が求められ、トヨタ・マークⅡを始めとした「ハイソカー」が流行。7代目であることから「セブンス・スカイライン」と呼ばれたR31型も、その流れを汲むものとなりました。メカニズム面では、のちに名機と呼ばれるようになる直6「RB型」エンジンが搭載され、上級グレードには世界初の4輪操舵システム「HICAS(ハイキャス)」も採用されました。
スカイライン クーペGTS-R(1987年)
翌1986年には2ドアクーペとワゴンも追加。1987年には、当時のグループAレースに参戦するためのホモロゲーションモデル「GTS-R」が800台の限定で発売されました。このモデルは2.0L直6ターボを搭載するGTSをベースに、タービン変更などで出力を210psまで高められたモデル。「GT-R」が存在しない、R31型シリーズの最強モデルでした。
8代目R32型:1989年(平成元年)
スカイラインGT-R(1989年)
ケンメリ以来、途絶えていた「GT-R」の復活が話題となった、R32型は「国産車のヴィンテージイヤー」と呼ばれた1989年。この世代は、先代のR31がハイソカー的な方向性を持っていたのに対し、思いっきりスポーティな方向に振られたのが特徴。ボディ全長も4ドアで70mm、クーペでは130mmも短縮されました。サスペンションは新開発の4輪マルチリンク。スポーティな方向に振ったことで、ワゴンボディとディーゼルエンジンは廃止されました。
スカイライン 4ドアスポーツセダン GTS25 Type X・G(1993年)
エンジンは4気筒の1.8L、6気筒の2.0L(NA/ターボ)、そしてGT-Rの6気筒2.6Lターボをラインナップ。1991年のマイナーチェンジでは、2.5LのNAエンジンも追加され、さまざまな“走り”のバリエーションを誇りました。
9代目R33型:1993年(平成5年)
スカイライン セダン GTS 25t Type M(1993年)
この頃の日本車は、4年ごとにフルモデルチェンジを行なうのが、通例。スカイラインもきっかり4年ごとにモデルチェンジしていました。R32型はスポーティな走りやスタイリングで好評だった一方キャビンの広さに不満を持たれていたことや、税制が変わってライバルたちの3ナンバー化が進んだことなどからボディが拡幅され、R33型はスカイライン史上で初めて標準車でも3ナンバーボディを持つようになりました。
スカイラインGT-R(1995年)
エンジンは、全車6気筒になり、2.5Lにもターボが登場。全体的に上級移行が図られた形となりました。GT-Rは継続して設定。エンジンは先代同様の2.6Lターボ(RB26DETT)ながら、あらゆる面がブラッシュアップされ、ニュルブルクリンクのタイムアタックでは、R32型のタイムを約21秒も短縮する7分59秒887を記録し、話題となりました。
10代目R34型:1998年(平成10年)
スカイライン セダン 25GT-Xターボ(1998年)
R33は5年にわたって生産され、1998年にR34型へとモデルチェンジ。上級移行したR33はモデルとしては成功せず、R34型で再びスポーティ志向と強めます。2.5Lエンジンを主力にしたのはR33型と同じながら、全長とホイールベースが短縮されボディはコンパクトに。しかし、時代はすでにSUVやミニバンへとシフト。ヒット作とはならず、わずか3年で次のモデルにバトンタッチすることとなりました。
スカイラインGT-R Vスペック(1999年)
GT-Rは標準車がモデルチェンジしたあとも、継続され2002年まで生産。ご存知のように、このあとは「日産GT-R」となるため、結果として最後の「スカイラインGT-R」となりました。R34型は「スカイラインらしさ」を追求して作られたクルマではあったものの、時代の変化の中では「旧態依然としたスポーティカー」と見られてしまった、不運なクルマであったと言えるでしょう。直6エンジンを搭載する、最後のスカイラインでもありました。
11代目V35型:2001年(平成13年)
スカイライン300GT(2001年)
「R35型」ではなく「V35型」と形式名称が改められた11代目スカイラインは、ほぼ国内専用だった歴代モデルとは一線を画し、インフィニティブランドでも販売されるグローバルモデルに。直6エンジン、低く構えたスタイリング、丸型4灯テールランプなど、スカイラインの伝統から決別した、まったく新しいモデルとなりました。エンジンは2.5Lと3.0LのV6。2002年には、エクストロイドCVT(トロイダルCVT)」を搭載した「350GT-8」が追加された他、2003年にはクーペも発売されました。
12代目V36型:2006年(平成18年)
スカイライン350GT Type SP(2006年)
形式名を「V3◯型」に改めてから2世代目となるV36型は、V36の正常進化というスタイリングで登場。エンジンはV6 2.5Lと3.5L(マイナーチェンジで3.7Lに)が用意され、2.5Lモデルには4輪駆動が、3.5Lモデルには4輪アクティブステア(4輪操舵)も設定されました。2007年にクーペもV36型にモデルチェンジした他、2009年にはスカイラインの名を冠したSUV「スカイライン クロスオーバー」もデビューしています。
13代目V37型:2013年(平成25年)
スカイライン200GT-t(2014年)
現在のところ最新型となるのが、2013年に登場したV37型。国内販売車にもインフィニティのバッジが装着されことや、全車ハイブリッドで登場したことが大きなニュースに。ステアリングシャフトを持たず、ステアリングホイールの動きを電気信号に変えてタイヤを操舵する「ダイレクトアダプティブステアリング」が設定されたことも話題となりました。また、ルノー日産アライアンスとダイムラーAGの戦略的提携によって、2014年にはダイムラー製の2.0L 4気筒ターボエンジンも追加されています。
こうして歴代モデルを振り返ってみると、60年のスカイラインの歴史を通じて、自動車のスタイリングやテクノロジーの変化も見ることができますね。「最近のスカイラインはスカイラインじゃない」。そんな風に言う人もいますが、「日産のスポーティなFRセダン」という根本は変わっていません。時代に合わせて巧みに進化を続けてきたと言うべきでしょう。もしEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)のスカイラインが登場したとしても、スポーティな性格は変わらないのではないでしょうか?
text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:日産自動車、日産ヘリテージコレクション
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